「ホームレスが売る雑誌 ビッグイシュー日本版」はご存じの方も多いかと思います。
ターミナル駅などでしか売っていないので、私はなかなか出会うことができません。
1冊300円のうちの、160円が販売者の収入になります。
この「ビッグイシュー日本版」に東田直樹くんが、ずっと連載を続けています。最初は東田くん自身にも大きな戸惑いがあったとのことですが、
「通常の会話はほとんどできないという重度の自閉症者である東田さんがつづったピュアな心、内面の世界が読者を魅了」して、大好評連載になっています。
そして
「同時にそれは、『人はなぜ生きるのか?』という問いへの明晰な回答」となってもいると思えます。(青字は「ビッグイシュー」のサイトからの引用)
私は12月9日に大阪府高槻市の大阪医大LDセンターにお呼びいただいて講演に行く途中、たまたま高槻の駅で、販売者に行き会いました。
ビッグイシューを久しぶりに買ったところ、そこに、黄色い単行本が!!
「あ、そうだ、東田くんの新刊が、12月5日発売だったはず!」と思い出し、早速一冊購入しました。1500円の定価の半分が、販売者の今日の生活費になるのです。
引き返して2冊目を買いました。(実は、家に帰ったら、東田くんから一冊送られてきていました)
この本は「ビッグイシュー」という、ユニークな媒体に連載されたエッセイという特性のためか、他の本以上に、東田くんの内省的な思索がストレートに表現されています。嘘や余分な飾りのない文章が、一気に読み手の心に入ってくる感じです。
一番最初に、直樹くんが手を支えてもらう「筆談援助」で自分の気持ちを書けた瞬間のことも、あらためて、本人のことばで語られています。
ありがたいことに、「ビッグイシュー日本」でも、1月10日からオンラインでの販売を始めたそうです。「ビッグイシュー日本 通信販売開始」のサイトからお申し込みください。
〜〜〜〜〜〜購入方法紹介ここから〜〜〜
下に、申し込み方法を転載させていただきました。
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■■「風になる」通信販売開始■■
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"近くに販売者がいない""直接の購入がむずかしい"といったお客様にもご購入いただけるよう、東田直樹さん著書『風になる ―自閉症の僕が生きていく風景―』の通信販売を開始いたします。
■販売開始日: 2013年1月10日(木)
■価格 1冊1,500円(税込)
■送料 100円(冊数に関わらず)
■ご入金金額: 1,500円×冊数+送料100円
・1冊 1,600円
・2冊 3,100円
・3冊 4,600円〜
■ご入金方法
郵便局備付けの振込用紙のメモ欄に下記の項目をご記入し、振込みをご依頼ください。
・本のタイトル『風になる』
・冊数
・送付先の郵便番号、住所
・お名前
・電話番号
■ご入金先口座
・郵便振替口座番号: 00900-3-246288
・加入者名: 有限会社ビッグイシュー日本
■本の発送お客様からの入金を確認後に、郵便局の「ゆうメール」にて、お送りします。
〜〜〜〜購入方法紹介ここまで〜〜〜〜〜〜
高槻市駅頭で購入したビッグイシュー204号(2012年12月1日号)で、東田くんは、「家族が病気なのに何もして上げられない時、情けないと感じる。とても心配していても 大丈夫のひと言さえ言えないから。それどころか、苦しんでいる相手の目の前で、意味不明に笑ったり、こだわり行動を続けたり、まるで、相手の病状など目に入らないかのような態度」をとってしまうことに、とても悩んでいる、と書いています。
「心配ごとがあるときに限っておかしな行動をするのは、すべきことが他にみつからないせいです」とも。
でも、そんなときにも、「家族は 僕が心の中では悲しんでいる、心配しているにちがいないと分かってくれる」
そのおかげで「僕は誇りを失わずに生きて」いるのだと直樹くんは書いています。
会話はなり立たないし、意味不明にピョンピョン跳んだり、あたりを走り回ったり、同じことばかりくり返して聞いたり、外見からは「重い知的障害を持つ自閉症の人」としか見えない東田くんが心の中で、「人の役に立てないことに対して、罪悪感にさいなまれている」とは、誰が考えつくでしょうか。
人を見かけによって断定しないこと、小さい子どもや、障害が重い(ように見える)人に対しても、一人の人間として尊敬の念を持って接することの大切さを年の初めにあたって、あらためて、自分に言い聞かせようと思っています。