ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

ST(言語聴覚士)による、「幸せな親子の人生」のための本です。
著者である原哲也さんは、ひょんなことから知りあいになった長野県のSTです。

私が代表を務める
「子どもの発達支援を考えるSTの会」(略称 子どもSTの会)は会設立の願いとして
「親子の初期のコミュニケーション改善を手助けし
その後のしあわせな人生の基礎をつくるために
役に立つ職種としてSTが認知され
質・量ともに広がる一助になりますように」
を掲げました。
生来コミュニケーションを求める動物である人間は、「よいコミュニケーション環境」の中で、持てる力を発揮し、「ボクはボクでいていいのだ」という存在の根っこ、自尊感、自己肯定感を獲得する。これは、「ことば」「コミュニケーション」をなりわいとするSTの確信です。

多くのSTが今までに、それぞれのやり方で、そのことを発信してきたと思います。
このたび出た原さんの本には、そのことが平易なことばで、しっかり書き込まれています。
「育てにくい子」「かかわりづらい子」に苦戦している親ごさんや、先生方に、「そうだったのか。」「そうすればいいんだ!」という理解とヒントが得られるでしょう。

「君と親子になれてよかった」
今は大変でも、10年後、20年後にそう言い合える親子さんが、一組でも多く生まれるように願います。

「発達障害のある子と家族が幸せになる方法  
〜〜〜コミュニケーションが変わると子どもが育つ」
   学苑社  http://www.gakuensha.co.jp/cn61/40801.html

原さん本.jpg

●目次 

序章 コミュニケーションって何だろう?
  …子どもと協力して共通の幸せな瞬間を創る

第1章 ポイント1 発達障害のある子にはどんな特徴があるの?
 
     …脳の機能的特性がさまざまな特徴をもたらす

第2章 ポイント2 どうしてほしいの?
     …尊重されたい・安心したい・信頼したい・有能でありたい・
      楽しみたい・人とつながりたいという子どもの思いを充たす

第3章 ポイント3 なんでそういうことするの? 
     …行動の理由に関心をもち、褒め方と叱り方のコツを覚える

 

第4章 ポイント4 どうやって遊んであげたらいいの?
 
     …大人はガイド! 子どもと遊ぶコツを覚える

第5章 ポイント5 どうやって助けてあげたらいいの? 
…    援助することで自尊心を育てる・子どもに親切に、そして信頼を育む

第6章 ポイント6 コミュニケーションのコツ まだあるの?
 
     …アイコンタクト、真似、伝え方のコツ、オノマトペ、選択・交渉・合意

エピローグ 子どもと家族の幸せへの道筋

NHKで継続的に取り組まれている「発達障害プロジェクト」。
http://www1.nhk.or.jp/asaichi/hattatsu/index.html

多くの当事者の声に基づき、また、スタジオからの当事者の発信もあわせて作られた番組で、大きな反響を呼んでいます。

特に今まであまり語られることのなかった感覚過敏について多くの時間をさいて放送されました。

ご紹介する本はこの番組の取材班による本です。

『発達障害を生きる』
     NHKスペシャル取材班  集英社

     2018年4月30日発売

 

発達障害.jpg


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
帯からの紹介

  世界の見え方が違うとしたら

当事者の声を少しでも多く、」そして「熱」を持って伝えたかったのには、理由があります。これまで発達障害に関する番組は「困った行動する人に対してどう支援すればいいのか」という「周囲からの視点」で語られることが多かったと思いますが、今回の番組では「当事者からの視点」で発達障害を理解することにこだわったからです。周囲から見たら「困った人」かもしれないけれど、実はその人は「困っている」のだという見方です。

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放送を見逃した方も、この本を読んで感覚過敏の辛さ、大変さを想像してください。

私は中高生時代、美しい新緑を見ながら広島市のはずれの丘の上にあるうーん学校への坂道を登る途中、友人と「この葉っぱはには私には緑色に見えるけど、もしかしたら、それは、あなたがピンクと呼ぶ色かもしれない。2人とも同じ色を、同じように見ているって、証明できるんだろうか???」などと話したものでした。
感覚過敏ということばは、その頃は聞くことがありませんでしたが、人は皆ちがう、ということにとてもこだわっていました。
うーん感覚入力のあり方も違うかもしれない、ってうすうす感じてたんでしょうか、ナゾです。

