ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  来週、久しぶりに母と一緒に短い旅行をする予定があるので、今日、車イスを借りに行きました。母は、年齢よりずっと元気で、気持ちも若いのですが、最近、長く歩くと足が痛くなることがあるので、出先での万一に備えて、です。

  X区は、区内のいくつかの場所で車イスの短期間の貸し出しをしてくれます。今日、センターに着いたのはちょうど昼休みの時間でした。でも、当番で窓口にいた男性は(どうやら、係長だったらしいのですが)とても親切に応対をしてくれました。

  事前に電話で問い合わせた際に、(念のため)私と母の両方の印鑑を持参してくださいと言われたのですが、実は印鑑は不要でした。窓口の係りの方は、電話での説明が間違っていたことを盛んに恐縮し、すみませんと言ってくれました。

  「意外に重いものですね」とか「最長どのくらい借りられるんですか?」とか、今まで何回も聞かれたであろうことを言っても、じゃけんにすることなく、最後まで親切でした。    親切に貸してもらった車イスは、「親切な車イス」のように思えて、大事に使おうと思いました。また、旅行のあいだじゅう、クルマの後部に「親切」が乗っているんだな、と思うと、何だかとてもうれしい気持ちです。

  ひさしぶりに、相談しに行く一住民の立場になってみて、あらためて「親切な態度」が心細い気持ちの人にとって、どんなに大切なことか、と肝に銘じました。

  この夏の休日は、すべて、自宅の建て替えに伴う仮住まいへの引っ越しに費やしてしまいました。すぐそばに仮住まいを借りたのがよくもあり悪くもあり、で、なかなか最後の仕上げまでたどりつかず、ひと月以上かかって、旧宅はほぼ空っぽになりました。ふぅ (-_-;)

  そんな事情があって、夏の遠出の講演依頼の多くは、事前にお断りしたのですが、北海道からのご依頼だけは二つ返事でお引き受けし、8月の20、21、22は、十勝に行っていました。十勝地方の「ことばの教室」の先生方の集まりと、その近くの「ことばの教室」の親の会主催の集まりでお話ししてきました。

  「ことば・きこえの教室」の全国組織は「全国難聴言語障害教育研究協議会」(全難言協)です。
http://www2.plala.or.jp/nangen/

  通級制の学級(教室)なのですが、親と先生が協力して運動を進めてきたという経緯があり、多くの教室には「親の会」があります。
 同じ思いを分かち合う親ごさん同士の支え合いの力には、いつも感激しますが、今回も、最終日、親の会の方たちと一緒にお昼ご飯を食べながら、自分の子どもの保育園時代を思い出しました。当時、親同士も仲がよくて、休日は、誰か彼かが遊びに来て家の中を走り回っているか、または、誰かの家に遊びに行って留守だったりして、まるで15人の子どもを中心にした大家族みたいでしたが、そのころのことを思い出し、本当に楽しかったです。
  「子ども“たち”を、大人“たち”で育てる」ということの大切さを、あらためて痛感しました。

 もちろん北海道は涼しく、大地は広く、食べ物はおいしく、人は親切で「やっぱり北海道はいいなー」と思いながら炎熱の東京に帰ってきました。   また、十勝地方の支援者と言われる方たちの「こころざし」の熱さと深さには、あらためて感動し「すごいなー」「私ももうひとがんばり!」とパワーをもらいました。

  新書「発達障害とことばの相談」が出てから2週間ほどたちました。 今までも、本を出すとしばらくドキドキしたり、落ち込んだりしていましたが、今回は、落ち込んではいませんが、ドキドキハラハラしています。

  今までの本は、はっきりと障害を念頭においたものか、または、通常のお子さんを対象としつつ心配のある子、ていねいなケアの必要な子についても触れる、というスタンスでした。

  今回の新書は、いわば、定型発達と言われる多数派と、障害や凸凹があるかもしれない育てにくい子、発達障害かもしれない人たちとを意識的につなごうと意図しました。   つなごうとした、というより、障害とか障害じゃないとか言っても、結局、みんな、深いところでは地続きのところにいる仲間だよね、生きることって結構悪くないよね、ということを言いたかったのですが、それが、果たせたのかどうか、伝わるのかどうか、ドキドキしている、というわけです。

