ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  「星槎(せいさ)大学」または、「星槎国際高校」などの名前を聞いたこと、おありでしょうか?
星槎大学は通信制の共生科学部を中心に、特別支援教育をはじめとする多彩でユニークな教育活動を展開しており、 
星槎グループ 全体もあちこちに広がっています。

 創設者の宮澤保夫さんが「宮澤学園」に始まる星槎創設の思いを、星槎グループのホームページに書いています。
これを読んで「その通りだ! 同感だ!」と思う人はたくさんいるでしょうが、思いを実行に移せる人は、数少ないのではないでしょうか。私も、「同感だっ!」までは思う一人です (=_=)

宮澤さんが、星槎創設から、展開までの苦闘の歴史を書いた本を出版されました。

「人生を逆転する学校」 宮澤保夫  角川書店  1575円

夢はかなえるためにある・・・・   とのことばを思い出し、「お互いがんばりましょう!」と元気になれる本でした。

9月に発売された本のご紹介です。                

『子育てのモヤモヤ・ウツウツが晴れる本
       〜〜こころがラクになる考え方』

 (中川信子・花山美奈子・伊藤郁子) PHP研究所
       1260円(税込み)

私と、臨床心理士で子育て支援センターに長くかかわっていた花山美奈子さん、小児科の伊藤郁子さんと3人で子育てをめぐる質問に3人3様の答え方をしました。

第一章「子どもについて」    
第二章「人間関係について」   
第三章「自分について」     と分かれています。

たとえば第一章「子どもについて」の項目としては
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

出産後、なぜか気持ちが落ち込みがちに。子どもを産んでよかったのかな? と思うときもある。

子どもがうっとうしいと感じたり、子どもに向き合えないときがある。これって変?

子どもに対してしょっちゅうイライラしてしまう。そんな自分に嫌気がさすことがある。

子どもに対してあまり愛情が持てない。こんな私はどうやって子どもを育てていけばいいの?

何を言ってもイヤばかりで、子どもが言うことをきかない。どうしてこんなに反抗するの?

子どもの発達が気になる。他の子より遅れたり、違っているように思えて不安。

子どもの性格が難しいと思うことがある。親子の相性が悪いのか、育てにくいと感じる。

自分の子どものころと時代が変わり、今の時代に合う子育てのしかたがわからない。

子どもが全然思ったように育ってくれない。子育てに失敗したかな? と思うときがある。

などの質問があります。

これを読んだある若いお母さんは

「どれも深く頷きながら、涙がだらだら出て、読み終わったら頭がスッキリしてこころがラクになりました。」

と書いてくださいました。

PHPの家庭用直販という形式での販売なので、購入するには

①PHP研究所に直接申し込む HPから ⇒ PHPへの申し込み
        又は  電話 075−681−8818

②書店に申し込む  かという方法でお願いします。

(アマゾン等、ネットには出ていません)

たくさんの子育て中の親ごさんに読んでほしいと思います。
そして、子育て支援に関わる関係者にも、子育て中のお母さんたちが、笑顔の奥に、こんな、モヤモヤ・ウツウツした思いを押し込んでいるんだということを知ってほしい、もっと、もっと応援団になってほしいと切に願います。

『失語症の理解とケア』(遠藤尚志) 
       雲母(きらら)書房  2000円+税

言いたいことがあっても、口から出てこない。
「お茶」と言いたいのに、「イス」と言ってしまう。
周りの人たちが話していることが、まるで外国語のようで理解できない。
自分に質問されているということだけは分かるのでとりあえず「ウンウン」とうなずいたら、知らない所に連れ出されてしまって、とても不安だった・・・・・

「失語症」とは、健康な人にある日突然訪れる脳血管障害の後遺症として、深刻な孤独と混乱をもたらす障害です。

この本の著者である遠藤尚志さんは、ST(言語聴覚士)です。
病院という枠の中での「ことばの訓練」にとどまることなく、「障害を負った人の地域生活を支え、生きる張り合いを作り出すのがSTの役目」という思いから、失語症友の会、失語症デイサービス、若い失語症者の就労支援、車イスでの海外ツアーなど、さまざまな新しい道を切り開いてきました。
(STの養成校の時の同期生なのです。)