 

発達障害関係の本で、読みながらワクワクする本に久しぶりに会いました。

「発達障害の早期発見と支援へつなげるアプローチ」
      市川宏伸編著 金剛出版  
      2018年4月30日発売 


市川先生本.jpg

題名はわりと普通に見えますが、中身がすごい。
各章の著者は 市川先生はじめ(全員はご紹介できませんが)本田秀夫先生、神尾陽子先生、内山登喜夫先生、柘植雅義先生、小川浩先生、田中哲先生、日詰正文先生などです。

たとえ発達障害の特性を持っていても、適切な育ちの環境が保障されれば、支援がなくても社会生活上不便を感じずに生きることもできる。
だからこそ、早期からの理解と適切な支援が、周りの社会には求められる。
関係者にはすでに自明のことですが、そのことを、ここまでコンパクトに、かつ、網羅的に説明した本には初めてお目にかかりました。
 

 

感激!!!
うーん発達障害に関わる人にも、関わらない人にも必読の書です!!と言いたいです。

一部だけ紹介します。
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はじめに(市川宏伸)
ーーーーーーーーーー
「さまざまな社会的な話題を見る際に、発達障害を念頭に置くと、いろいろなものが見えてくる。いじめ、からかい、不登校、ひきこもり、虐待、自傷、自殺、依存、理解できない犯罪、ゴミ屋敷問題、孤独死などの社会的話題との関連は考慮する必要がある。
発達障害は、連続体(スペクトラム)としての存在であり、境界が鮮明ではない。軽度の者も含めれば多数の存在があるとされる一方で、置かれる環境や周囲の対応によって、社会適応は大きく変わってくることも知られている。  (中略)
発達障害そのものは「人口の1割はいるであろう」とされており、特別な支援を行うよりは社会全体を対象としたユニバーサルデザインの普及が望ましいと思われる。「発達障害に住みやすい社会は、すべての国民に住みやすい社会」であると考えるべきではないだろうか?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
8章  発達障害と虐待・ひきこもり(田中哲)
ーーーーーーー−−−−−−−−−−−−ーー

「(略)そこであくまでもその特性に関連して引き起こされる生活上の困難に対して『障害』の名称を与えることにする。文脈上、障害は個人に内在するのではなく、さりとて完全に外在するのでもなく、個人と環境の間に発生する状況に存在すると考える。もちろんこれは、医療モデルにおける『障害』概念とは大きく隔たるが、こと発達障害に関する限り、医療モデルが通用する領域はごく限定的であることを考えると発達障害概念を心理・社会的な領域を複合した支援のための鍵概念として共有し、生物学的な背景を持ち医学的な介入が明らかに必要かつ有効な状態像に対象を限定して、治療的介入を行うという方略も十分にありうるのである。」

できたら、本の内容全部をここに書き写したいくらいです。

皆さま、ぜひぜひ読んで下さい。

今まで点だった、あるいはおぼろげにしか見えていなかった「子どもの育ち」と発達障害の関係、重なり合いが見え、周りにいる私たちが何をすればいいのかが納得できると思います。

 

吃音(きつおん)がメディアでも取り上げられることがふえました。
言語の問題として、実は、困っている子どもや成人が多いのに、あまり理解や対応が進んでいなかった分野です。
私も、市内の小中学校の巡回をする中で、吃音のお子さんの予想以上の多さに驚いている一人です。

さて、このほど、「東京都公立学校難聴・言語障害教育研究協議会」(都難言協=「きこえの教室・ことばの教室」の連合体)作製の中高生向けの吃音リーフレットができました。

「都難言協」のHPから無料でダウンロードできます。


「中学校・高等学校の先生方に向けた吃音を正しく理解するためのリーフレット」

都難言協HP https://www.tonangen.com/
      ↓  
広報 https://www.tonangen.com/koho
      ↓

吃音リーフレット(表側)

吃音リーフレット(中側)