        そんな中、「ことばの教室Therapist's Homepage ブログ版」にya さんが感想を載せてくださいました。
私にとっては、身に余る、とてもありがたい感想でした。
http://kotobaroom.blog.shinobi.jp/Entry/276/
これを励みに、さらにがんばろう、と思いました。

  去る5月23日、東京大学で「公開シンポジウム  自閉症者の語る自閉症の世界」(主催:東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース)が開かれました。
  3人の自閉症の方たちが支援者と共に壇上に上がりました。
  会場からの質問にその場でパソコンに打ち込んで答えるのですが、ウィットに富んだジョークでかわすありさまは、何だか、とてもうれしくなる光景でした。

  そのときのシンポジウムのようすがHPにアップされたそうです。  
  http://plaza.umin.ac.jp/~katari/report_20090523/

  パソコンに向かって真剣に哲学的なことばを紡ぎだす姿と、緊張の糸が切れたあと、会場をぴょんぴょん走り回ったり、目を細めて横目でじーーーっと見る独特のしぐさをする姿との落差・・・・。   今も、なぜ、そんなことになっちゃうのか、にわかには信じられない気分と、でも、目の前で起きたことは事実だから否定するわけには行かない・・・・という気分とが混在しています。

  この筆談援助という方法を、どうとらえていったらいいのか、今後も迷いながら、でも、否定せずに考え続けて行きたいと思っています。

    小学館のサイト≪「発達障害とことばの相談」・・・ことばを育てるために大人にできること≫に連載の2回目がアップされました。
  http://bp.shogakukan.co.jp/n-nakagawa/

テーマは語用論です。林やよいさんのカットがいつもと同じく、とてもわかりやすくかわいいです。
「教え込み」や「クンレン」ではなく、「一緒に」「楽しむ」スタンスでことばを育ててゆけるといいですね。
   もちろん、「じょうずに教える」ためのノウハウやツールも、必要なとき、必要な人には有効ですが。

  新刊が店頭に並びました。
 「発達障害とことばの相談    
     子どもの育ちを支援する言語聴覚士のアプローチ」
            (小学館 101新書)        です。

  発達障害についての言語聴覚士的見方とあわせて、なかなか社会的認知の進まない言語聴覚士の仕事、リハビリテーション(全人間的復権)の考え方についても、ぜひお知らせしたいと思いました。

小学館の「BOOK  PEOPLE」というサイトにも内容紹介が掲載されています。
   ( BOOK PPEOPLE  中川信子のページ ) 

林やよいさんによるわかりやすいイラスト入りで、4週連載になる予定です。

本にも、サイトにも顔写真が載ったので、ちょっとマズイな、と思いつつも、発達障害やSTのことが広く世の中に知られることとひきかえならガマンしよう・・・と思っています。

  急遽、家を建て替えることになり、昨日(7月17日)に引っ越しました。本宅(?)からほんの100メートルほどのところにあるアパートを借りたのですが、いくら距離が近くても、引っ越しは引っ越しです。洗濯かごも、トースターも何もかも、いったんダンボールにつめて運び、着いた先で箱から出すという作業を省略することはできませんでした・・・・。ふぅ。

   運送を業とする方たちの手際のよさと、力持ち加減には、驚嘆しました。私たちがウンウンいってつめたダンボールや重い家具をこともなげにひょいひょい運んでくれました。本をつめてずっしり重いダンボール箱を、なんと、二つまとめて運ぶ姿にはびっくりでした・・・。

  さて、新宅のほうは何がどこにあるんだか、そもそも、運んできたのかどうかも定かではなく、旧宅のほうは、ドロボーが入ったあとのように散らかっており、寄る辺ないというか、頼りないというか、しばらくはふわふわした気持ちで過ごすことになりそうです。   どこに何があるか、分からない、覚えてない、探せない・・・・・って、ある種の発達障害の要素を持つ人たちの気分と、似ているのかもしれないな、って思っています。

   引っ越しのメリットは、「ふぅ、疲れた」「暑い(-_-;)」とか言っていられずにやむなくかいがいしく働いたため、日ごろの肩こりが軽快した(!!)という点です。やっぱり運動不足だったみたいです。

 NPO法人「ことのはサポート」は、「ことばの遅い子への支援」をキーワードにしたNPOです。   柳田節子さんが中心になって立ち上げました。もともとは、保護者のみの集まりでしたが、言語聴覚士とのコラボレーションをめざして、NPO法人になり、その際、私が副理事長を拝命しました。   

