ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

「ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ」の17冊目。

ツウキュウということばよく聞くけれど、実際どんなことをしているのか

知らない方も多いのではないでしょうか?

通級指導教室の全体像について見渡せる一冊です。

『私のいないテーブルで』
    丸山正樹 東京創元社

丸山正樹さんの最新刊。

丸山さんは、「デフ・ヴォイス」など、CODAの通訳士を主人公にした小説を何冊か書いておられます。

CODA(Chidren of  Deaf Adult)。聞こえない親のもとに生まれた「聞こえる子」のこと。

  ご自身もCODAである五十嵐大さんが書かれた記事。
 「耳の聴こえない親に育てられた、聴こえるこどもたち『コーダ』は何をかかえ
  何に苦しんでいるのか」  文春オンライン 2020/6/25

※ ディナーテーブル症候群 : 楽しい団らんであるはずの食卓で、一人だけ話題に  
  加わることができず、疎外感をかかえる聞こえない・聞こえにくい人のこと

補聴器や人工内耳が進歩しても、
聴こえる人(聴者)と、聴こえない(ろう)人・聴こえにくい人(難聴)の人との
間には、まだまだむずかしい課題がたくさんあります・・・・。

何かを積極的に「する」ことができなくても、「知る」ことだけは続けないと。

丸山正樹さんの第1作

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫) [ 丸山 正樹 ]
価格:770円(税込、送料無料)
(2021/8/30時点)

『聴覚障害のある子どもの理解と支援』廣田栄子編著 学苑社

学苑社の「シリーズ きこえとことばの発達と支援」の中の一冊。

聴覚分野一筋にやって来られた廣田栄子先生の編著。

帯の文章を紹介します。

最新の基礎知識から明日の実践のヒントまで。

聴覚障害のある子どもの発達については、言語・認知・心理・社会・情緒発達
などの広い視点で理解を深めることが重要です。
本書では、子どもの学習上の課題について、言語獲得の基礎となる「幼児期から
学童期への発達の移行」に焦点を当てて紐解き、近年の知見を元に言語習得の
支援について解説します。

特筆すべき点は、田中美郷先生が「推薦のことば」でふれておられるように

手話にも視野が及んでいることです。

当事者中心の考え方が広がったことと、聴覚口話vs手話の対立ではなく、

「人工内耳も手話も」という新しい方法論が模索される時代になって来た

ことの証でしょう。

本書の手話の説明の中で、日本手話と日本語対応手話の両方に言及されて

いることも、とても重要な点であると思います。

目次

Ⅰ 聴覚の保健と環境
A 聴覚と聞こえの障害        杉内智子
B 補聴器による聴覚活用と支援   富澤晃文
C-1 人工内耳による聴覚活用と支援  廣田栄子
C-2 人工内耳装用児の支援     井脇貴子
C-3 人工内耳装用児の聴覚活用と言語発達の実際 赤松裕介
コラム1 補聴と環境整備      富澤晃文

Ⅱ 言語発達とコミュニケーション
A 言語コミュニケーションの基礎 廣田栄子
B 言語発達と国語科教育     齋藤佐和
C コミュニケーションと聴覚口話法 中村公枝・廣田栄子
D コミュニケーションと手話法   四日市章
E 言語発達と社会的認知       東山 薫
コラム2 手話と読み書き学習    武居 渡

Ⅲ 言語発達の個別支援ニーズと指導
A  個別支援ニーズのアセスメント 廣田栄子
B-1 語彙の発達          廣田栄子
B-2 語彙指導の展開                   山本 晃
C-1 構文の発達                         小渕千絵
C-2 構文指導の展開                   木暮由季
D-1 ナラティブの発達                大原重洋
D-2 ナラティブの指導の展開       大原重洋
E-1 コミュニケーションの発達      廣田栄子
E-2 コミュニケーション指導の展開① 長岡康彦
E-3 コミュニケーション指導の展開② 野原 信
F-1 読み書きの発達                        廣田栄子
F-2 読み書き指導の展開                  玉田美子