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なお、分かりやすい幼児用と小学生用のリーフレットもNPO法人 全国言友会連絡協議会から出ていますので併せて以下にご紹介します。


吃音リーフレット幼児用「うちの子、どもっているのかな?」
吃音リーフレット小学生用「どもる子どもがクラスにいたら」 
NPO法人 全国言友会連絡協議会    http://zengenren.org/ 
         ↓

「出版物のご案内」http://zengenren.org/publish.html

無料でダウンロードできます。

 

 

月刊誌「発達教育」(公益社団法人発達協会発行)の連載「親の気持ち―理解し、支えるために」から抜粋し、加筆・修正したものを1冊にまとめた本が2018年4月中旬に刊行予定となりました。

「Q&Aで考える保護者支援:発達障害の子どもの育ちを応援したいすべての人に」

http://www.gakuensha.co.jp/cn61/40798.html

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上記 学苑社に申し込むか(送料がかかりますが)一般書店、ネット書店等でご予約下さい。ネット書店サイトにはすでに出ていますので。

表紙のカットは、「1,2,3才ことばの遅い子」(ぶどう社 1999年5月)で知りあって以来の友人、林やよいさんにお願いしました。
書き込まれているお子さんたちの姿や表情を見て下さい。
かわいいだけじゃなく、「ああ!」と思い当たるような、少々育てにくさやユニークさがありそうなお子さんたちに見えませんか?
さすが、です。

 

「発達障害 あんしん子育てガイド  幼児から思春期まで」
    edumom コミュニケーション mook      小学館
          2017年2月24日発売

出版社からのメッセージ
   ↓ ↓
 発達障害の子はそうでない子に比べて、強いストレスにさらされていることは精神科医など専門家の間ではよく知られていることです。

 まず親ができることは、その子が安心できる環境を作ることです。「安心」こそが、子どもが自分のよさを発揮できるベースとなるからです。

 本書は幼児期、小学校時代、思春期、そして社会へ出てから、と、年代別に課題となることを取り上げて、安心への道筋を示しました。

 専門家や、ちょっと先を行く先輩ママたちの助言は、発達障害の子を育てている親はもちろん、当事者である子ども本人の支えにもなるはずです。困った時の、迷った時の道案内として、そばに置いていただきたい一冊です。           ↑    ↑

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なお、中川も一部インタビューを受けてお話ししました。 

東京えびすさまクリニックの山登敬之先生から送っていただきました。

「親子で向き合う発達障害」植田日奈  幻冬舎  2016年12月 発売

ーー療育で大切なのは、メソッドやテクニックではなく、「マインド」なんだ!という熱い思いが込められた情熱の書です。
 著者は「障害受容」には終わりがない、と書きます。「はい、受容できました。明日からは迷いません」なんてことは起こらない。受容そのものには終わりがないのなら、では、どこをゴールにすればいいのか。それは子どもが「人を頼っていいんだ」と心から思えるようになること。自分の力を知り、人を頼ることができる、そこがゴールなのだ、と。
  著者自身も障害のある子どもを育てているので、このような説得力のある言葉が前編に並んでいます。わが子が発達障害といわれて不安になったママたちが、ひとりでも多く笑顔を取り戻せますように、という願いがつまった本です。−−(山登先生の文章から)

アマゾンの「クチコミ」をご覧ください。
この本が、どんなに待たれていた本であるか、わかります。

1月28日発売
「発達障害の子を育てる親の気持ちと向き合う」
    中川信子  編   金子書房

新刊予告http://www.soratomo.jp/article/15574616.html  で出した内容の補足です。(狛江自慢)

  発達のしかたがみんなと少し違う子を育てる保護者の苦労は、周囲の人たちになかなか理解してもらえず、そのことが保護者を二重に苦しませます。
 今回の本では、子どもの成長段階を追い、それぞれの時期の保護者の気持ちを知り、支援者側にいる人たちがどう寄り添えばいいのかヒントになるようなこと書いて下さいと執筆者に依頼しました。