 柳田さんとは、最初から「ツーカーの仲」で、あれこれ相談されたり、逆にこちらが支えられたり、という関係です。

 「全国津々浦々に、ことばや発達のことを、気軽に相談できる相談室を作りたい!」というのがかかげた夢の一つなのですが、なかなか、実践的にお手伝いできずにいます。
  今は、江戸川に一つ「リジョイス」という相談室があります。
   http://www.ab.auone-net.jp/~kotosupp/sub3.html

    このほど(と言っても、もう1ヶ月以上前ですが)ホームページとブログ版とがリニューアルされました。柳田さんが作ったものです。柳田さんは、驚くほど多芸多才で、いろんなことをあっというまにこともなげにやってしまうので驚きます。 

    NPO法人「ことのはサポート」HP
    http://www.ab.auone-net.jp/~kotosupp/index.html

   「ことのはサポート ブログ版」
  http://blogs.dion.ne.jp/kotonoha_fight/

 関連する本   
 「うちの子、ことばが遅いのかな・・・・・」(言の葉通信)ぶどう社
 「ことばの遅い子、学校へゆく」     (言の葉通信) ぶどう社
 「こうた もどっておいで」         (柳田節子)  リフレ出版
  以上3冊については
    http://www.ab.auone-net.jp/~kotosupp/sub5.html
    をご参照ください。

 私が書く原稿に添えられている、林やよいさんのカットは、ファンがとても多いようです。
『1,2,3歳ことばの遅い子』(ぶどう社)や、
月刊地域保健』(長期!)連載の中の「いまどき子育てアドバイス」、
家族計画協会から出ている『ことばが伸びるじょうずな子育て』『発音がはっきりしないとき』などです。
  かわいらしい、くっきりした線で描かれた子どもと、きっぱりした印象のお母さんの姿。表情豊かでずっと見ていてもあきません。

  このカットを描いて下さっている林やよいさんは伊丹市在住です。
『1,2、3歳ことばの遅い子』を作っていたときに、ぶどう社の市毛さんが紹介してくださり、「ぜったい、この絵がいい!」と飛びついて、それ以来のお付き合いです。
 
  林さんに原稿を送信して「このあたりを絵にできますか?」というと、そのものぴたりというか、120%以上のイメージの絵が戻ってきます。
 「腹心の友」といいますが、お腹の中も、心の中も何かの回路でつながっているとしか思えない、不思議な関係です。

  毎日新聞(関西)には4コマ漫画「くるまいすまいる」を連載しておられ、こちらでもファンがとても多いみたいです。東京では読めないので、残念です。

  伊丹のサイト「いたみん」に林さんのインタビュー記事が載っています。
    http://itami-city.jp/mp/cafetime_itami/?sid=899

 林さん、今後ともよろしく!!!!

  小田急線和泉多摩川駅のすぐそばに「カレーショップ メイ」があります。
NPO法人「さつき会」が運営する就労支援事業所「ワークイン メイ」のお店です。
私は残念ながらまだ食べに行けていないのですが、食べた人はみんな「美味しい!」と言っています。

  この「カレーショップ メイ」については、狛江市社会福祉協議会内、狛江ボランティアセンター(通称ボラセン)発行の、「こまえボランティア情報 193号」(21年6月号)で紹介されています。http://www.komae-shakyo.or.jp/vc/~jouhoushi/

 社団法人 日本小児保健協会主催の第26回小児保健セミナーが開かれました。  テーマは「乳幼児健診とその周辺、いま知っておきたいこと」でした。  

     (3月に本HPでご紹介しました。)
     (http://www.soratomo.jp/article/13417056.html
世田谷区の成育医療センターの講堂が満席になるほどの盛況でした。220人とか。

 厚生労働省の担当者、開業の小児科医、歯科の先生、小児神経の先生、ABA(応用行動分析)で自閉症の個別療育をしている先生、そして平岩幹男先生による5歳児健診をめぐるお話などに混じって、健診前後の子どものことばの見方と支援について話をさせていただきました。
私は常日頃「健診は支援への入り口」と思っているので、そのことをお伝えできればと思いました。

  対象が主としてお医者さんたち、という会でお話しするのは多分二回目(?)か。ずいぶん心臓が強くなったと言ってもプレッシャーでした。無事、務め終えてほっとしました。

  それにしても、お腹の中にいるときから歯は着々と成長していることや、神経系に異常のある赤ちゃんたちの動きなどを見せて、聞かせていただき、人間の体の仕組みはなんと精妙なものだろうと感心しました。本当に勉強になりました。

