ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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「自閉っ子の心身をラクにしよう!  −−睡眠・排泄・姿勢・情緒の安定を目指して今日からできること」              栗本啓司     
  花風社   
  2014年8月   
  1500円+税 

 障害児の体操教室などにかかわった経験から、整体、野口体操、各種の手技、フェルデンクライス・メソッドなどを学び「からだをラクにする」方法を磨く。
個別の能力の訓練をすることよりも、「からだの土台を作る」ことが「姿勢」や「学習」や「対人」にもつながってゆくと分かる本。
人間は、全体的な存在なので。

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右を向いても 左を向いても、発達障害、発達障害。
確かな診断を! 理解を、そして、支援を。
こういうやり方が有効だ………

どれも間違ってはいないし、必要な情報なのでしょうが、でも、何かがおかしい………という違和感がぬぐえません。

この本の前書きにはこうあります。
「発達障害」は今や一般用語になりつつあります。「発達障害者支援法」ができ、「特別支援教育」が始まり、「早期発見・早期対応」が叫ばれる世の中ですが、では、この社会は、発達障害を持つと言われる人たちにとって、以前より生きやすい社会になっているのでしょうか?そもそも、発達障害を持つと言われる人たちは、本当に「早期に発見され」「早期に支援され」なくてはならない人たちなのでしょうか?そこに、多様性を忌避するこの社会の歪みを感じるのは私だけでしょうか。   (中略)
8人の素敵な講師の方々が、以上のような疑問について、真摯に向き合い語って下さいました」

講演記録をまとめてできたのが、本書です。

『発達障害の再考』
  〜〜支援とは? 自立とは? それぞれの立場で自分にできることを問う〜〜

白梅学園大学子ども学研究所 編集発行
汐見稔幸(監修  
市川奈緒子(責任編集
発行:風鳴舎   
発売:新日本教育図書(株)
価格 1800円+税    2014年10月発行 

出版舎HP  http://fuumeisha.co.jp/2014/10/24/407/

著者と内容は以下の通りです。

【著者と内容】

●再考1発達障害である前に、ひとりの子どもである
田中康雄
井桁容子   

●再考2療育訓練の前に、子育てがある
尾崎ミオ
山本芳子

●再考3特別支援教育と『普通の』教育は何が違うのか
阿部利彦
吉本裕子

●再考4『発達障害流行り』の背景にあるもの
汐見稔幸
品川裕香

胸のすく思いで読みました。
 

子どもの発達、ことばの発達、子どもの育て方、発達障害、特別支援教育。
子どもをどう理解し、どう支援するか………
それらに関する本が驚くほどの数、出版されています。
とても全部に目を通す余裕はないので、(老眼も進んでいますしね)たまたま見つけて、あるいは、贈呈を受けて、オススメ、と思えたものだけを紹介してあります。

本文内に貼り付けるのも大変なので、
①Wordファイル26年11月  そらとも用 解説つき  参考になる本の紹介.doc
 

②pdfファイル 26年11月  そらとも用 解説つき  参考になる本の紹介.pdf  

で貼り付けました。

 

参考になれば幸いです。

ほんとは、この3倍くらいもありますが、うんと精選しました。

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発達“障害”や、そうではないかと気がかりな子どもが増えている………というのは、子どもの現場にいる人に共通の実感ではないでしょうか?
そして「どうして、こんなにふえているのか?」という疑問もつきまといます。

 

『発達障害の原因と発症メカニズム
〜脳神経科学から見た予防・治療・療育の可能性』
   黒田洋一郎 木村・黒田純子   
   河出書房新社   2014年5月
   2300円+税

この本は「微細なシナプスから疫学まで、最新の脳をめぐる科学を集積し、再構築された脳の“共発達”の様相は、発達障害の常識を逆転させ、さらに予防や、脳に沿った正しい療育すら明示する」ものです。
帯には、杉山登志郎先生の「本書によって、新たな時代が始まる」ということばが書かれています。

脳神経科学をベースに、子どもの育ちに必要なことを、一般の読者にでも分かるように、実にわかりやすく書いてあります。
巻末の引用・参考文献の多さにも圧倒されます。
中から、興味深いものを読む楽しみもあります。

この秋、おすすめの一冊です。

 

 

 小学館の動画サイトもごらん下さい。
http://www.shogakukan.co.jp/pr/90th/311412.html
                 2014年8月18日追加情報

