片言程度のことばしかなく、それも、エコラリア(オウム返し)が多く、部屋を意味もなく走り回り、「ウィーーー!」って言いながら、手をたたき、ぴょんぴょん跳ねる自閉症の人を見れば、多くの人は「重い知的障害を伴う自閉症の人だな」って思うでしょう。
でも、見た目そういう風にしか見えない自閉症の人たちが「周りの人たちが話していることは、一般の人と同じように聞こえ、理解しています。でも、自分でことばを言うことが、どうしてもできない」のだとしたら?
そういう人たちに発信の手段を保障しようと行われてきたのがFC(ファシリテーテッド・コミュニケーション)や筆談です。
昨年11月16日にダグラス・ビクレンと東田直樹ジョイント講演会が開かれました。援助者が手を支えて書く、一般的なスタイルの「筆談」ではなく、直樹くんがその場での質問にこたえてパソコンを打ち込んでゆくさまが映しだされ、参加した人たちに大きな印象を残しました。
(11月16日の講演会の様子はhttp://escor.co.jp/gr/dn-forum/に)
今年5月に、ダグラスが再来日し、東田君を含むメンバーによるシンポジウムが企画されています。私(中川)も、シンポジストの一人として登壇します。
「不思議」としか言えないけれど、でも、確かにそこに実在するらしいFC(ファシリテーテッドコミュニケーション)を解明し、もっと多くの人たちにチャレンジしてもらいたいものだと願っています。
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公開シンポジウム 【自閉症者の語る 自閉症の世界】
主催:東京大学大学院教育学研究科 臨床心理学コース
共催:東京大学大学院教育学研究科附属
バリアフリー教育開発研究センター(予定)
日時 2009年5月23日(月) 1時半ー5時
会場 東京大学鉄門講堂
定員 250名
参加費 500円
登壇者 東田直樹 高校生作家
ラリービショネット 画家
トレイシー・スレッシャー セルフアドボケイト
ダグラス・ビクレン シラキュース大学
中川信子 言語聴覚士
能智正博 東京大学大学院教育学研究科
臨床心理学コース准教授
下山晴彦 東京大学大学院教育学研究科
臨床心理学コース教授
詳細・申し込みは http://katari.umin.jp/ をご参照ください。
筆談援助・FCについては、「言えない気持ちを伝えたい」(筆談援助の会 エスコアール出版) が出版されています。