  「子どもの健やかな育ちのために」と日々考え、行動している方たちがたくさんいることにも意を強くしました。

  健診にかかわっている方たちには、平岩幹男先生の乳幼児健診ハンドブック―その実際から事後フォローまで
診断と治療社)を一番にオススメしたいと思います。

 しばらくご無沙汰しました 
公私ともに超!多忙でして・・・・・。

 今年も、学校への巡回相談が始まりました。
特別支援巡回専門相談という名目での訪問です。
本来は、毎日奮闘する先生方にアドバイスしたり、支援したりすることが目的なのですが、実際のところ、逆に、「勉強させてもらいました!」ということの連続です。

 学校の先生方の実態は、マスコミの冷たい論調とはかなり違っていて、本当に子どもたちのよい面を伸ばし、育てようと、毎日声を枯らし、走り回っていてくださるのだと、回を重ねれば重ねるほど痛感します。

 担任の先生方との懇談の中で、まず一番に出てくる私の感想は「もっと人をつけてあげられたら!」ということと、「クラスの人数がもっと少なければ・・・」というものです。

 狛江は、独自の施策として「少人数指導」を行っています。算数、数学、英語などの教科で、クラスを分割して勉強します。 15人とか20人とかの集団で勉強できると、生徒たちは先生に気軽に「分からない!」とSOSを出せるし、先生側は、それぞれの子どもがどこでつまずいているかを把握しやすかったり、いい面がたくさん見えてきます。

  学力向上を言うならここからでしょ!と私は言いたいです。
たとえ小学生でも、38人とか、39人とかのクラスは、本当に大変です。
せめて31人程度のクラスだとかなりほっとできます。

文部科学省の人たちや、都道府県の方たちで、「学力向上!」と号令をかけるばかりの方たちに、ぜひ、登校から下校まで、丸一日学校に入って学校現場の実態を知っていただきたいものだといつも思います。
 それも、一日だけではなく、せめて、三日間くらい続けて。

 学校の先生たち、がんばれ!!
いえ、共にがんばりましょう!!

  厚生労働省に設置されている「発達障害施策検討会」という会の「構成員」(メンバー)に加わっています。
  梅ヶ丘病院の市川宏伸先生が座長です。
  えじそんくらぶの高山恵子さん、LD親の会の山岡修二さん、杉山登志郎先生、、超・有名な方たちに混じって、全国の都道府県から出されるモデル事業の内容について検討するのがお役目です。

 この検討会は 昨年(平成20年)8月29日には 「発達障害者支援の推進について」という報告書を出しています。http://www.rehab.go.jp/ddis/pdf/hattatsu_h.pdf

  6月8日に、今年度一回目の検討会が開催されました。21年度モデル事業に「手を上げた」のは21都府県でした。
  煩雑な書類作成、予算の計上、庁内各レベルでの調整をへてのモデル事業参加は、とてもハードルの高いことです。一担当者の熱意でできるものではありません。役所の組織としての姿勢が問われます。 そこまでして、参加してくれる都府県があることに、なんだか、感動しました。
  もちろん、日本中にある都道府県のうちの半分しか参加してくれていない、というのも一方の現実ではあるのですが・・・・。

  担当課は 厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部  精神・障害保健課  です。  

たくさんの仕事がある中で、担当の若い職員たちが真剣に取り組んでくださっていることが感じられ、喜ばしい気分になりました。
  会の動きを中心的にまとめている「発達障害対策専門官」が、ST(言語聴覚士)として、地域で活動していた実績をお持ちの方であることも大変頼もしいと思うゆえんです。

  マスコミでは、「役所」「役人」へのバッシングが激しいですが、この方たちのように、真剣に、やりがいを持って働いてくださっている「役人」や「役所」も少なくありません。彼らが燃え尽きずに、もっとがんばってくれるよう、うまく支えてゆくのも市民・国民の大事な役目だと痛感します。