『小学校で困ることを減らす親子遊び10
ーー発達が気になる子を理解して上手に育てる本』
    木村順     小学館    1300円+税
     2014年6月発行

授業態度が悪い、授業中に席を離れる、読み書き計算が苦手、やる気がない、人の気持ちが分からない、極端に不器用、忘れ物が多い………
小学生になってからの「困った」ことの数々。親はほんとに頭が痛いです。

この本は、「小学校で困ること」にぶつかった子どもたちに対して、「家庭で何かできることはないか」と考える保護者向けに作られています。
家にある物、安価で入手できるものを使って気軽に取り組める遊びです。

「わかってくれるかな 子どもの高次脳機能障害 
    発達からみた支援」
      太田令子編  クリエイツかもがわ
      2014年5月   1500円+税

病気や事故によって、高次脳機能障害の状態になるお子さんは、決して少なくありませんが、理解も支援もなかなか進みません。

この本は、(高次脳機能障害の子どもを持つ家族会の)「活動の中から見えてきた子どもの気持ち、親の気持ち、こんなことが周囲に分かってほしかったのにという思いを
何とか伝えたい、もっと多くの人たちにわかったもらいたいということから編集されたのが本書です」とあります。

「人の一生を左右するもっとも大切な臓器である脳に後遺症を残してしまった子どもたちのために『生きていてよかった』と思える人生をプレゼントしたいものです。
それは私たち大人の責務であり、どのような配慮をして彼らの長い人生を支えるべきか?

本書が高次脳機能障害支援拠点機関の支援コーディネーター、教育関係者、家族、当事者団体関係者の活動の一助になればと願う次第です」
と前書きにあります。

内容は
1  私たちはこんな本を出したかった
2  子どもの高次脳機能障害を考える
3  子どもの育ちを考える
4  高次脳機能障害を持つ子どもの行動特性
5  家族会の活動
               に分かれています。

同じクリエイツかもがわ から出版されている高次脳機能障害関連の本に
◆「ふたたび楽しく生きていくためのメッセージ
     高次脳機能障害の子どもを持つ家族との対話」
     栗原まな アトムの会
◆「よくわかる 子どもの高次脳機能障害」
          栗原まな
◆「なるほど高次脳機能障害」 橋本圭司  
                      があります。

こころの科学175号  日本評論社  2014年5月

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わが敬愛する精神科医 山登敬之先生(東京えびすさまクリニック)の企画による特集「思春期の“悩み以上、病気未満”」は、さすが!!と言いたくなるような内容満載でした。

企画・編者のことばとして
「精神科医の目から見れば、思春期の年代には、病気の輪郭が曖昧なケースが少なくない。また、慌てて白黒をつけるよりも、グレーはグレーのまま経過をみたほうが、のちに本人に利益をもたらす場合もある。この時期、そんな子どもの傍らには、彼らの悩みに耳を傾け、適切な助言のできる大人が一人でも多くいてほしい」
とある所に、山登先生の立ち位置が現れていると思いました。

記事の内容は
勉強ができない・学校に行きたくない・友だちという存在・いじめにあっている・家に帰りたくない・イライラする、キレてしまう・ケータイ依存・友だち未満、恋人以上!?・性への違和感・自分がどう見られているか気になる・自分のことがイヤでたまらない・リストカット、OD(薬物依存)・死にたくなる・大人になりたくない?
と多岐にわたります。

「友だちという存在」(岩井秀人氏)から、心に残った一節。
他者とこころ同士のつながりをもつきっかけとなるのは、自分が「何ができる」とか「何をもっている」というようなこころの中の「強い部分」ではなく、「何ができない」とか「何をもっていない」という、こころの「弱い部分」だと思っている。
「お互いひどい目にあってきたけど、まあ、頑張ろーよね!」という関係。生きてきた中で遭遇した理不尽なことというのは、時を超えて意外なところで人と人を結びつける。それを共有できたとき、「えー! 自分だけじゃなかったのー! あなたも大変だったのねけ!」とお互いにその理不尽さを共有できる。
この「共有できる」ということがとても救いで、一人でもちきれないものだって、何人かでもてば軽くなるものだ」 P26

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以前、PHP研究所から出版された「4歳までのことばを育てる語りかけ育児」は、会員向け販売というスタイルだったため、一般書店に並びませんでした。
今回、一般流通ルートに乗る形でリニューアルされました。


