2009年11月04日

「発達障害者施策検討会」 at 厚生労働省

  今年度も、「発達障害者施策検討会」が厚生労働省で開催されています。
  私も構成員の一員として各都府県が展開しているモデル事業についての意見を述べたり、発達障害情報センターの情報発信について意見を述べたり、という機会を与えられています。
  先日、11月2日にも、中間報告会が開かれました。それに向けての資料の取りまとめ、印刷、委員や関係先への発送、など、なかなか目に見えないところでの、事務を担当する方たちのご尽力には頭が下がります。

  上記発達障害者施策検討会は、20年8月29日付けで「発達障害者支援の推進について」という報告書を出し、大まかな方向を打ち出しています。
       (「発達障害者施策検討会」で検索すると資料が出てきます。)

  各都府県の代表者がわざわざ東京まで出てきて、検討会に進捗状況を報告し、検討会構成員の意見を受けて事業の手直しをするなど、精力的な取り組みがなされています。

 法律ができるだけはできたけど、実効が伴わない、といわれ続けて来た(それはほんとのことですが)「発達障害」のある人たちへの支援が、一歩ずつ、一歩ずつ前進していることを実感します。

  みなさん、さらに、がんばりましょう。

  それと共に、昨今の流れとして、「ハッタツショーガイ」への取り組みばかりが強調されて、知的障害やその他の障害の人たちをないがしろにするような風潮も感じないではありません。(もちろん、今まで日が当たっていなかった分を、一挙に取り戻そうとしているので、相対的にマスコミ等に取り上げられることが多い、ということはあるのかもしれませんが・・・・)

  「早期療育」「健診後の相談」という現場にいれば、さまざまな障害のお子さんが従来と変わらず通ってくるので、全方位へのセンスを失うことはありえませんが、会議や、本の中ばかりで考えると、視点がすっかり偏ってしまう危険もないではないような気がします。
  三木先生に「一番障害の重い人と付き合うことで、一番大事なことを学ぶことができる」とおっしゃっていたことを思い出します。

   ハッタツショーガイを押し立てて進む、ことを当面大事にする必要はあるでしょうが、究極的には「すべての子どもに光の当たるような社会と施策」が目指されなければならないと思っています。

posted by 中川信子 at 23:24| Comment(0) | 徒然のぶこん

2009年11月04日

「講座 子どもの心療科」 杉山登志郎 編著  講談社

 昨今は、「発達障害」関連の本があふれかえっていますが、杉山先生の本は、それらの中でも先頭を走る本だと思います。
 時間がないので、詳しく感動をお伝えすることはできませんが、今回の「講座 子どもの心療科」もすごかったです。

 地域で「ことば」を入り口とする「相談」という看板を出してお店を広げていると、実にいろんなお子さんにお会いします。いわゆる「発達障害」や「発達障害(疑い)」ではとうていくくることのできないいろんなお子さんと親ごさんたち・・・・・。

  (ちなみに、私は個人的には「発達障害の疑い」ということばが大嫌いです。「かもしれない」「案ずる」「心配」という意味を表わすだけでいいのに、なぜ「疑い」と悪者扱いされなくてはならないのでしょうか・・・)

   この本は、地域で「支援」にあたる、すべての方に読んで、知っていただきたいと思います。

 

 内容の一部紹介

◆心療科で出会う発達障害   

発達障害の理解と対応;    
発達障害の診断と鑑別; 
発達障害の治療とフォローアップ;   
広汎性発達障害の子どもと関係を築くコツ;     
発達障害の薬物療法;   
発達障害児の示す問題行動の理解と対応;      

◆ 心療科で出会う情緒障害   
小児心身症への対応;摂食障害の理解と対応;    
摂食障害の心理治療;子ども虐待への対応;    
性的虐待を受けた子どもへの対応と支援;    
不登校をめぐって;不登校への対応;

◆心療科をめぐって   
心療科の入院治療;    
心療科に関連した福祉制度

 

 

posted by 中川信子 at 22:57| Comment(0) | お勧め書籍案内