 狛江ゆかりの方も執筆者です。
長年就学相談にかかわって下さっている精神科医の山登敬之先生、
フリースクールコピエ主宰の前田かおりさん
(前)府中けやきの森学園コーディネーターの田上美恵子さん、
そして、最終章に転載した「先生ありがとうbook」を編集した通級の保護者の方たちです。

「先生ありがとうbook」には狛江の通級教室の保護者による先生方への感謝のことばが集められ、通常の教育の中でのささやかな支援によって、親子がどんなに助けられるかが書かれています。わざわざ「特別な支援」と言わなくても、「個別の当たり前の配慮」が日本中に行き渡る日が来ることが私の願いですが、狛江では、その方向に向けて確かな歩みを重ねていると思います。

狛江の先生方や行政や地域の方たち、そして、保護者の努力に感謝し、狛江を誇りに思うと共に、この本が多くの方に読んでいただけるよう願っています。

本だなを整理していたら、西村辨作さんのきょうだい児に関する講演録が出てきました。
2015年4月にも、このHPで紹介しました。
家族まるごとの支援にほど遠いこの国の現状の中、せめて、きょうだい達に「応援してるよ」と言ってくれたり、応援を形にして表してくれる人が、ひとりでも、ふたりでも出て来てくれるといいな、と思い、再掲します。

そらとも広場 2015年4月15日 のぶろぐ

『発達凸凹なボクの世界ー感覚過敏を探検するー』

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   プルスアルハ 著   

    ゆまに書房    2015・9月

    1800円+税

   NPO法人ぷるすあるは   https://pulusualuha.or.jp/

発達“障害”と名付けられる子どもたちが、実は、聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚、そしてわかりにくい重要な感覚である 前庭覚、固有受容覚にさまざまな困難、苦労をかかえていることがかなり知られるようになってきました。

でも、それを知っているのは、せいぜい当事者や家族や関係者に限られ、「一般の」先生方や身の回りの人に、わかってもらうことは至難です。

この本は、そんな、わかってもらいにくい困難を「そうだったのかぁ! 大変だったね。何かしてあげられること、ある?」って理解してもらうのに、とても役立ちそうです。

『乳幼児期の感覚統合遊び』   

加藤寿宏監修 高畑脩平他編著
   クリエイツかもがわ 
    2016年7月   1600円+税

 

 

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発達障害、発達マイノリティの人たちの「問題」は、脳のはたらき方に起因する「からだの問題」が大きいということがやっと少しずつ知られるようになってきました。

一部の人にしか受け入れられていなかった感覚統合も少しずつ市民権?を得て、感覚統合に関連する本が次々出版されるようになりました。

とは言え、感覚統合に関わる本は、書いている人が専門家なので、やさしく書いているつもりでも、なかなかに分かりにくい本も少なくありませんでした。

今回の本は、作業療法士と保育士とのコラボレーションというだけあって、理論面もほんとに分かりやすく、今日明日の子どもとの生活にすぐに使えそうなアイデアがたくさん含まれています。

保育園や幼稚園のちょっと気になる行動が見られる子どもたちを含めた子どもたち全体に、どんな遊びを組み立てたらいいのか、その遊びにはどういう目的や効果があるのか、が分かりやすく説明されています。
保健師さんたちが行う、健診後のフォロー教室などでも、どういう遊びをどういう視点をもって行って行ったらいいかの参考になると思います。


また、幼児にかかわる方たちだけでなく、学校の先生方にも、基礎知識としてぜひ知っておいていただきたいことがたくさん含まれています。

学校で読み書きに苦戦している子どもたちに、的外れな「指導」や「クンレン」を強いることなく、身体を含めた全体を見てゆく・・・・機運が盛り上がりますように。

クリエイツかもがわ の書籍案内ページ

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「言語聴覚士のための言語発達障害学 第2版」
 編集 石田宏代  石坂郁代
 医歯薬出版株式会社
 定価4400円+税
     2016年3月20日発行

2008年に出版された第1版は、言語聴覚士養成コースの学生向けの教科書との位置づけでした。第2版はその後のいろいろな状況の変化を反映し、次のような目標のもとに編集されたそうです。