月齢・年齢ごとに、「ことばの育ち」の基礎知識と、語りかけのポイントをイラストでわかりやすく解説しています。
日々の忙しい子育ての中でも無理なく実践できると思います。

ことばの遅れとか、障がいの可能性には正面からは言及してありませんが、子どもの発達に不安を持っている、子どものことばを豊かに育ててあげたい、とお考えの親御さんに役立つ本です。
挿し絵がとてもかわいいですよ (^_-)-☆

今まで以上に、共同注意の成立を意識して、視線を合わせることの大切さや、テレビ、DVD,スマホに気をとられずに、子どもに気持ちを向けて、ということを強調したつもりです。

 項目例:赤ちゃんの視線を追う/気持ちにことばを添えてあげる/二人で同じものに興味を向ける/大人の行動をことばでつぶやく/など

どうぞ、よろしくお願いします。

◆『発達支援実践塾〜開けばわかる発達方程式』◆
   発達障害臨床研究会 著
   木村順・川上康則・ほか編著
  学苑社     1500円+税
http://www.gakuensha.co.jp/cn61/pg468.html

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作業療法士の木村順先生たちのグループは、故・宇佐川浩先生(淑徳大学)主宰の「発達障害臨床研究会」を、宇佐川先生の没後も、続けておられます。

この本は、宇佐川先生の「感覚と運動の高次化理論」と「感覚統合理論」を手がかりに、子どもたちの発達の全体像をつかみ、子どもの行動をどう理解し、どういう手立てを講じたらいいかを学べるようになっています。

各項目の見出しの一部をご紹介します。(^_-)-☆
     たとえば

▲7▲ 軽トラで、アクセルべた踏み、きつい坂道
  長期の不適応=苦戦している子ども×少ない支援 

▲8 ▲「今のうち(強制)、そのうち(放置)、ココで(食事場面のみ)」は要注意
 「急がば回れ」で偏食指導
 膠着状態=「食べない」こだわり×「食べさせる」こだわり
▲11▲ オンリーユウ(言う)「おしゃべりばかり」も障害特性
  ことばの空回り=視空間認知のつまずき+知的能力あり

たとえが分かりやすく、日々苦戦している担任や担当者、そして、保護者の方たちに役に立つと思うので、オススメします。 

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「子どもの発音とことばのハンドブック」
山崎祥子  芽ばえ社   2011年7月  


こんな有益な本が出ていること、今まで知りませんでした。お恥ずかしいこと。
子どもの発音が気になってきた保護者や保育園・幼稚園の先生向けの、とてもわかりやすい本です。
発音を育てるためにおうちでもできる楽しい、簡単な遊びも紹介されています。
著者の山崎さんは、京都在住のST(言語聴覚士)です。
だんぜんオススメしたい一冊です。

 目次 
1章  発音の障害はどこで起きているのか
     1 発音が作られるしくみ
     2 構音障害の原因とタイプ
     3 ことばの発達のしかた
2章  構音障害はどのようにして起こるのか
     1 発音の発達のしかた
     2 聞き分ける力の発達のしかた
     3 日本語の音のつくられ方
3章 専門家はどのような検査や訓練をするのか
     1 機能性構音障害の検査と訓練方法
      2 専門家の行う構音訓練の方法
     3  家庭や保育所でできる、発音を育てる遊び
Q&A

『3歳までの子育てに大切な  たった5つのこと』
   佐々木正美(児童精神科医)  講談社 
   2013年5月発行    1300円+税

       ISBN978-4-06-259680-0 

小さい子は、思いが通らないと泣きわめき、ほしいおもちゃを奪い取り独り占めし、親に甘えたかと思ったら振り払って離れて行き、「やりなさい」といえば「イヤ」と言い、してほしくないことはしっかりやる・・・。
そんな、わけの分からない、やっかいな存在です。
そういう存在と付き合い、子どもも親も成長し、度量の幅を広げてゆくのが「子育て」の醍醐味だと私は(ふりかえれば・・)思うのですが。

ひるがえって、今、子育てまっさいちゅうの親ごさんの、子どもとのかかわりを見て、危なっかしさを感じることがたびたびです。
自分の中の“あるべき”子ども像にあてはめて、子どもをコントロールしようとしているように見えて。

