2010年08月17日

「大切なことは、目に見えないんだよ」

  「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」と星の王子さまに言ったのはキツネでした。(『星の王子さま』サンテクジュペリ)

「かんじんなことは目に見えないんだよ」というフレーズが急に頭に浮かんだのは、福岡県大牟田市にある「あけぼの学園」主催の合宿研修からの帰り道です。

大牟田は、私が4歳から9歳までを過ごした懐かしい土地。2歳から4歳までは隣の荒尾(熊本県)に住んでいたので、「アタシも、合計7年は九州のことばばしゃべりよったとばい。今でもうまかとよー、ほんなこつ」
東京から遊びに来たいとこが、幼かった私に、『よか!』とか『でけん!』とか言われて、面食らっていた、と母に聞いたことがあります。
延命公園にはまだ観覧車があるそうですし、夜にアシカ(?)の鳴く声が家まで聞こえた市立動物園も、まだ健在だそうです。この財政難の中よくがんばってます。
幼児期のことを懐かしく、楽しく思い出すことができるのを、とても幸せだと思います。
発達障害のあるお子さんの中には、叱られ続けて育ったために、幼児期のつらい思い出ばかりが湧き上がって来る・・・・と語る人も少なくありませんから。

たとえ発達障害があり、育てにくい子であるとしても、特性を理解され、無理せずにだんだんに育つことが許される社会が早く来てほしいという願いを研修の中ではお伝えしたつもりです。

「あけぼの学園」は、日本言語聴覚士協会の深浦順一会長のゆかりの施設でもあります。それらもさることながら、昭和40年に設立されたという社会福祉法人「あけぼの会」の45年にわたるあゆみの確かさに圧倒されました。
この「あけぼの会」は、新聞記者だった中島正敏氏(現・理事長)が、たまたま取材で知り合った保護者の方たちの窮状を見かねて私財を投じて設立したことが発端となった社会福祉法人なのだそうです。
職員の方たちがそのことを誇らしげに、でも淡々と語られるのを聞き、ああ、いい仕事をされているのだな、見えないところに「本当の大切なこと」が、しっかり埋め込まれているのだな、と感じました。

合宿研修会は、昭和47年から毎年続けられているのだそうです。
入所施設、通勤寮をかかえる法人が法人全体で日にちを合わせて一斉におなじ会場で研修の機会を持つための努力の大変さは想像するにあまりあります。

そして、事前に送っていただいた、施設内研修の報告が、「利用者中心の・・」という立場に貫かれているのも、読むだけで分かりました。

帰りにさまざまな施設を案内していただいたのですが、山の斜面を利用して建てられた小さめの建物の数々が、作った人の「思い」を抱き、それぞれに歴史を重ねてきたことが、つくづくと思われました。(施設のすぐ裏山には見事な断面を見せる大岩もありました!!)

昨今は、いろいろな面で、障害のある人たちへの支援が進んできました。
が、一方で、「福祉もサービスだ」ということが強調され、指向する方向が見えないまま「支援」だ「利用者さん」だ「患者さま」だ、とことばばかりが軽く滑っているような気持ちのすることが多い昨今、「こころざしを持って、ぶれずに歩き続けている人たち」の姿を見て、何だかとっても励まされました。
こころざしとは、本来、「心が指す方向」のことなんですものね。

あけぼの会の中心をになっている方たちは、こぞって、団塊の世代。
学生時代、「そもそも人間の平等ということはなぁ!」とか「君の考えは、間違っている!!」とか、「だって、そもそも」とか、互いに指を指しあいながら、福祉について、障害者運動について、理想の社会のあるべき姿について、毎日毎夜語り合ったころのことが、今、ここによみがえったような心持でした。

あけぼの会の施設は「あけぼの苑・あけぼの学園」「有明ホーム」「有明通勤センター」「大牟田授産センター」「大牟田ワークショップ」などがあるそうです。
それぞれに何だか、とても興味深いので、いつか、ゆっくり遊びに来ようと思いました。そのときは、ぜひ、延命公園で観覧車に乗り、動物園でゾウさんに会いたいものです。4−5歳のときの私の幻に会えるかもしれません。

 

posted by 中川信子 at 23:51| Comment(0) | 徒然のぶこん
この記事へのコメント
この記事へのコメントをご記入ください。
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

(ブログ管理者が承認したコメントのみ表示されます)