この本は
●失語症とは何か?
●失語症の言語訓練の実際
●地域での仲間づくり
●失語症デイサービス
●旅は最高のリハビリ      という五つの章に分かれています。

初めて失語症に出会う人が、失語症を理し、失語症の人たちとどうかかわり、ケアすればいいのかを分かりやすく紹介してあります。

なお遠藤さんの監修によるDVD『失語症者の障害にわたる支援〜〜新しい地域リハビリテーションの展開』(62分 15750円  (株)アローウィン)も出ています。
こちらは、価格が高いので、誰にでも買える・・・とはいえませんけれど。

読み書き遊び.jpg

以前ご紹介した作業療法士の木村順さんの「発達障害の子の 感覚遊び 運動遊び」の続編が出ました。

『発達障害の子の読み書き遊び コミュニケーション遊び』
         (木村順 講談社)です。

読み書きって、遊びを通してじょうずになるものなのか?
ジャンプする遊びで書き順が整うだって?  え〜、まさか〜。
ブランコやジャングルジムで落ち着いて読み書きできるようになるって? うっそ〜。

たいていの方は最初そう思われると思いますが、この本を読むと、その疑問が氷解するでしょう。
アタマの中の題材を提供された作業療法士の木村順さんもスゴイけれど、難しい理論をいとも簡単に解き明かし、絵にしてくださった編集担当の石川さんにも、敬意を表します。

いまだに「努力不足!」とか、「注意が足りない!」と叱られてばかりの子どもたちが、理解されて、生きていくのがラクになるための助けになりますように。

言語・コミュニケーション.jpg

『特別支援教育のための 言語・コミュニケーション・読み書きに
困難のある子どもの理解と支援』 
   大伴潔 大井学  編著
   学苑社   3000円+税

題名どおりの内容の本です。現役のST(言語聴覚士)も各節を分担執筆しており、きわめて具体的な例や工夫が掲載されています。

どの部分も子ども理解に役に立つと思います。理解できれば、支援の方策はおのずとわかるはずですし。
特に、第三部「読み書きの発達とその障害」は、さすが!でした。

学校の巡回相談の折りに、「字が汚い」とか「漢字を書けない!」とか先生方に「努力が足りない!」ととらえられてしまっている、あの子、この子のために、先生方にこの本を読んでいただければな・・・と思いました。

 、 

子どもの発達支援を考えるSTの会でもお世話になっているネット書店「スペース96」からお知らせをいただきました。 児童精神科医で、日本へのTEAACHの紹介など、大きな働きをされている佐々木正美先生のお話のDVDが発売されるそうです。予約特価での販売とか。

発達障害のお子さんへの「接し方」や「トレーニング」については、たくさんの情報が提供されるようになってきましたが、その根本の部分、「子どもをどうとらえるか」や「人間同士、どうかかわるか」について、小手先のスキルにとどまらない深いお話が伺えるものと思います。

一巻3000円程度なら、個人でも購入できそうですし・・・。一巻ずつでも3巻セットでもよいようです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜紹介ここから〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   
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■  発売記念予約特価
「 DVD  佐々木正美・子どもとともに3巻セット 」のご案内
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『 DVD  佐々木正美・子どもとともに  3巻セット 』 著者:佐々木正美

編:社団法人神奈川学習障害教育研究協会(神奈川LD協会)

価格:2011年7月26日までの予約特価  10,500円→9,000円

発売日:2011年07月26日

(内容)

発達障害実践シリーズ・プレミアムDVD“ファースト1st”

●収録時間 各巻70分

第1巻 自閉症の理解 
    −どこからが自閉症?どこまでが自閉症?−

自閉症を理解することの大切さ、また、何をもって自閉症というのか、自閉症スペクトラム(連続体)の意味するところなどについて、佐々木先生の豊かな臨床経験と科学的データを絶妙なバランスで織り交ぜながらお話いただいています。やさしく楽しい語り口でありながらも、児童精神科医としてのプロフェッショナルな厳しいまなざしで、自閉症をはじめとする発達障害の人たちの基本的な理解と対応について本質に迫ります。

第2巻 子どものこころの世界 
   −臨床家として子どものこころの声に耳を傾ける意味−

子どものこころの声に耳を傾けることの真の意味と大切さについて、お話しされています。発達障害のあるなしに関わらず、子どもたちの発することばやさまざまな行動について、子どもの発達や人間の成長に焦点をあてながら、具体的な事例を取り上げて解説をしています。