佐々木先生の新しいこの本は、そんな子どもの育ちの根幹に立ち戻り、子育てに大切なことをあらためてはっきりと教えています。

5つの大切なこととは
   1 遠くから見守る
   2 ほほえみを返す
   3 泣いたらあやす
   4 できるまで待つ
   5 いっしょに遊ぶ

ほんとにその通り。
たったこれだけ。
でも、「されど・・・」です。

佐々木先生からのメッセージ

親のあなたが望む、あなたの理想の育児をしていませんか?
幼い子が親の期待に応えることなんてありません。
子どもが望むように育ててあげる、それが育児の基本です。

望みにこたえつづけることで安心感が育つのです。

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2008年に刊行された『LCスケール』(言語・コミュニケーション発達スケール)は信頼できる言語・コミュニケーションの検査として、ことばの教室、特別支援学級・学校の先生やSTを中心に広く活用されています。。

今回、発達をプロフィール化するための「領域別まとめシート」追加と絵図版の一部修正を加えた増補版が刊行されました。
旧版からの課題内容や手続き、標準化データの変更はないので、従来の『LCスケール』も引き続き問題なく利用できます。

なお、記録用紙は、学苑社のHPからダウンロードできることになったそうです。

詳細は学苑社の紹介ページをどうぞ。

言語能力だけではなく、共同注意に着目してコミュニケーションの力を知ることのできる貴重なスケールです。もっともっと広がってくれることを願っています。

「ホームレスが売る雑誌 ビッグイシュー日本版」はご存じの方も多いかと思います。
ターミナル駅などでしか売っていないので、私はなかなか出会うことができません。
1冊300円のうちの、160円が販売者の収入になります。

この「ビッグイシュー日本版」に東田直樹くんが、ずっと連載を続けています。最初は東田くん自身にも大きな戸惑いがあったとのことですが、

通常の会話はほとんどできないという重度の自閉症者である東田さんがつづったピュアな心、内面の世界が読者を魅了」して、大好評連載になっています。

そして

同時にそれは、『人はなぜ生きるのか?』という問いへの明晰な回答」となってもいると思えます。(青字は「ビッグイシュー」のサイトからの引用)

私は12月9日に大阪府高槻市の大阪医大LDセンターにお呼びいただいて講演に行く途中、たまたま高槻の駅で、販売者に行き会いました。

ビッグイシューを久しぶりに買ったところ、そこに、黄色い単行本が!!

「あ、そうだ、東田くんの新刊が、12月5日発売だったはず!」と思い出し、早速一冊購入しました。1500円の定価の半分が、販売者の今日の生活費になるのです。
引き返して2冊目を買いました。(実は、家に帰ったら、東田くんから一冊送られてきていました)

この本は「ビッグイシュー」という、ユニークな媒体に連載されたエッセイという特性のためか、他の本以上に、東田くんの内省的な思索がストレートに表現されています。嘘や余分な飾りのない文章が、一気に読み手の心に入ってくる感じです。

一番最初に、直樹くんが手を支えてもらう「筆談援助」で自分の気持ちを書けた瞬間のことも、あらためて、本人のことばで語られています。

ありがたいことに、「ビッグイシュー日本」でも、1月10日からオンラインでの販売を始めたそうです。「ビッグイシュー日本 通信販売開始」のサイトからお申し込みください。

〜〜〜〜〜〜購入方法紹介ここから〜〜〜


下に、申し込み方法を転載させていただきました。
============
■■「風になる」通信販売開始■■
============

"近くに販売者がいない""直接の購入がむずかしい"といったお客様にもご購入いただけるよう、東田直樹さん著書『風になる ―自閉症の僕が生きていく風景―』の通信販売を開始いたします。  

■販売開始日: 2013年1月10日(木)
■価格  1冊1,500円(税込)
■送料  100円(冊数に関わらず)  

■ご入金金額: 1,500円×冊数+送料100円
・1冊  1,600円
・2冊  3,100円
・3冊  4,600円〜 

■ご入金方法
郵便局備付けの振込用紙のメモ欄に下記の項目をご記入し、振込みをご依頼ください。
・本のタイトル『風になる』
・冊数
・送付先の郵便番号、住所
・お名前
・電話番号
 