1  新しい理論や知識、技術の進歩にもとづいた内容
2  ベテランSTの知恵を若い世代に引き継ぐ
3  教科書としてだけではなく、臨床についてからもずっと傍らに置いて活用できる内容

お子さんの言語の問題を理解したと思う方のための参考書としてお勧めします。

ナカガワは、第6章 環境調整と連携  の中の「家族支援」「連携」を担当させていただきました。

▼内容詳細は医歯薬出版のサイトをご覧下さい。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=217190
▼目次はこちら
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.aspx?cid=1&bookcode=217190

「重症児ガール  ママとピョンちゃんのきのう きょう あした」
    福満美穂子     
    ぶどう社   2015年11月
    1500円+税


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発達障害、発達マイノリティばかりが話題にのぼる最近。
肢体不自由や、重症のお子さんと、その保護者の暮らしにも、もっともっと目が向くようになってほしいと思います。

障害が重くても、“ふつう”に子育てができるためには、たくさんの応援が必要です。
本を読み、“知る”ことも、応援の一つの形だと思います。
読んで見て下さい。

≪帯の文章より≫
吸入、吸引、胃ろう注入、てんかん発作あり。
ピョンちゃんは、重症心身障がい児の「スタンダード」。
迷い、悩み、泣き、笑い、そして「受容」へーーー
母と子の日常  はじまり はじまり。

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吃音や選択性(場面)緘黙についての書籍を次々出版して下さっている学苑社から、新しい保護者向けの本が出ました。

『子どもの吃音 ママ応援BOOK』
菊池良和    学苑社  
2016年2月  1300円+税

「吃音ドクター」こと、菊池良和先生の本です。
幼児期、学童期の吃音は、自然に改善することもあり、継続的なST支援を続けても改善が見られないこともあり、実際の業務でも、悩み多いところです。

この本は分かりやすいマンガで吃音について、吃音のある子への具体的な接し方について、解説してあります。吃音のある子どもの『子育て』を応援したい、という著者の気持ちが伝わってきます。
◆吃音の誤解と正しい情報を知る
     ↓
◆子どもとの接し方が分かる
     ↓
◆子どもの笑顔が増える

という道すじを、親子でたどれるといいですね。
保護者にはもちろん、センモンカといわれるST(言語聴覚士)にも、ことばの教室の教員にも、心理担当者にも読んでいただきたい本です。

私は今まで吃音のご相談があると、全国言友会連絡協議会発行の幼児用パンフレット(※)をお渡しして説明して来ましたが、今後は、さらに、この本もご紹介できるので、とても助かります。

(※)上記言友会の 吃音幼児用パンフレットのダウンロードはこちらから
幼児用 と 学童用 があります。

作家であり自閉症でもある東田直樹さんと、精神科医の山登敬之さんが、ビッグイシュー日本版誌上で連載を続けていた往復書簡が待望の単行本化されました。

『社会の中に居場所をつくる』
発行元  ビッグイシュー日本
一般発売予定日  2016年1月15日
それ以前の購入  路上販売員からの購入
             ビッグイシュー日本からの通信販売

どんなにすばらしいことばに溢れているか、一部をご紹介したいところですが、そうなると結局最初から最後まで転載するようなことになってしまいそうです。

ビッグイシューの販売員は大きなターミナル駅を中心に路上販売しています。
売り上げの半分が販売員の収入になります。
ホームレス支援の意味からも、できるだけ販売員から購入していただきたいところですが、販売員に会うことが難しいですから、ビッグイシューからの通信販売、1月を待っての一般書店・ネット書店販売をご利用下さい。

でも、狛江駅頭にも、ビッグイシューの販売員、おられるんですよ!
狛江はマイナーな町なのに、大都会のターミナル駅なみになった気分で、ちょっとうれしい。

なお、12月20日に、お二人の出版記念の対談が新宿で開かれるそうです。
東田直樹オフィシャルブログ内記事をご覧下さい。

吃音や選択性(場面)緘黙に関する本を精力的に出版している学苑社から、またまた、すばらしい本がでました。

「なゆたのきろくーー吃音のある子どもの子育てと支援ーー」
    阿部法子・坂田善政 著
    学苑社   2015年8月発行
           1800円+税

