先日の学校巡回の折、専門家チーム仲間の通級の先生から紹介していただいた本です。
『通常学級での特別支援教育のスタンダード』
東京都日野市公立小中学校全教師・教育委員会with 小貫悟
東京書籍 2800円
ISBN978-4-487-80490-0
この本を読みながら、平成19年4月1日に文部科学省の銭谷初等中等教育局名で出された通知「特別支援教育の推進について」 の中で、はっきり示された方向、すなわち
《さらに、特別支援教育は、障害のある幼児児童生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるものであり、我が国の現在及び将来の社会にとって重要な意味を持っている。》
を思い出しました。
「従来の教育ではもう通用しない」「教育は変わらなければならない」といろいろな人が発言し、さまざまな取り組みが行われていますが、特別支援教育を軸にすれば、おのずと、教育は変わるし、変えることができる、と私はずっと思ってきました。
先生という職業の人たちは、その表現の方法はさまざまですが、子どもたちが輝くことを心から願っている人たちなんだなー、と、知れば知るほど、感じます。
先生方がこの本から、子どもを輝かせるための具体的なヒントを手に入れれば、教員という仕事がもっともっと面白くなるだろうな〜と思います。
もちろん、文字に書かれるのは現実のごく一部、しかも上ずみにすぎない、ということはあるでしょう。実際の姿は、かならずしも手放しで賞賛されることばかりではないかもしれません。
私が目にする学校現場にも、いろいろな場面があります。
にもかかわらず、全校に一冊ずつ、全学年に一冊ずつ、できたら、全教員が一冊ずつ持って、座右の書にしてほしい本だと思います。
なぜなら「特別な大先生でもなく、特別な立場でもない、ごくごく普通の教育実践者たちが、子どもが活き活きと輝く方法を、一丸になって、一生懸命考えてみたら生まれていた」本(前書きより)だからです。「特別支援」の側からではなく、「通常の学級」の側から書かれた本として、「通常の学級の先生」たちにとって、よい啓発書になると思うからです。
「特別な子への特別な支援」ではなく、「すべての子どもに対する個別の支援(個のニーズに応じた支援)」が当たり前に行われる学校に、早く変わって行きますように。