Ⅳ 社会参加と連携
A 学校教育と合理的配慮                     原田公人
B 聴覚障害のある児童生徒の情報保障と支援 中津真美
C 障害認識と発達の支援                     岡野由実
D 聴覚障害児ピア交流と支援               星川則子
E 家族との連携―障害の気づきと言語発達の支援 北 義子
コラム3 聴覚障害のある教師として       奥沢 忍


 

吃音ドクターこと菊池良和先生の本。

『保護者からの質問に自信をもって答える!  吃音Q&A』

       菊池良和  日本医事新報社

「はじめに」で菊池先生はこう書いておられます。

「子どもの吃音を相談したいのですが」と保護者から言われた時、「いいですよ」と

快くこたえ答えられる医師や言語聴覚士などの医療専門職はどのくらいいるの

でしょうか?」と。

そして「世界の吃音研究はどこまで進んでいるのか、遺伝学、脳科学、吃音軽減法、

社交不安症、薬物療法、社会経済学的研究のエビデンスを紹介しました」とつづきます。

そして

「本書を通して、『保護者からの質問に自信をもって答える』ことのできる医師、

医療・福祉・教育関係者が増えることを期待します。その結果、吃音に悩む本人・保護者が

減ることを期待しています。また、吃音研究の大切さが広まり、研究に協力して

いただける方が増えることも期待しています」としめくくられます。

ご一読を。

菊池良和先生Twitter  https://twitter.com/kiku618

日本LD学会理事長の柘植雅義先生が監修者となって、次々刊行されているシリーズ

「ハンディシリーズ 発達障害支援・特別支援教育ナビ」の一冊。


『発達障害のある子のメンタルヘルスケア
    ーーこれからの包括的支援に必要なこと』

   神尾陽子 編著   金子書房 2021年8月

「はじめに」から一部を紹介します。

――メンタルヘルス(心の健康)は精神疾患にかかっていない状態、といっった
  狭い意味での健康を指してはいない。WHOの定義はこうである。

  「メンタルヘルスとは、人が自身の能力を発揮し、
  日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、
  かつ地域に貢献できるような満たされた状態(a state of well-being)である」

    中略

  したがって、メンタルヘルスは、一人一人にとって重要であるだけでなく
  すべての人を構成員として包摂する社会の側から見ても、生きがいのある社会
  であるために必要不可欠なのである。

何かとうまく行かなさをかかえながら成長し、メンタルの不調をかかえる当事者のことを、もっとよく知るために。

まだお話が達者ではない赤ちゃんやことばの遅い子も、「わんわん」とか「ぶっぶー」

などのオノマトペ(日本では擬声語・擬態語・擬音語)が好きですね。

言いやすい音、とか、くり返しがある、とか理由もあるみたいなんですが、

理由はともかく、ことばや音で楽しく遊べたら、それがことばのタネになって

行くのはたしかです。

言語聴覚士が作った「ことばを育てるえほん あいうえオノマトペ」            

     石上志保  河出書房新社   2021年4月発売 イラストがシンプルで、お子さんたちの「音あそび」のおともによさそうです。

あいうえオノマトペ [ 石上 志保 ]
価格:1760円(税込、送料無料)
(2021/8/24時点)

同じ石上志保さんによる

「ことばを育てる オノマトペカード あいうえお編」
       
 (合同会社 まちとこ)

「ことばを育てる オノマトペカード ぱぴぷぺぽ編」
             (合同会社 まちとこ)