第3巻 家族を支える 
     −親に求めること・親から求められること−

家族について静かに語りかけます。佐々木先生ご自身のこと、幼少期のこと、日本の家族の形態、日本人の孤立主義、自己中心主義、人間関係の中で生きる人間の家族との関係について、現代を生きる家族の抱える問題に照らしながら家族を支援することの意味についてお話しています。

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スペース96  久保耕造
176-0011 東京都練馬区豊玉上2-24-1
電話 03-3991-9600  ファックス  03-3991-9634
E-mail qwk01077@nifty.com
ホームページ https://www.space96.com
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  先週(5月7−8日)の赤ちゃん学会の会場に、書籍とおもちゃの販売に来ていたのは「トロル」のhttp://www.troll-ren.jp/ 飛田さんでした。今までに何回もお会いしていたのに、お名前を知らなかった上、「スペース96」の久保さんと間違えたりしてまして・・・。

しりとりしましょ!.jpg

 さて、書籍販売の中に
「たべものあいうえお  あっちゃん あがつく」「たべものカルタ あっちゃん あがつく」と、
それと、それと
、「しりとり しましょ!」があり、一目ぼれ。衝動買い。
(いずれも さいとうしのぶさんの絵です。リーブル社。)

ある種の「特性」を持つものにはこたえられない、「しりとり」「ことばあそび」!!  しかも、ぜ〜んぶたべもの。

「は」のページでは「はんばーがー」「がんもどき」「きなこ」「こーひー」が手をつないでラインダンスをしてます。いや〜 実にユカイきわまる!! 


私がヨダレの出そうな顔で本を持ち上げたが最後、手離せずにいるのを見た飛田さんたら「つなげると29メートルになるんですよっ!! ちょっと待っててくださいね〜」とクルマに取りに行って見せてくれたのがこの写真。
「しりとり しましょ!」をバラして、ぜ〜んぶつなぎあわせると(裏表だから2冊必要だそうですけど)29メートルになるんですって!!

「うわっ!! それ欲しい!!」と言ったんですが、「売ってあげない!」とのお返事。
「3万円出すって人もいましたけど」だそうです。

なが〜く広がった「29メートル」を、もとどおりにきっちり巻くのは、もちろん、私がやりましたとも!


買ってきた本は、今も、デスクのそばにおいてあって、ときどき開けてみては「うっふっふっふ!」と言っております。
だってね、「えびふらい」と「いか」と「かつおぶし」と「しお」が「だるまさんがころんだ」をして遊んでいる所なんて、常人ではゼッタイ考えつくはずがないシチュエーションですもん。

我が家の息子たちが小さいころに、このシリーズがあったらよかったのになぁ。きっとはまりまくったにちがいありません。

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 なお、赤ちゃん学会でのシンポジウムの様子は、佐賀の服巻智子さんが、さっそくその日のうちにブログに書いてくださっていました。 服巻智子公式ブログ
服巻さんとは、帰りの電車で一緒になりました。
服巻さんは、佐賀「それいゆ」で有名ですが、今年はちょっと現場から離れて、大学で、仕事の振り返りをされるのだそうです。

 小学館から発行されている 育児世代対象の月刊誌「edu」4月号で、「子育てが本当につらくなったときにあなたを救う心の処方箋」が特集されました。

1)怒鳴らない子育て 5つの方法
2)「発達障がい」にひとりで悩まない
の2本の記事があります。 

2)の方は中川が取材を受けて持論をお話ししました。
中川つながりで、狛江市内の、通級学級に通っているお子さんの親ごさんたちのグループの方たちの座談会「悩みに共感・励まし会える仲間がいるかがらがんばれる」 の記事もあります。
パワフルですよ〜〜。

さらに、その通級学級が設置されている小学校の校長先生のコメントもステキです。
     ↓↓
「(通級では)それぞれの苦手に個別の指導が受けられ、一人ひとりが達成感や満足感を得られるよに配慮しています。大人数クラスではできないことも、(通級では)丁寧に教えてもらえると分かると、自ら通級に行きたい!という子もいるほど。通級での指導は通常の学級の子どもたちにも参考になることが多いので、そのノウハウをどんどん活用して行きたいですね」