■ご入金先口座
・郵便振替口座番号: 00900-3-246288
・加入者名: 有限会社ビッグイシュー日本

■本の発送お客様からの入金を確認後に、郵便局の「ゆうメール」にて、お送りします。

〜〜〜〜購入方法紹介ここまで〜〜〜〜〜〜

高槻市駅頭で購入したビッグイシュー204号(2012年12月1日号)で、東田くんは、「家族が病気なのに何もして上げられない時、情けないと感じる。とても心配していても 大丈夫のひと言さえ言えないから。それどころか、苦しんでいる相手の目の前で、意味不明に笑ったり、こだわり行動を続けたり、まるで、相手の病状など目に入らないかのような態度」をとってしまうことに、とても悩んでいる、と書いています。
「心配ごとがあるときに限っておかしな行動をするのは、すべきことが他にみつからないせいです」とも。
でも、そんなときにも、「家族は 僕が心の中では悲しんでいる、心配しているにちがいないと分かってくれる」
そのおかげで「僕は誇りを失わずに生きて」いるのだと直樹くんは書いています。

会話はなり立たないし、意味不明にピョンピョン跳んだり、あたりを走り回ったり、同じことばかりくり返して聞いたり、外見からは「重い知的障害を持つ自閉症の人」としか見えない東田くんが心の中で、「人の役に立てないことに対して、罪悪感にさいなまれている」とは、誰が考えつくでしょうか。

人を見かけによって断定しないこと、小さい子どもや、障害が重い(ように見える)人に対しても、一人の人間として尊敬の念を持って接することの大切さを年の初めにあたって、あらためて、自分に言い聞かせようと思っています。

作業療法士の木村順さんの新しい本がでました。『発達障害の子を理解して上手に育てる本 幼児期編
            木村順  小学館

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子どもの苦手がわかる5つの遊び: ①お絵かき  ②つみき ③追いかけっこ ④運動遊び ⑤まねっこ  を通して、子どもの苦手をつかみます。

そして、
苦手を減らす遊び 27 : ①ぎゅーっとタッチ ②ストレッチ体操 ③トランポリン遊び ④ジャングルジム ⑤ブランコゆらゆら  (以下略)を重ねることによって、触覚防衛を軽減し、適応能力を育て、「生きていくことがラクになる」ように手伝うためのヒントが得られます。

木村順さんのことばを紹介します。
ーーー私たち大人は、子どもが抱える「困難さや辛さ」がわかったときに、「この子に合わせて」「臨機応変に創意工夫をして」育てていくことができるはずです。
 そして、この本が 育児の“マニュアル本”や“指示書”となるのではなく、ステキな子育ての参考書としてお役に立つことを願ってやみませんーーー

木村順さんの他の本

『発達障害の子の感覚遊び 運動遊び』

『発達障害の子の読み書き遊び コミュニケーション遊び』
       以上2冊  講談社

『育てにくい子にはわけがある』(大月書店)

 

『子ども・若者総合サポートシステム〜三条システムとは〜』 
   古川聖登(まさと)    ジアーズ教育新社
http://www.kyoikushinsha.co.jp/book/0186/index.html

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著者の古川聖登さんは、文部科学省で特別支援教育教育課課長補佐・兼・発達障害支援専門官として特別支援教育の推進を担当した後、新潟県三条市に出向。
平成20年から23年まで三条市教育部長を務め、平成23年4月に文部科学省に戻った方です。

私は平成22年に三条市の保健師さんのお招きで講演に行きました。
そのとき、古川さんを先頭に、一貫した子育て支援システムの構築に熱心に取り組んでいる関係スタッフの方たちと意気投合したのでした。

その、三条市で作り上げた「子ども・若者総合サポートシステム」と、そのシステムの根底にある「思想」、システムのマニュアル、そして実際のシート見本などの関連資料が公開された本です。

本に収録されている主要な資料は、三条市のホームページからダウンロードできます。  ↓↓

三条市子ども・若者総合サポートシステム

著者古川聖登さんからのメッセージ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
この本は、私が一年前まで新潟県の三条市教育委員会 教育部長をさせていただいていたときに構築した行政システムをまとめたものです。

このシステムは、虐待、障害、不登校、非行、引きこもりなど、支援が必要な子どもや若者を護るため、行政のタテ割りを乗り越えて各組織や機関が連携するものです。

また、このシステムは、国が推進している各支援ネットワークと響き合っています。

昨今の子ども・若者を取り巻く状況は厳しさを増しているように感じられますが、その支援者の方々に少しでもお役に立てば、という想いで出版を決意した次第です。

甚だ不十分な内容ですが、そのような想いをお汲み取りいただき、ご一読いただければ幸いです。

       なお、拙著は行政資料が大半ですので、印税等はいただかないことにしました。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ここまで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