がネット上のクチコミで高い評価を得ているのは、「こういうものが欲しかった!」

て思う人が多いからかもしれませんね。

絵本版もカードも、子育て中の親子さんに、コミュニケーション

楽しく育てるツールのひとつにしていただけるとうれしいです。

障害のあるなしにかかわらず、すべてのお子さんの笑顔が見られるように。

『発達の気になる子の 体の動きのしくみとトレーニング」
     川上康則   ナツメ社     2021年3月

ST(言語聴覚士)がよく求められるのは、「読み書き」や「発音」「集中力」。

練習するだけで上達して、卒業できる子はいいのですが、問題の背景に発達の問題を

かかえる子は、なかなか成果が上がらず、子どもがすっかりやる気を失ったり

担当者が挫折したり、になりがち。


川上康則先生の本は、これまでも多数出ており、どれも、現場の役に立つものでした。

が! 今回の出版元はナツメ社。難しいことを分かりやすく解き明かして説明するのに定評のある出版社です。

それで、な〜〜〜〜るほど、ガッテンガッテンの続出。


◆初期感覚のつまずきと愛着形成(のつまずき)  特に触覚の敏感さ
◆自分で決められること(自己決定)と動機づけ(やる気)
◆動きづくりは実は関係づくりでもある

など、コミュニケーションや読み書きの前提として必須のことが示されています。

「感覚統合」にはなんとなくアレルギーがあったり、からだのことってOTがやる分野でしょ?と

思っている方にも、ぜひお読みいただきたい一冊です。



 

新刊のご案内

『人とのかかわりで育つ 言語・コミュニケーションへのアプローチ  
                 家庭・園・学校との連携』

編著 大伴潔  綿野香 森岡典子
学苑社  2021年5月

https://www.gakuensha.co.jp/book/b581857.html

本についている帯文から

「ことばを育てる玩具や絵本の使い方、肢体不自由のある子どもの
表現の広げ方など具体的なアイデアが満載。
子どもの興味を広げ、発見や喜びを思わず伝えたくなるような
環境の作り方から、支援者同士が専門性を生かし合い、子どもの
経験を豊かにするためのかかわり方を解説。
幼児・児童にかかわる言語聴覚士(ST)必携の書。」


ターゲットは言語聴覚士となっていますが、子どものコミュニケーションをどうとらえ

どう応援していけばいいか、子どもに関係する大人の方たちにも参考になると思います。
 

 

言語聴覚士をしている友人で、長野県諏訪市で児童発達支援事業所を運営している原さんが新しく本を出しました。

『発達障害の子の療育が全部わかる本』

 原哲也  講談社  2020年1月 1400+税

まえがきにこう書いてあります。

ーーー ーーー引用 ここから −−− −−− −−−

この本はわが子の発達障害に初めて向き合う保護者の方が発達障害や療育をめぐるさまざまな事項について、おおまかに知ることができるようになっています。

〇発達障害とは何か

〇療育とはどんなものか

〇療育は実際に何をするのか

〇保護者は何をしてあげられるのか

〇発達障害のある子のための支援制度

〇進学・就職のこと

〇お金のこと

       (中略)

保護者の方は、お子さんを思い、でもたいへんな「発達障害のある子の子育て」で自分自身のつらさも抱えながら、懸命に療育に取り組んでおられます。 

私はその姿を見ながら、発達障害のある子とともに暮らし、生きていく保護者の方を応援したいと心から思うようになりました。

人間、先が全く見えないと力が出ないものです。

この本で、これからどういうことに出会うか、出会う場面で何を考えたらいいかがわかって、それが発達障害のある子を育てる保護者の力になったら、こんなに嬉しいことはありません。

 ーーー ーーー 引用ここまで−−− −−− −−−

保護者向けの本、とのことですが、「子育てを応援する」立場で保護者の方たちにかかわる私たちに必須のことが濃縮して入っていると思いました。

なお、原哲也さんが運営している事業所は、WAKUWAKUすたじお です。

2018年に出版された発達障害のある子と家族が幸せになる方法:コミュニケーションが変わると子どもが育つ(学苑社)もいい本です。

 

 

 

「こうた もどっておいで 時を経て二〇二〇」

  柳田節子   文芸社  1100円

NPO法人「ことのはサポート」 理事長として、江戸川区を拠点に活動(活躍)している柳田節子さんとは、法人の前身「言の葉通信」でお会いして以来の友人です。 

一人息子のKくんやその他について、折々にメールをもらい、でも魔法のように有効な解決を提示することはできず、ともかく話を聞き、いっしょに考え、悩み、社会のハードルに共に憤って来ました。でも、柳田さんのすごさは、嘆くだけではなく、壁を突破する方策を考え、そして、次々実行して来たところにあります! NPO法人「ことのはサポート」の事業内容をご覧ください。すごいの一言です。

https://koto-supp.org/


柳田さんが2006年に出版した「こうた もどっておいで」「こんなはずじゃなかった子育て」への思い、「誰かにわかってもらいたい」という思い、一般の子育てよりもすこしだけ手間のかかる子育てをしている母親のことを、周りのいろいろな人の視点から描いた切実な本でした。 