いくらわが愛する狛江だからと言って、狛江の現状がすべて万全とはいえません。
でも、狛江では、特別支援教育の「特別」がはずれて「当たり前の個別支援教育」が実現している、と言える日が来るように、さらに、保護者、支援者、行政、みんなで力を合わせて努力したいと思っています。 (^_^)v

なお、この4月号のメインの特集「ホンモノの英語脳は小学生のうちに育てる!」が好評のせいか、売れ行きがとてもよいようです。
20日発売だったので、売り切れ店もあるかもしれません。
お知らせが遅くなってすみません 
売れ行き好調に付随して、発達障がい記事も多くの人に読まれるとうれしいのですが。

  場面緘黙(かんもく)、選択性緘黙と言われる子どもたちがいます。おうちで、また、慣れた人や安心できる場所でなら、何不自由なくお話しできるし、むしろおしゃべりだったりもするのに、園や学校で、あるいは、外出するとひとこともお話ししない(できない)状態になる子どもたちです。
  日本では、なかなか支援が広がりませんでしたが、当事者と支援者が運営するサイト「かんもくネット」の活動や、本の出版などを通して、少しずつ理解が広がってきているようです。

 ご紹介するのは、本人やお友だちに、この「緘黙(かんもく)」という状態を理解してもらうためにうってつけの絵本です。

   「なっちゃんの声〜〜学校で話せない子どもたちの理解のために」
      はやし みこ  文と絵
      金原 洋治   医学解説
      かんもくネット  監修
               学苑社    1600円+税
               ISBN978-4-7614-0735-3

なっちゃの声.jpg

「お家では話せるのだから」と、園や学校でも話すように強いるのではなく、園や学校が安心できる居場所になるように、大人たちが配慮することが何より大事なことです。
正しい配慮の前提は正しい理解。この本は、理解の助けになります、ゼッタイ。

場面緘黙Q&A.jpg

かんもくネットが手がけた本「場面緘黙Q&A  幼稚園や学校でおしゃべりできない子どもたち」(学苑社)と合わせてお読みになり、“困っている”緘黙の子たちの味方になってあげてください。

医学解説をされた山口県下関の金原(かねはら)先生がどんな人か見たい(?)方はこちらをどうぞ。かねはら小児科  

金原先生、かんもくネットの角田さん、学苑社の杉本さん、よい本を出してくださり、ありがとうございました!! 活用させていただきます。

先日の学校巡回の折、専門家チーム仲間の通級の先生から紹介していただいた本です。

 『通常学級での特別支援教育のスタンダード』
 東京都日野市公立小中学校全教師・教育委員会with 小貫悟
    東京書籍   2800円
    ISBN978-4-487-80490-0

この本を読みながら、平成19年4月1日に文部科学省の銭谷初等中等教育局名で出された通知「特別支援教育の推進について」 の中で、はっきり示された方向、すなわち

《さらに、特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。》

 を思い出しました。

「従来の教育ではもう通用しない」「教育は変わらなければならない」といろいろな人が発言し、さまざまな取り組みが行われていますが、特別支援教育を軸にすれば、おのずと、教育は変わるし、変えることができる、と私はずっと思ってきました。

先生という職業の人たちは、その表現の方法はさまざまですが、子どもたちが輝くことを心から願っている人たちなんだなー、と、知れば知るほど、感じます。
先生方がこの本から、子どもを輝かせるための具体的なヒントを手に入れれば、教員という仕事がもっともっと面白くなるだろうな〜と思います。

もちろん、文字に書かれるのは現実のごく一部、しかも上ずみにすぎない、ということはあるでしょう。実際の姿は、かならずしも手放しで賞賛されることばかりではないかもしれません。
私が目にする学校現場にも、いろいろな場面があります。

にもかかわらず、全校に一冊ずつ、全学年に一冊ずつ、できたら、全教員が一冊ずつ持って、座右の書にしてほしい本だと思います。

なぜなら「特別な大先生でもなく、特別な立場でもない、ごくごく普通の教育実践者たちが、子どもが活き活きと輝く方法を、一丸になって、一生懸命考えてみたら生まれていた」本(前書きより)だからです。「特別支援」の側からではなく、「通常の学級」の側から書かれた本として、「通常の学級の先生」たちにとって、よい啓発書になると思うからです。