3歳でどもり始めたなゆた君の5年間の記録です。
帯の推薦のことばをそのまま引用します。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜   
「変動することばの状態に心を揺らすお母さんと言語聴覚士の詳細なやりとり。“チームなゆた” のサポートと本人の成長。
吃音に関する情報と対応も分かりやすく解説されており、「うちの子、どもってる?」そんな不安を持つご家族、そして吃音に悩む親子を支援するすべての臨床家にとって、多くを受け取ることのできる一冊です」  
            by   原由紀氏(北里大学 言語聴覚士)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

吃症状の一進一退に一喜一憂し、担当の言語聴覚士に疑問をストレートにぶつけるまっすぐなお母さん。
いろいろな疑問に、ぶれずに、丁寧に、本質的なことを伝え続け、「親子を支える」を実現しようと奮闘するST坂田さんの誠実な姿。

なゆた君の吃音がどう変容していくか、も興味深いテーマですが、阿部さん(お母さん)が吃音を通して、3人のお子さんの「子育て」に、深く向き合ってゆくようすも感動的です。

お母さんとST坂田さんとの「関係性」には、人と人との“出会い”を出発点とするSTという仕事の本質が見えるように思います。

学苑社ホームページ
     吃音や緘黙についての本が多く掲載されています。
     皆さんの身の回りにも、きっと吃音や緘黙の子どもがいます。
     ぜひ、理解を深めて下さい。


吃音理解に役立つパンフレット    

坂田さんのようなSTが全国にいるわけではないので、現在、お子さんの吃音に悩んでいる方は以下のホームページから、幼児用または学童用パンフレットをダウンロードしてお読みになるよう、お勧めします。

全国言友会連絡協議会」(吃音当事者団体)
      ↓
  出版物のご案内
      ↓
  幼児用パンフレット
       「うちの子は どもっているの?」
  学童用パンフレット
       「どもる子どもがクラスにいたら」

私の手元には、次々本が贈呈されてきます。

目を通して、これはオススメ!と思うものしか紹介しないことにしているので、なかなか紹介できません。
その理由は
◎老眼がすすんで(脳の機能も低下して)読むのに時間がかかる
◎忙しくて本を読んでいる時間がない
◎読み終わっても、HP(そらとも広場)に感想と紹介文をアップする時間がない

などの事情です。

これでは、たまる一方なので、当面4冊まとめてお伝えしますね。

■ 1    ===================

「(保育者が知っておきたい発達が気になる子の)感覚統合」 

     木村順    学研   2014年 1600円+税

 ===========================   

木村さんの知り合いの保育者が協力して書かれた本なので現場目線で、しかも、知識もはしょらずに書かれています。

■ 2=========================

「私はかんもくガール」(コミック)
    著:らせんゆむ  解説:かんもくネット
    合同出版    2015年2月  1300円+税
=========================== 

  大きくなってから「あ! 私って場面緘黙って状態だったんだ!」と知った作者のらせんゆむさん。

  今は充実した生活を送っている自分だけれど、「もし、私の体験がちょっとでも人の役に立って、私の絵がちょっとでも役に立つのなら」と本にすることを決心した、とのことです。とっても分かりやすいいい本だと思いました。

 ちなみに、合同出版は最近発達マイノリティ系の本に力を入れて、独自の視点の本をたくさん出しています。

  「マンガ版 親子アスペルガー」とか

  「まさか! うちの子 アスペルガー? セラピストMママの【発達障害】コミックエッセイ」   など。

花風社の本からも目が離せませんが、合同出版の当事者からの発信は、貴重ですね。

■3 ========================

「子どものありのままの姿を保護者とどうわかりあうか」
      久保山茂樹     学事出版
      2014年       1000円+税

==========================

 著者の久保山さんは、独立行政法人 特別支援教育総合研究所というイカメシイ名前の部署にお勤めではありますが、一貫して保護者目線、保護者支援に軸足を置いたお仕事をしてこられました。