 

それから14年。ご子息のKくんは、この本の主人公の幸多とは異なり、作業所で元気いっぱい働く、「幸多い」青年になられました。
 

改訂にあたって「寄せることば」を見なおしました。
障害分類名が変わった以外には、なかなか理解されない発達障害(かもしれない)の子どもの子育て真っ最中の親ごさんたちの
悩みは15年前とあまり変わっていないように思われました。

この書籍をお勧めします。周りの方たちにも広げて下さい。
孤立しがちな親ごさんたちが「ひとりぽっちじゃなかった!」と思えるような出会いや"支援"のネットワークが全国津々浦々に行き届くように、みんなで努力したいものです。

 

 


「コミック版 『語りかけ』育児」
  著   サリー・ウォード
  まんが 一色美穂
  監修  中川信子


もとの本
0〜4歳 わが子の発達に合わせた 1日30分間『語りかけ育児』」(小学館)はすばらしい本です。

1日30分、静かな場所で、子どもと遊ぶ。
ただし、子どもが興味を向けるものに注目し
子どもの気持ちに合わせたことばをかける。
ただそれだけで、子どもの心もことばも驚くほど育つ・・・・。


でも、もとの本は、見た目、結構厚みがあるので、敬遠されがちでした。
子どもの月齢の所だけ20ページ程度を読めばいいので、
そんなにハードルは高くないはずですが、
子育て中に、一冊の本を開く時間はなかなか作れませんよね。


で、このたび、この本のコミック版が出ました。
中味はそのままに、読みやすくなりました。
監修を依頼されたので、私は、こう紹介しました。
==========================
ことばは教えられて覚えるものではなく、楽しい時間を過ごす中で、自然に身についていくものです。
おとなが子どもの興味に注目し、子どもの気持ちに寄り添う。
たったそれだけのことで、楽しい「ことばの世界」が生まれます。
このコミックが笑顔あふれる親子の暮らしへの入り口になりますように。
===========================


一方、担当編集者の思いは
ーーーーーーーーーーーーーー
実は、私、元の本を読みこなせず、
「語りかけ育児」を挫折しています。

育児中の忙しい時期に
まずはすぐに読める
この本の
マンガがあれば・・・と空を見上げたのが、
作るきっかけです。

その効果はもちろんのこと
まずは1日30分しっかり子どもに向き合えば、
子どもが大きくなって
もっともっとふれあっておけばよかったと後悔もなくなります(きっと)。

ぜひこれから出産する方、
今赤ちゃんと一緒にいる方に

ぜひお読みいただきたい一冊です。

 

-------------------------------------
というわけで、子どもとどんなふうに暮らして行ったら
いいんだろう?

あそぶ、って言われても、よくわからない。
でも子どものことばを育てたい。
と思う方に、ぜひお勧めします。

中川信子の新刊が出ました。
「保育園・幼稚園のちょっと気になる子」(ぶどう社)
      2000円+税 =2200円  2020年2月20日発売

保育園・幼稚園のちょっと気になる子 [ 中川信子 ]
価格:2200円(税込、送料無料)

(2021/8/24時点)

保育者向けの雑誌「エデュカーレ」http://ikuji-hoiku.net/educare/上に2003年から2011年までの連載を手直ししました。
連載中から「単行本にしてください」って言われていたのですが、生来のモノグサで、こんなに遅くなりました。

 

題の通り、幼稚園や保育園の先生方に「ちょっと気になる子」をどう理解したらいいかのヒントをお伝えできたら、と考えて書きました。

「発達障害があるか、ないか」を分けて「特別な支援をする」という考え方からはそろそろ脱却して、子どもが毎日の生活の場で居心地よく暮らせるようにみんなで支える「当たり前の支援」に向けて、少しでもお役に立てばと願っています。