「特別な子への特別な支援」ではなく、「すべての子どもに対する個別の支援(個のニーズに応じた支援)」が当たり前に行われる学校に、早く変わって行きますように。

 『ことばの育ちに寄り添って   小さなスピーチクリニックからの伝言』
        渡邉倭文子     コールサック社  1500円
 http://www.coal-sack.com/02/Copy%20of%20index_shinkan3.html

 ST資格の影も形もなかった1958年から言語障害・発達支援の道をひとすじに歩んでこられた渡邉先生の足跡が本になりました。

 序文でも書かせていただいたのですが、STの養成が整備され、知見は広がり、知識も、スキルも大きく広がった反面、子どもとその保護者にどう寄り添い、長い時間を共にすごすかという覚悟(とでも言うべき構え)に欠ける若いSTの方たちも増えていると感じています。

  障害のある人たちを、幼児期から青年期、成人期を通して「支える」「共にある」というのはどういうことなのか。ST以外の方たちにも、おすすめです。

 

「親子で身体いきいき  古武術あそび」
   岡田慎一郎    NHK出版
   2007年      1260円

NHKの介護関係の番組で「古武術介護」という、なんとも不思議ななテーマの話を、かなりの時間を割いて放送しているのをご覧になった方もあるかと思います。太った患者さんを、小柄な介護者が軽々と介助しているのを見ると、びっくりします。

古武術を進化(?)深化(?)させた方として甲野善紀(こうの・よしのり)さんが高名ですが、その甲野さんに触発されて「弟子」になった、岡田慎一郎さんは理学療法士・介護福祉士です。 「古武術介護」は、岡田さんが発展させつつある領域です。

「古武術介護」を、ご本人のサイトから引用すると次のようなことになります。

岡田慎一郎 公式サイト  http://shinichiro-okada.com/ 

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  (http://shinichiro-okada.com/lecture/aboutus.html  より)

(古武術介護とは)日本に古くから伝わってきた武術の身体の使い方や考え方を取り入れた、身体運用の改善と介護技術への応用の取り組みです。

現代人の身体の動かし方は、一般的に筋力を中心としたものですが、これは明治以降、欧米の文化が入ってくるなかで定着したものだという説があります。 「古武術」の動きは、欧米の影響を受ける以前の身体の使い方であり、そこには、筋力に頼らない、質的な転換によって効率よい動きをめざすという特徴があります。

「古武術介護」は、そうした「古武術」の身体技術や発想を、介護はもちろん、日常生活や子育て、スポーツなど、さまざまな現場で生かすべくアレンジしたものです。個別の技術よりも、すべての身体動作の基盤となる「身体の使い方」を改善していくことをめざした取り組みです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今まで、あそびの本が出ていたのを知らなかったのは、不覚でした (@_@;)

あちこちでセミナーが開かれているようです。

私たちST(言語聴覚士)は、ともすると、口先、及び、脳ミソでの交流とか関係性に偏りがちな職種ですが、身体を通して「関係性」を捉えなおし、また、身体と精神との協調、全体性の回復」という、現代に共通するテーマとしても、とても大事なカギが含まれていると思います。

「キツネさんの手」とか、「ぞうきんがけ」とか、ええーーっ?とあっけに取られるようなことが、「身体」にはあります。

NHK教育テレビ「すくすく子育て」 の過去の放送内容を再構成して、「育児ビギナーズブック』のシリーズの本が作られています。

①しつけ(岩立京子)
②病気 (病気)
③赤ちゃんケア(川野元子)
④健診・予防接種(宮田章子)  につづく ⑤ です。

 

 

ことばの育み方.jpg

目次は
◆ことばにかんするこんな勘違い
◆ことばはこうして生まれてきます
◆赤ちゃんに語りかけるときのコツ
◆成長別・ことばを育むコミュニケーション
◆ことばが遅いと感じたら
◆知りたい! ことばに関するこんなこと
   おわりに  子どもの「生きる力」を育んで

ごく基本的なことを、コンパクトに構成してくださってあります。
ちっちゃな本なので、読みやすいかもしれません。
基本的には文字の本です。 780円+税金

IZBN978-4-14-0011296-0
  

 