地域での一貫した支援のためには連携が大事だ、連携、連携、とたくさんの人が言います。言うだけなら誰にでもできるのですが、実行されている自治体はまだまだ少ないと思います。
実行できている自治体に学び、どこから取りかかればいいかのヒントを手に入れることができそうです。

また、「サポートシステムを、誰にでも分かりやすくプレゼンする」ための説明資料が、ありがたいです。

私はわが町狛江も大好きですが、三条市も、きっといい町なのだろうな〜と思いました。

『エビデンスに基づいた吃音支援入門』(菊池良和著) 学苑社  1995円

「吃音ドクター」として各地で講演活動などに取り組んでいる著者による、STやST学生、学校の先生、家族等に向けた本です。
吃音当事者としての熱い思いが、つまっています。

まえがき を一部紹介します。
「吃音のある本人には、必ず一回は自分と吃音の関係を考えこむ時期がやってくる。人間分からないものは無意識的に排除しようとする。私が知る吃音の最新の知識を本書に詰め込んでいるので、吃音を理解し、吃音とうまく付き合う方法の一助になればと思う」

詳細は学苑社HPをご覧になって下さい。
http://www.gakuensha.co.jp/cn27/pg358.html
 

「月刊 地域保健」という雑誌があります。保健師さんたち向けの雑誌です。

私は、この雑誌に超!長期連載のコーナーを持っています。多分、もう20年以上毎月書き続けています。
日本中の保健師さんに一番名前の売れているST(言語聴覚士)はナカガワかもしれません 
\(◎o◎)/!

子どものことばや発達について、乳幼児健診に関わる保健師さんたちを応援するために書いているので、ネタが尽きることがありません。

この
「月刊 地域保健」現在発売中の2012年5月号特集は「災害時要援護者の支援はどう進められたのかーー東日本大震災における福祉避難所の設営と民間支援」です。

特集の中に、私のお仲間である「一般社団法人子どもの発達支援を考えるSTの会」の会員STによる、陸前高田市の被災の状態と、支援の経過報告の記事が載っています。

地域で、支援するとはどういうことか?」をもっとも切実に考え続けてきた職種である保健師と、その働きのことを知っていただきたいので、興味のある方はどうぞ読んで見てください。

月刊地域保健   ← こちらから申し込めます。 

・・・・・・・  ・・・・・・・   ・・・・・・・   ・・・・・・・

2012年6月2日(土) 震災復興支援講演会「子どものこころとことばを育てるために」子どもSTの会主催)が予定されています。
(陸前高田市は、100人以上の多くの人が集まれる公的な場所がすべて被災したり使えなくなっているため隣の住田町の会場を使わせていただきます)

とってもわかりやすく、すぐに明日からでも取り組めそうな遊びの本です。

おまけに、その遊びにどういう意味があり、どういう力を育てようとしているのかの「効能書き」も、ちゃんとつけてあります。

使われているのが、カットではなく、実際の子どもさんの写真なので、その臨場感の助けもあって、これもやってみたい、あれも面白そう! とイメージがふくらみます。

保育園、幼稚園、療育の場や、おうちで、みんなで楽しく運動できそうですよ!!2011年11月発行  1600円+税

 日本の特別支援教育推進の立役者の一人である柘植雅義さんが、編集にあたった本です。2012年2月発売  定価2800円+税
本の扉にはこうかかれています。

多様な専門スキルで発達障害当事者ニーズを充たすために集う「対人援助専門職
発達障害当事者が健やかに生きるために整備される「発達障害支援ネットワーク」

ふたつの歯車が連動するとき、誰もが愉しく自由に生きていくユニバーサルデザイン社会は実現へと歩みはじめる。

この社会の青写真は「誰が支援するのか?」に応える16の専門職種、「何を支援するのか?」に応える12の支援内容を起点に、描かれる。

特別支援教育の理念に始まり、支援の枠組みと全体像を俯瞰するのに役立つと思います。

柘植さんに頼まれて、「言語聴覚士の立場から」の4ページ分を担当させてもらいました。

お問合せ・ご相談はこちら

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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