目次
ーーー
はじめに 

1章 ちょっと気になる子の理解
・ちょっと気になる子ってどんな子?
1 困った行動について考えてみましょう
2 子どもにはどう聞こえているのかな?
3 触れられること触れることが苦手な子
4 目の使い方がうまくいかない子
5 偏食の強い子
6 不器用な子
7 突然叩いたりかんだりする子
8 姿勢がくずれやすい子
9 集団参加が苦手な子
10 園ではまったくお話ししてくれない子
11 場面や気持ちの切り替えがむずかしい子
12 ユニークで風変わりな子


2章 子どもを支える配慮と工夫
1 目で見てわかる支援
2 わかりやすい話し方


3章 こんなときどうすればいい?
1 登園しぶりがあるとき
2 朝のお支度ができないとき
3 席から離れてしまうとき
4 お友だちの中に入りにくいとき
5 大人から離れられないとき
6 場面の切り替えがうまくできないとき
7 遊びが続かないとき
8 絵本や紙芝居に集中できないとき
9 ホールの活動に参加できないとき
10 外遊びに出たがらないとき
11 製作の課題に取り組まないとき
12 体育遊び運動遊びが苦手なとき
  ・すべての子に注意深く配慮された子育てを


4章 つながりの中で育てる
1 保護者と協力するために
2 子どもをめぐるシステム
あとがき

 

 

待望の本が出ました!

「みんなでつなぐ 読み書き支援プログラム」
   井川典克 監修  
   高畑脩平・奥津光佳・萩原広道・
   NPO法人 はびりす/編著

学校年齢になると、読み書きに苦戦しているお子さんはとても多いものです。
そして多くの人は点つなぎ、なぞり書きをせっせとやらせ、「読む練習」「書く練習」をくり返して学習させようとします。
でも、成果は上がらず、子どもはますます読み書きが苦手に・・・。

そりゃあそうでしょう。
「読む」「書く」(「話す」も)は、からだや脳の中で複雑ないろいろなプロセスをたどった末の最終産物です。
その途中の「いろいろなプロセス」をきちんとアセスメントし、どの部分にテコ入れしてあげたらいいのかを見つけ、いっしょにトライして行くのでない限り、そのお子さんの人生はどんどん不幸なものになってしまいます(涙

「肩が痛くて動かせない」で困ってお医者さんに行った時に、検査も何もしないで「痛くてもなんでもどんどん動かしなさい、そうすれば動くようになる!」って叱咤激励され、かえって悪化させるのとおなじくらいひどい話だと思います。

この本を読むと、読み書きに至る「いろいろなプロセス」がこんなに重層的で広範囲なものだったのか、と目からウロコを何十枚も落ちること請け合いです。
そのことを専門とする医師、オプトメトリスト、作業療法士、視能訓練士、理学療法士、そして現場の先生や保護者、そして何より、いちばん苦労している本人とで「ワンチーム」で動いて行けるようになる日は、すぐそこ!にはありませんが、近づいて行きたいですね。
苦戦する子どもたちへの「本当の支援」が実現するように願います。

高齢者も 子どもも 障害のある人も 住みなれた町で ゆるやかにつながりながら 安心して生きて行きたい・・・。

たいていの人が願うこんな「あたりまえ」のことが、なぜ、できなくなっちゃったんだろう?
人と人の間に線を引いて、「はい、あなたはこちらね」「君はあっちだよ」と分けるようになっちゃったんだろう?

法律や行政は、ある枠に入るかどうかを見定めて、入ると決まったら給付を行い、入らない人には「自立できるんだから、自分でがんばってね」と言う。

税金で回していることだから、それは、ある程度しょうがないことだけど、行政の担当者の中にだって、ほんとは、これではいけない、何とかしないと、って思っている人は多いはず。