おっぱいと離乳食.jpg

 新しい本のご紹介です。

 「ママが知らなかったおっぱいと離乳食の新常識  
      かしこい育児はおくちからはじまる」
        監修   中川信子 
       小学館   
       税込み定価998円
       ISBNコード 9784093114059

小学館のサイトでのご紹介が、事情を一番よく説明していると思います。
 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093114059


監修を依頼されたときはうろたえたのですが(私は赤ちゃんの専門家ではないし、ましてや、離乳や摂食のことはよく分かりません・・・・)でも、いろいろな事情からお引き受けすることになりました。

小児歯科の先生方やSTの方々、管理栄養士、などなど、「子どものために!」を中心にすえて仕事をしておられる多くの方たちへの綿密な取材から、今までにない育児書となりました。

赤ちゃんや、お子さんを見ていると、「人間って、発達ってスゴイ!」と感心することばかりですが、この本も、知らなかった不思議にたくさん出会える本です。

小学館の育児関係の本の最近のポリシーに従って、「障害のある子もない子も一緒に」の観点から
「小さく生まれた赤ちゃん」「口蓋裂の赤ちゃん」など、障害にかかわる記述も充実しています。

健診にかかわっていると必ず聞かれるおしゃぶりについても「ナットク!」の説明があり、安心できます。

「 続・自閉症の僕が跳びはねる理由

東田直樹  エスコアール出版部 
     ISBN   978-4-900851-59-7
        発行日   2010.10.10 
     税込み価格  1680円

筆談援助という方法から入り、いまや、一人で
パソコンで発信する方法を獲得した東田直樹くんの本です。
外見上は「重い知的障害を伴う自閉症の人」としか
見えない東田くんの内的世界の豊かさにはいつも
驚かされます。
徐々に理解者、応援団が広がっているようで、
私もとても喜んでいます。

今回の本も、前の「自閉症の僕が跳びはねる理由」と同じく、
一問一答の形で成り立っています。

■コミュニケーション  ■感覚  ■時間  ■行動   
■興味・関心  ■感情・思考  ■援助 ■今、そしてこれから  に分かれています。

 この本の「おわりに」から一部引用します。

nnnnnnnnnnnnnnnnnnおわりに  からnnnnnnnnnnnnnnnnn

  自分の思いを書くことは、心を見つめなおすことです。それは、ときに残酷で、ときに幸福な時間を僕に与えてくれます。
  自閉症とは何でしょう。その答えを一番知りたいのは、僕たち自身です。僕は、自閉症という障がいが、どこから来てどこへ向かおうとしているのかに、とても興味があります。

   〜〜〜中略〜〜〜〜

  ひとりひとりが大切な人であるように、僕が自閉症として生まれてきたことには、きっと大きな意味があるに違いありません。それが、何なのか見つけることが、これからの僕の人生の目標だと思っています。

nnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnn

自閉症の人たちの世界、(東田くんのことばを借りれば「国が違えば、文化や習慣が違う」ように、多数派の人たち(みんな)とは「様々なことが少しずつ違うだけ」の世界)を、周りの私たちがもっともっと知ることを通して、「自閉症者にとって、今よりずっと生きやすい世の中になる」ことを、私も心から願います。

木村順さんの本.jpg

 作業療法士の木村順さんの新しい本が出ました!!

最初の数ページを見ただけで、ワクワク、ドキドキしてきました。

苦手なことのある子どもたちをどうとらえ、おうちで、園で、学校で、今日から何をしたらいいか、合点!合点!できます。

苦手でできないから何回もやらせる、練習させる、という考え方は、百害あって一利なしだ、ということも、わかっていただけると思います。

たくさんの人に読まれますように。

  

飯田先生本.jpg

  精神科医、飯田誠先生の「自閉症は漢方でよくなる!」(講談社)が出ました。

先生とは、とても不思議なめぐりあわせでお会いすることができたのですが、そのいきさつは、「推薦のことば」に書かせていただきました。
(私の「推薦のことば」が巻頭に、しかも、ズラズラと長く載ってるのでびっくりされるかもしれませんので最初にお断りさせていただきます。)
飯田先生ご自身も、実に不思議なめぐり合わせから、自閉症の人たちに「大柴胡湯(だいさいことう)」が顕著な効果を発揮するということを発見されたのです。