 「税金を払ってるんだから」という常套句がありますが、「役所」の人たちが熱心に働くように仕向けることも「税金が有効に使われる」ためアプローチなのですからね。

  「行政をほめて育てる」 というのが、私の周辺の親ごさんたちの合言葉ですが、大切な考え方だと思います。

  雨の週末。こういう気候のときは、ともするとアタマが痛くなります。 以前は、根性が足りないからかと思っていましたが、「低気圧が近づくと、敏感に反応する自律神経を持ち合わせているせいであって、根性が足りないせいじゃなかった!」と、分かって以来、ただただやり過ごすことにしました。そう決めたら不思議なことに、あまりアタマも痛くならなくなりました。

  自分の行動や反応の理由がわかるとラクになる・・・・ これって、発達障害とも同じしくみだな、って思いました。

    2月に行われた「子どもの心を考える都民フォーラム」のおり、都立梅ヶ丘病院院長の市川宏伸先生が最後のまとめとしてフリップに書かれたことばが「発達障害 ばんざい」でした。

  「発達障害」という概念を手に入れて、自分や相手の行動が理解できるようになると、「あらまー、あなたも、こんなところに弱点があったのね!」「あらあら、私はここが、こんなにヘンよ!」と、自分の中にも、他人の中にも、たくさんたくさんおかしなところを見つけて笑い合い、「お互い、大変よねー。それにしても、私たち自分で言うのもナンだけど、がんばって生きてるわよねぇ!」と、共感し、赦しあえるようになるからだと思います。

  まだ、全国的には「発達障害 ばんざい!」と言える状態にはたどりついていませんが、あと5年10年すれば、きっとそういう日が来ているにちがいない、って思える今日この頃です。   そういう方向でのよい本が次々出版されるようになっているからです。

  23日(土)は東京大学本郷キャンパスで「自閉症者の語る自閉症の世界」と題するシンポジウム」が開かれました。私もコメンテーターとして登壇しました。
  本当に、貴重な経験でした。「百聞は一見にしかず」とはこのことです。
  が、これについては、別の機会に書くつもりです。

  24日(日)は茨城県言語聴覚士会(県士会)主催の研修会にお招きを受け、土浦に行きました。STはその大半が病院で成人を見ているという現状の中、子ども、しかも幼児とかかわっている少数派である私をお招きいただくことが大変ありがたく、勇んで出かけてゆきました。

  参加者は、どこの言語聴覚士の集まりでもそうであるとおり、若い方の姿が目だちました。
  そもそもSTとはどういう仕事か(仕事であるとナカガワが思っているか)というお話からはじめたのですが、会場のみなさんが本当に熱心に聴いて下さっている雰囲気が感じられ、気持ちよく話させていただきました。

  今回の資料を作る中で、あらためて、STという仕事はステキだな、って思いました。

  23日のシンポジウムでも感じたことですが、言いたいことがあり、それを発語する、話すというのは、話し手側だけの行為ではなく、それを「聴こうとする聴き手」の存在、聴き手の構えに大きく影響されるものですね。

  対面しての会話では日ごろそう感じていましたし、講演でもそういうことはおぼろげに感じていましたが、講演とか、シンポジウムにおいても、「話し手が話す」だけでなく、「話し手は聴き手によって引き出される」ものなのなのだなぁ、と、なんだか不思議な気持ちになりました。   コミュニケーションはコラボレーション。

 

 ひょんなことから「チャイルドライン」というものの存在を知り、少しだけ後押しすることになりました。

おりしも、岩波書店からブックレット『子どもの声に耳をすませば―電話でつくる〈心の居場所〉― 』が出版されました。 
http://www.childline.or.jp/supporter/whatsnew.html#000496

 
◆「チャイルドライン」とは、18歳までの子どもなら誰でもかけていい電話です。
  ちょっと話したいな〜、僕の悩み聞いて〜、お友達ができないんだ〜、お友達が意地悪するんだ〜 など、どんな小さなことでも、真剣に耳を傾けてくれる大人が電話の前にいてくれます。

 ◆「チャイルドラインのやくそく」は次の四つ。

   秘密は守るよ、どんなことでもいっしょに考える、名前は言わなくてもいい、(電話を)切りたいときには切っていい

子どもたちの声にただただ耳を傾けるチャイルドライン。チャイルドラインってなあに? 