この本を読んで、今の日本ではムリなのかな?と思っていたことを、実現している「場」があるというだけで、少し将来に希望が持てる気がしてきました。

小金井で、民間アパートを改造して、一つ屋根の下で介護保険、地域福祉、子育て支援の三つの事業を行っているNPO法人「地域の寄り合い所 また明日」のルポです。

「地域の寄り合い所 また明日ーー新しい時代の共生のカタチ」

   太田美由紀  風鳴舎  2019年12月20日発売

発売1カ月たたないうちに、早くも重版。

ここで、長々と私が感想を書く必要もありませんが、一言でいえば「みんなでいっしょにやって行こうよ、楽しいよ」ってこと。

地域福祉の試みの先進として、注目され、あちこちで紹介されているそうです。
たとえば 東京ホームタウンプロジェクト の中の 多世代交流プログラムの中で。
 風鳴舎のプレスリリース記事の中で。

おじいちゃん、おばあちゃん、赤ちゃん、スタッフ、訪問者たちの とびっきりの笑顔の写真が、ここが「よい居場所」であることを示しています。

「すごい人がいるなぁ」
「すごい所があるなぁ」
「うちの地域ではムリだわ」
で終わらせず、
自分の住んでいる地域で、どうやったらこういう場所ができるのか、考えて行けたらいいな、と思います。

山登敬之先生のあたらしい本が出ました。
いろいろな本や雑誌に寄稿されたものを中心に編まれています。帯の文句には
「『あたりまえ』を大切にしながら
 親子の悩みを 軽やかに解きほぐす
 ベテラン精神科医の アプローチ」 とあります。

そしてまた

「わからないという前に 言葉に耳を傾ける
 わかるように 教えてあげる
 あるいは患者に なってみる」   とも。


私は、狛江で「療育相談」を長年ご一緒させていただきましたが、保護者に対しても、子どもに対してもいつもフラットな構えで、安心して本音の言える「場」を作りだしておられた山登先生の姿を思い出します。

狛江の市民団体「サポート狛江」で、山登先生と自閉症作家・東田直樹さんとのコラボ講演会を企画したこともあります。
行動を見ただけでは、「知的障害を伴う自閉症」と分類されてしまうであろう東田さんですが、その時も、山登先生は、完全に「フラット」な対話をなさっていました。
「ひとりずつを大切にする」「人権を尊重する」ということばは 美しいだけにともすると一人歩きしてしまいますが、そのことを「行動」をもって示すってこういうことだなー、と思いながら、ファシリテーターとは名目だけで、私は同じ壇上にいました。


ショーガイ ショーガイ と言い立てて「ふつうじゃない子」とレッテル貼りして自分と切り離して安心する・・・・みたいな風潮が強まっている今、子どものミカタ(見方)を知り、子どものミカタ(味方)になって、「ひとりずつを大事にする」「連続線上の存在としてとらえる」ということの意味を考えていただきたいと思います。

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ぜひぜひ読んで下さいね!!

「ことばの遅れのすべてがわかる本」中川信子(講談社)の16版ができました。2006年発行以来、版を重ねるたびに、小修正を加えています。制度などもずいぶん変わりましたが、おかげさまでロングセラーになりました。
 

「ことばが遅い」・・・・

「ことばの遅れ」・・・・

わかったようで、よくわからない状態像ですが、必要な育て方は通常の子育てと変わらないよ!というメッセージを、担当の編集者がきっちり受け止めて作って下さった本です。

ご覧いただければ幸いです。

「凸凹子どもがメキメキ伸びる ついでプログラム」    井川典克監修  
    NPO法人 はびりす  鹿野昭幸・野口翔編著 
    クリエイツかもがわ   2019年11月

おお! こういう本が欲しかった!
帯にこう書いてあります。
「発達障がい」と診断される子どもが急増している! 
それって本当に「発達障がい?」
「ついで」と運動プログラムを融合した、どんなズボラさんでも成功する 家で保育園で簡単にできる習慣化メソッド!

