2015年01月07日

うれしいこと 狛江の教育の現場 

1月7日、狛江市内の I 小学校で、教員全員対象の特別支援教育校内研修会の講師を依頼されて行ってきました。
新学期開始前日の午後に、長々と2時間も時間を取っての研修会だなんて、なんと申し訳ないと思いつつも、でも、巡回の折には、なかなかお話しできないようなこともお伝えしようと出かけてゆきました。

学校の先生方は、全国的には、今日明日使えるハウツー的な「対処の方法」を求める傾向が強い、と、常日ごろ感じているのですが、今日は、先生方の構えが全然違っていて、「さすが!狛江!」と、感心しました。

特別支援教育の最終形は「特別な子への特別な支援ではなく、すべての子どもへの当たり前の個別支援」「分かりやすい授業、認める声かけ」「安心できるクラス作り」に尽きるということや、STの目から見た吃音や選択性緘黙、構音の未発達、のことや対応のヒントなどについてお話ししたあと、最後に、事前質問で出されていた「クラスのほかの子たちから『僕たちだってガマンしているのに、あの子だけ許されるのはおかしい』という声が出たときに、どういうふうに説明すればいいのだろう」という問を、グループ討論で、みんなで考えていただきました。

グループごとの討議の内容がいずれも「どう対処するか」ではなく、「どう理解するか」「子どもの気持ちに近づいて考える」という方向であったことに、感動しました。

10年前、特別支援教育がやっと動き出したころの学校では「困った子」「わがままな子」としかとらえなかった子どものいろいろな行動が、深くとらえられるようになってきていることに、狛江の特別支援教育の広がりと深まりを感じたからです。

ある先生は「たとえば」の話として、やっとの思いで、4時間目に登校してくる子の話をして下さいました。給食はモリモリ食べるし、部活は好きなことだから元気に参加する。でも、次の日も、やっぱり、どうしても午前の授業には出てこられない。

ほかの子から「ずるい」「給食を食べに来てるみたい」という声も、当然上がります。

先生は、そういうふうに「ずるい」と言う子どもたち自身が実は「ボクのこと見て!」「私のこと注目して!」というサインを出しているのだ、と考え、そういう子どもにしっかり目を向けることをした上で、「先生は、4時間目からでも◎◎君が来てくれると、とってもうれしいんだ!」と答えるのだそうです。

そして、「君だって、4時間目から来たっていいんだよ。先生は、大歓迎してあげるよ、どう?」とも言うのだそうです。

「4時間目から来たっていいんだよ」って言われても、大多数の子は、必ず1時間目から来る。
4時間目からしか登校できない子には、その子なりの理由があるんだ、と、先生は理解しているのです。

子どもを個別に見る立場の私たちセラピスト系の職種の人たちや、心理職の人たちにとっては当たり前の見方も、学校の先生という「きちんと」「ちゃんと」「みんなで」を旗印に集団授業で子どもたちをひっぱる意識の強い方たちには、なかなか分かっていただくのが難しいものです。
実際問題、集団を前提とする現在の学校教育では、そういうやり方でないと、学習が進まないのも事実ですから。
「一人を甘やかすと、集団の規範が崩れるから、一人だけ特別に、はできない」、ともよく言われます。
ほんとは、「クラス全員を特別扱いする」態度が大事なのに。

新しい形の、「通常級の中での個別配慮」に基づく特別支援教育が、狛江では体現されつつあるんだ、と確信できた一日でした。


狛江市の指導室が26年12月に作成した「狛江市の特色ある学校教育事業21」というパンフレットを今日、市役所でもらってきました。

「狛江の教育3本の矢」として
1 ICT機器の活用による授業改善
2 Q−Uアンケートを活用した学級集団づくり
3 すべての学校、すべての学級、すべての子どものための特別支援教育
があげられています。

そのあゆみの一部に協力してきた身として、狛江の特別支援教育を誇りに思いましたし、これを作り上げて来る上で、本当に多くの方の尽力があったことを思い浮かべ、あらためて感謝の念にたえない、と思っています。

posted by 中川信子 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然のぶこん
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