私自身、知り合いの自閉症のお子さんや、アスペルガーのお子さんが、漢方を飲み始めて徐々に、あるいは、すぐに、なんとも言えず「ラク」そうになる姿を何人も見てきたので、早く、この新知見が公のものになるといいのに、と願っていました。

「よくなる!」という題が「治る!」と誤解されないか心配ですが、「改善する」という意味だと読んでいただければいいと思います。
実際に改善した子どもや成人の人たちの例が、豊富に紹介されています。
あまりよくならなかった人の例も紹介されています。漢方といえども万能ではありません。

漢方や代替療法についての誤解や拒否の強い日本の医療の中で、どこまで受け入れられるかは未知数ですが、「現実」が説得材料になっていくであろうことを期待しています。

 飯田先生に関しては以前にも書いたことがあります。
http://www.soratomo.jp/article/13402378.html

 吃音キャンプ in GUNMA  記事でご紹介した伊藤伸二先生の新しい本が出ています。
親、教師、言語聴覚士が使える  吃音ワークブック」(解放出版社   1890円)です。

 内容詳細は出版社のサイトでどうぞ。

また、「学習・どもりカルタ」(1000円)が吃音臨床研究会から発行されました。
伊藤先生の吃音への思いが44枚の読み札に込められていて、学習教材としても使えます。
問い合わせは電話で、となっています。
072−820−8244 日本吃音臨床研究会

   伊藤伸二先生のブログ
  吃音をどうとらえ、どう付き合うか。数々のことばを見つけることができるブログです。

  「実践満載 発達に課題のある子の保育の手だて」      佐藤 暁    岩崎学術出版社   1890円

2010年6月に出たばかりの本です。実は私はまだ手に入れていません。でも、佐藤先生の本なら間違いはない、ということと、釧路の友人である堀口貞子さんが、佐藤先生の釧路での講演会の内容をホームページ〔コロボックル通信)で紹介されていたので、ああ、やっぱり、いい本なんだ、早くみなさんにもご紹介しなくちゃ、と思った次第です。

堀口さんのHPから無断引用させていただきます。
     ↓ ここから  ↓
「(佐藤)先生は、同名の新刊をテキストに、支援のモデルパターンについて、『できないことはさせない、できることはつくる』『見えないものを見えるようにする』など7つの支援パターンについて、実際の保育現場での様子をまじえ、丁寧に教えてくださいました。
中でも『ほめるための視覚支援でなければいけない!』『それにはまず「楽しい体験を先行させなければならない』。さらに、『私たちの都合を伝えるためにスケジュールを使ってはいけない!』 (中略)  そして、最後に『適切な方法で要求をしたら大人は誠実に応えてくれる』ということを、子ども達に伝えなければならない』と話してくださいました」

      ↑   引用ここまで ↑

 ほんと、ほんと、溜飲が下がります。 

 子どもを大切にする・・・ということですよね、結局は。 さっそく注文しました。早く来ないかな。

 『奇跡のリンゴ 〜〜「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録〜〜』
     石川拓治    著
     NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」製作班 監修
     幻冬社   2008年8月     1365円

 「浦河 べてるの家」の向谷地さんの本に紹介されていたので読みました。
 りんご農家・木村秋則さんは2006年12月、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で紹介されました。
  農薬も肥料も使わずにたわわにりんごを実らせる。しかもそのりんごのおいしさはたとえようもなく、しかも、二つに切った状態で2年たってもしぼむだけで腐らない・・・・
  従来の農薬頼みのりんご栽培の常識では絶対に考えられなかった農法でのりんご作りを目ざした木村さんの8年間の苦闘と、そこから導き出された農の姿、“いのち”の本質・・・。

 木村さんは言います・

「リンゴの木は、リンゴの木だけで生きているわけではない。周りの自然の中で、生かされている生き物なわけだ。人間もそうなんだよ。人間はそのことを忘れてしまって、自分独りで生きていると思っている」と。

 深く納得させられ、同時に、「でも、私には何ができるのだろう?」と、自分の生活や仕事のことを振りかえらずにはいられませんでした。

    木村さんへのインタビューや、木村さんをモデルに製作された映画「降りていく生き方」、主演の武田鉄矢がリンゴについて語っている映像などもyoutubeで配信されています。http://www.youtube.com/watch?v=20hBLoLCOMY&feature=related

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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