 

表紙裏にある監修者・井川先生のことばはこうです。
「診断名から支援計画をすることは、誰のためになるのでしょうか?一番これを求めるのはおとなではないでしょうか。本人の意志を問わない支援ではなく、本人の参加が一番なのです」

長々した解説は必要ないでしょう。
「障害矯正」ではない、すべての子
どもたちのすこやかな育ちのために必要なかかわりをどうぞご覧ください。

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幼児期の子どもたちに「あれ?」と気がかりがある時、まずは、手がかりになる情報がほしいものです。

LCスケール(Language Communication Development Scale)は、ことばやコミュニケーション発達、認知や社会性にも目配りしながら、子どもの姿をとらえられる貴重なツールです。

一般的な発達検査、〇〇検査では、結果の数値が出ても、「では、この子に何をしてあげたらいいの?」という一番大事な課題にはお手上げ、という状況におちいりがち。

でも、この「LCスケール」は子どもの「その後」の育ちの姿に目を向ける手がかりを与えてくれる貴重なアセスメントです。ずいぶん広がって来たとはいえ、まだ、知られていないのが残念です。


ご紹介するのは、「LCスケール」の考え方に基づき、発達過程の理解を深めるための情報が整理された解説書(改訂版)で、2019年9月27日に発売されます。


前書きで著者の大伴潔先生(東京学芸大学教授)は「まえがき」でこう述べておられます。

◆「アセスメントは子どもを深く理解し、効果的な支援の指針を得るプロセスです。

評価法の結果はそのための素材に過ぎません。家族などからの情報や日常のエピソードと統合させ、主訴の背景を探るとともに、本人や家族の願いも踏まえながら、どのような側面が伸びれば子どもの「生活の質」(QOL Quality of Life)が豊かになるか、という観点を大事にしていきたいものです。
また、支援の内容やスタイルは、個別・集団といった支援の場の特徴や、大人自身が得意とするかかわり方によってもさまざまです。
アセスメントツールの活用に熟達したいという方々だけでなく、発達について多面的に理解を深めたい、子どもの特性を踏まえた目標設定のあり方について考えてみたい、かかわりのレパートリーを広げたい、といった方々にも本書は役に立てば幸いです」◆

解説書:「言語・コミュニケーション発達の理解と支援        

LCスケールを活用したアプローチ」
    
2019年9月27日発売   2800円+税

本体: LCスケール増補版 (発行:学苑社  各テスト販売会社からも購入可能

    4800円+税

■1■「子ども理解からはじめる感覚統合遊びーー保育者と作業療法士のコラボレーション」

   編著  高畑脩平、萩原広道、田中佳子、大久保めぐみ

   監修:   加藤寿宏
                    クリエイツかもがわ    1944円   2019年6月15日発売

★大好評の『乳幼児期の感覚統合遊び』第2弾

 実にわかりやすい、実行しやすい、楽しい本です。

「ちょっと気になる」子との暮らしに必須の一冊です!

■2■
「LD,ADHD&ASD」 2019年4月号

特集・「聞く・話す」を育もう〜発達とアセスメント〜

    明治図書   970円

NPO法人「ぷるすあるは」が作成した「生きる冒険地図」が5月下旬に学苑社から出版されることになり、予約受け付けが始まっています。


「生きていい、夢見ていい。
進む道にまよったとき、この地図がコンパスになりますように」

という願いを込めて・・・

もともとは「ぷるすあるは」が作成し、小規模にネットで販売していましたが、今回、市販のルートに乗ることになり、本当にうれしいです。
沢山の子どもたちの、そして、子どもを応援しようと思う大人たちの助けになる「地図」だと思います。
どうぞ手に取って、ご覧になって下さい。
 

予約申し込み受付中です。
アマゾンからでも、子ども情報ステーションからでも。
内容の詳細や目次は学苑社のホームページからご覧になれます。
    ↓ ↓
http://www.gakuensha.co.jp/cn37/40806.html
 

〜〜〜〜〜原画展〜〜〜〜〜原画展〜〜〜〜〜原画展〜〜〜〜〜

5月24日から6月5日まで、原画展が開かれます。
場所は東京・国分寺「カフェスロー」
  詳細はこちら
   ↓
https://kidsinfost.net/irumiru-exhibition/

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「ぷるすあるは」が運営するサイトはこちら
    ↓↓
子ども情報ステーション
「精神障がいやこころの不調、発達[デコボコ]などをかかえた親とその`子ども'を応援するサイト」です。

 

お問合せ・ご相談はこちら

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

お気軽にお問合せください