       「たとえ、2分でも、3分でも、真剣に自分のことを聞いてもらえた、一生懸命聞いてくれる大人がいるんだ、という体験が、その子の中に何かを残すと信じて(チャイルドラインの活動を)やっているのです」ということばが耳に残りました。

 チャイルドライン 支援者、大人用ページ 
   http://www.childline.or.jp/supporter/

定額給付金からの寄付も募っているそうです。
   http://www.childline.or.jp/supporter/whatsnew.html#000496

 

 

     昨日(4月4日)、寝る前になんとなくテレビのスイッチを入れると、NHKで「拝啓 旅立つ君へ〜アンジェラアキと2000通の手紙」の再放送をしていました。http://www.nhk.or.jp/ncon/pr_info/02.html 
昨年のNHK全国中学校合唱コンクール課題曲「手紙〜拝啓15歳の君へ」をめぐる全国の中学生と作曲者アンジェラアキの交流を描いたもので、ついつい最後まで(深夜の2時37分まで!)見てしまいました。

  この「手紙」は、25歳になった「僕」と15歳の「僕」との間の手紙、という内容。このブログでも昨年末にコメント欄で紹介して下さった方がありました。
試聴できます
合唱版   ⇒ http://www.nhk.or.jp/ncon/arch_letter/index.html
アンジェラアキ⇒http://douyou1001.seesaa.net/article/115601960.html

 歌詞の中にあるフレーズ
「自分とは何でどこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる」
「人生の全てに意味があるから 恐れずにあなたの夢を育てて」
「いつの時代も悲しみを避けては通れないけれど 笑顔を見せて今を生きていこう」
は、障害や病気という予想外の困難に直面して悩み、混乱している人たちのすべてに、(そして、自分にも)私が贈りたいと常日頃思っていることと重なることばでもあります。

  番組の中で、コンクールに向けて、この歌を何回も何回も歌うことを通じて、また、問題にしっかり直面しながらくぐりぬける中で、歌詞のことばが自分の中にしみこみ、自分自身のものとなり、苦しい現実を超えてゆく力を得た中学生たちの姿がありました。
  あらためて、音楽の力、ことばの力ってすごいなぁ、と思い、「ことば」にかかわる仕事をしていることのしあわせを思いました。 

 見終えて寝ようとしたら「今夜はナマラナイト」http://www.nhk.or.jp/namara/という山形弁全開の番組(再放送)が始まり、これまたえらく面白かったもので、寝たのが4時近く! 昨日は一日眠くて眠くて。たまらず昼寝しました・・・。ひとさまには、「早寝早起きがすべての基本です!」なんて言うくせに・・・・・・・・・

  狛江の我が家のそば、「六郷さくら通り」は、以前は「福祉会館通り」と呼ばれていました。(Wikipediaにもそのいきさつが出ています)
  福祉会館は、今は建て替えられて、福祉・保健の拠点「あいとぴあセンター」になり、私も、時たま?たびたび?出没しています!  職住近接を地で行くほどの近さです。

  このあたりには、その昔、新宿区の学校の生徒が夏に宿泊学習をする施設があったというから驚きます。え? 狛江って、わざわざ林間学校(いや、川間学校?)に来るような場所だったのか、と。

  六郷さくら通りの、多摩川住宅の中の通りの桜は、それはそれは見事です。満開の時期には、あまりの美しさについ気をとられがちなので、運転するには危険かもしれません・・・・・・。

  この桜、今年は花冷えとかで、咲きそうでいて、まだ満開にはなっていません。
できることなら、週明けまで持ちこたえてほしいものです。そのためなら寒いのはガマンしてもいいです。なぜなら、来週月曜4月6日が市内の小学校の入学式だから。

     一昨年でしたか、入学式に行ったところ、校長先生が本当にうれしそうに満面の笑み。「桜が満開でよかった、うれしい、子どもたちをこの満開の桜で、迎えてあげたかった!」とおっしゃっていました。桜の開花の一日一日をこういう気持ちではらはらしながら見ている人がいるのだな、と知ったその翌年からの桜は、またちがった美しさを私に伝えてくれるようになりました。 

  先生方への辞令交付に伴う諸儀式も終わり、新入生、新学年を迎える準備で、日本中の学校はとても忙しい時期だと思います。入学式の日に新入生に渡す交通安全の黄色いランドセルカバーや黄色い帽子を、学校ごとの新入生数にあわせて数えている人も、全国にいるのでしょう。

