「親子で身体いきいき 古武術あそび」
岡田慎一郎 NHK出版
2007年 1260円
NHKの介護関係の番組で「古武術介護」という、なんとも不思議ななテーマの話を、かなりの時間を割いて放送しているのをご覧になった方もあるかと思います。太った患者さんを、小柄な介護者が軽々と介助しているのを見ると、びっくりします。
古武術を進化(?)深化(?)させた方として甲野善紀(こうの・よしのり)さんが高名ですが、その甲野さんに触発されて「弟子」になった、岡田慎一郎さんは理学療法士・介護福祉士です。 「古武術介護」は、岡田さんが発展させつつある領域です。
「古武術介護」を、ご本人のサイトから引用すると次のようなことになります。
岡田慎一郎 公式サイト http://shinichiro-okada.com/
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(http://shinichiro-okada.com/lecture/aboutus.html より)
(古武術介護とは)日本に古くから伝わってきた武術の身体の使い方や考え方を取り入れた、身体運用の改善と介護技術への応用の取り組みです。
現代人の身体の動かし方は、一般的に筋力を中心としたものですが、これは明治以降、欧米の文化が入ってくるなかで定着したものだという説があります。 「古武術」の動きは、欧米の影響を受ける以前の身体の使い方であり、そこには、筋力に頼らない、質的な転換によって効率よい動きをめざすという特徴があります。
「古武術介護」は、そうした「古武術」の身体技術や発想を、介護はもちろん、日常生活や子育て、スポーツなど、さまざまな現場で生かすべくアレンジしたものです。個別の技術よりも、すべての身体動作の基盤となる「身体の使い方」を改善していくことをめざした取り組みです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
今まで、あそびの本が出ていたのを知らなかったのは、不覚でした (@_@;)
あちこちでセミナーが開かれているようです。
私たちST(言語聴覚士)は、ともすると、口先、及び、脳ミソでの交流とか関係性に偏りがちな職種ですが、身体を通して「関係性」を捉えなおし、また、身体と精神との協調、全体性の回復」という、現代に共通するテーマとしても、とても大事なカギが含まれていると思います。
「キツネさんの手」とか、「ぞうきんがけ」とか、ええーーっ?とあっけに取られるようなことが、「身体」にはあります。