  保護者が療育に通う決心をされたことをもって「お母さんは(やっと)障害を受容した」などという軽いことばでとらえる支援者、専門家が今でもいます。

  私は、そんな時にかなり「むっ!」とするのですが、この本には障害のある子どおとの人生と折り合いをつけてゆく保護者の心のあゆみと、それを周囲の者はどう支えてゆけるのかをていねいに伝えてくれています。

 経験の浅い「支援者」と言われる方たちにはきっと役に立つと思います。

■4======================
「(発達障害の子どもを伸ばす)魔法のことばかけ」
       著 shizu   監修 平岩幹男
       講談社      1400円+税

 ========================

 ABA(応用行動分析)の手法を用いた「ことばかけ」の本です。
ABAは、とてもすぐれものの手法、理論ではありますが、成果が顕著であるだけに、時として、子どもを操作象にしてしまう危険性があると思っています。

 この本は出たのは知っていたのですが、「魔法の」という題名に抵抗があり、まだ読んでいませんでした。子育てに「魔法」があるわけはないのに、とね。
ですが、あるきっかけで読んでみたら、あらら、とってもよかったわん。

 著者のshizuさんは かんもくネット(次の項で紹介)の会員でもあります。
 ご自分の自閉症スペクトラムのお子さんの子育ての中から編み出したいろいろな工夫を 惜しげもなく公開してくれた、という感じの本です。

 参考になるところがたくさんあると思いますし、割り切った考え方で、結果的に親子の生活がスムーズに運ぶようになるなら、とてもいいですね。 


 

特別支援教育をサポートする図解よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実例集
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上野一彦(監修)  
岡田智、中村敏秀、森村美和子(著)
ナツメ社
2012年7月
2200円+税
特別支援教育をサポートする
図解よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実践教材集』
SST 2.jpg
岡田智、中村敏秀、森村美和子
ナツメ社
2014年8月
2800円+税
SSTの本はたくさんたくさん出ています。
お役立ち本も、多くあると思います。
この本をご紹介するのは、著者のお一人、森村美和子さんが狛江の通級の先生だからです。通級の子どもたちに当事者研究の手法を用いて、自分を知ることをすすめるという、すばらしい実践をしています。
当然のことながら、この本も、SSTをハウツー的にとらえず、子どもの利益を最優先に、という理念に基づく工夫を惜しげなく公開してくれています。
読むだけでも、何だかうれしい気持ちになれます。
てぃ先生.jpg

『ほぉ・・・ ここがちきゅうのほいくえんか。』
てぃ先生
KKベストセラーズ
2014年9月
1000円+税

男性保育士「てぃ先生」が保育園での子どもたちとの生活の中で拾いあげた子どもたちの、キラキラしたことばと心。
ふっと笑えて、しみじみします。
「子どもって、すごいなぁ」って。

多分、子どもたちに向きあう「てぃ先生」のまなざしが澄んでいるから。

子どものミカタ.jpg

『子どものミカタ』 
山登敬之
日本評論社
2014年12月
1600円+税

わが尊敬する精神科医、ヤマト先生の最新刊。
読みながら「そうだよ〜〜」と各所でつぶやいた一冊。
テーマは 「不登校・うつ・発達障害    思春期以上、病気未満とのつきあい方」

早期発見!早期対応!と何かに追われるように走らされている感のある発達マイノリティ(発達障害 あらため)分野。
何かうまく行かないことがあると「発達障害じゃないの?」とラベルを貼って、自分たちから切り離そうとする流れもどんどん強まっていて。
何でもかんでも、病気や障害のせいにして安心する、って、何かおかしくない?

帯の文章を転載します。
いつも子どもの側(がわ)にいてくれるヤマト先生らしさに溢れています。
「子どもというものは、いつの時代にもそうは変わらない。
変わっていくのは世の中のほうだ。
その動きに合わせて、精神医療の領域でも、病気や障害の新しい考え方が生まれたり消えたりしている。
それも時代の要請なのかもしれないが、子どもに新しい名前をつけることや、その名の下に医療の枠の中に囲い込むことが、果たして、彼らの幸福に資することになるのか。
本当に『子どもの味方』をするつもりなら、この点はよくよく考えておかねばなるまい。」

お問合せ・ご相談はこちら

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

お気軽にお問合せください