  いろいろなものを見て、その裏にいる人たちの力を感じられるようになったのも、年を取ったおかげの楽しさかな、と思っています。
   

  狛江に長くお住まいだった中村哲夫さんという方が、昨年7月に亡くなられました。享年80歳。大きな病気から一度回復され、元気なお姿を見かけて安心した直後だったので、私は大ショックで、お通夜に行く道すがら、泣けて泣けてたまりませんでした。お通夜に行くのに泣きながら行く、なんて初めてのことで、私の中の中村さんの存在の大きさを感じました。

 中村さんは、事業を営む一方で、音楽大好き、スポーツ大好き、狛江大好きの方でした。私は市内でコーラスをやっていたころに「狛江市音楽連盟」の親分(?)役としての中村さんにお会いして、いっぺんに子分になりました・・・。

  ちなみに、狛江では毎年6月に「初夏の音楽会」と題して市内の音楽グループ(コーラス、吹奏楽、器楽等々)が総出演する音楽会が開かれています。音楽を愛するもの同士、地域の中での横のつながり、という点でユニークな音楽会だと思います。

  お通夜で会った人たちの間から自然発生的に「偲ぶ会」をしようという話が盛り上がり、昨日(3月29日)心のこもった偲ぶ会が行われました。

  中村さんは、音楽連盟、スポーツ振興にかかわっただけではなく、狛江のまちづくりにも大きく関与されました。

  狛江にいらしたことのない方はどうぞ一度来て、駅前の豊かな緑をごらんになってください。狛江市民の自慢の一つです。
  当初はこれらの緑地を取り払ってどーーんと大きなビルを建てる予定があったのですが、中村さんたちを中心とする市民が粘りづよい、でも、果敢な運動を起こして、この緑を残してくれたのでした。

  もう一つの狛江の自慢は「むいから民家園」です。旧荒井家住宅を移築したもので、今、市民の大きなよりどころになっています。この「むいから民家園」開園に際しても、中村さんの大きな尽力があったそうです。

  中村さんは、ほんとにフランクで懐の深い人、あったかい人でした。どこで会っても「やあ!」って手をあげて声をかけてくださいました。一度会うと、その「オーラ」というか、人間に魅せられてしまう・・・というか。

  私利私欲ではなく、「狛江のために」「音楽のために」「スポーツのために」働いているんだ、ということが傍目にもよく分かるような・・・。    昨今は、そういう、「大きな人」がいなくなっちゃったなぁ、私たちがその後に続かなくちゃいけないわけなのだけど、人としての器の大きさがとてもとても及ばないよなぁ・・・・とつくづく思いながら、偲ぶ会から戻って来ました。

  保育園、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校・・・・・。 いろいろな場で、卒業式が行われている時期ですね。

  私は、この時期、毎年、必ず、小学校、中学校の卒業式に参列します。 なぜなら教育委員だからです・・・・・・。

  狛江市内には小学校は6校、中学校は4校あり教育委員は教育長を含めて5人しかいません。卒業式は市内全校同じ日に行われます。
  なので、ゼッタイどこかの学校があたります。
  教育委員のお役目は「教育委員会を代表して」登壇して「告辞」を読むことです。この時期は、壇上でくしゃみ発作に襲われないか、それが心配です。

  自分が生徒だったとき、また、自分の息子たちの卒業式では、黒い服を着た人が次々と現れて、変わりばえもしない祝辞を延々と読むので、「早く終わらないかなー」って思っていましたが、自分が読む側に回ってみて、いろいろなことが分かりました。

  「変わりばえもしない」ように思える祝辞も、それぞれの担当が(指導室とか、市議会の担当者とかが)心を込めて書いて下さっていること、教育委員会や市議会を“代表”しての祝辞なので、市内全部の学校で同じ内容のものが読まれる必要があること、A4版の用紙に縦書きで打ち出したものを糊で貼り合わせて巻紙風にする手間がかけられていること・・・・などです。

 一人ずつちがう、個性的な子どもたちが、大きく成長して一歩大人に近づく姿を見るのはうれしいものです。今日行った学校は、息子たちが卒業した学校だったので、昔のことをなつかしく思い出し、感慨もひとしおでした。  

  小さいころに気がかりなことのあったお子さんが大きく成長して、晴れの卒業の日を迎えている場合もきっとあるでしょう。   逆に、他の子どもたちとの違いを思い知らされる思いで卒業式に出席されるご両親もおられることでしょう。

  すべてのお子さんの前途が明るいものになりますように。 健やかで、充実した人生を送れますように、と願いながら黄砂と花粉の舞う中を自転車で帰ってきました。

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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