2010年08月14日

自閉症、発達障害の人たちの感覚面の困難さ(本 + 感覚統合関連サイト)

「このぐらいのこと、みんなできるのにっ!!どうしてできないのっ!」とか、「どーうして、そういうことするのっ!!」って言いたくなるような行動の数々・・・。
子どもを育てる過程では多かれ少なかれこういうことがつき物です。

育てにくい子、気になる子がすべて発達障害ということにはなりませんが、周りの人に「どーして、あんたはっ!」と責められたり叱られたりする前に、「そういう理由があったのかぁ、あんたも大変だわねぇ」と言ってもらえるようになれば、発達障害があっても、深刻な二次障害に至らずにすむのではないかと思います。

「対処」を考えるためには、「相手の置かれている状況を“知ること”“理解する”こと」が不可欠。
そのために役に立つのが、ニキ・リンコさんたち当事者による本の数々です。

ご紹介する本は、当事者による本ではありませんが、、当事者と同じかそれ以上に、ご本人たちの困り感を描き出し、「だから、周囲にいる私たちがどうすればいいのか」へと自然に導かれます。

◆◆◆
 『青年・成人期のアスペルガー障害・特定不能の広汎性発達障害  
          パスポートは特性理解』
    NPO法人ノンラベル  田井みゆき
    かもがわ出版     2000円+税
                2009年8月発行

NPO法人ノンラベルは、京都にある引きこもりと不登校の家族会の活動から生まれたNPO法人だそうです。アスペルガー障害が基礎にある人の利用が予想外に多く、今は、成人期アスペルガー障害の人たちへの支援を主におこなうことになったとのこと。
本全体から「近いところにいる」「寄り添う」「見守る」という姿勢を感じさせられます。

感覚の過敏・鈍感、空気の読めなさ、圧倒的な不快にさらされることから起きるパニック・・・
一人ずつの持つさまざまな困難が、「生活」の中で描き出されています。「本当に、大変だねぇ」と言ってあげるよりほかないエピソードの連続です。
(私にも同様、または連続線上の状態がたくさんあるので、なおのこと、身につまされます)

「本人さん」「HF−PDDさん※」と、さん付けで記載してあることも、抵抗感なく読める理由の一つ。
    (※High-Function  Pervasive  Developmental Disorder   高機能広汎性発達障害)

この本の中のエピソードの一つ、ある成人期のアスペルガー障害の方が統合失調症と誤診されたいきさつは次のようなものでした。
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≪ドクターの「何か声が聞こえますか?」の問いにHF−PDDさんが「はい」と答えたところ、「幻聴」と診断されました。HF−PDDさんは「今」を生きる方々ですから「何か声」は質問した医師の声です。だから返事が「はい」になるのです。≫
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同じことばを使っていても、使い方がちょっとずれると、こんなことになっちゃいます。そんなことの連続・・・・。ほんとに大変なんだってことを、周りのみんなに分かってほしい!!

 

◆◆◆もう一つは、感覚統合学会のHPです。
「お父さんお母さんのための入門講座」は残念ながら、今のところ工事中ですが、トップページの土田玲子先生のお話を読めば、大枠はつかめるのでは? ムリかな・・・・。

リンクされているJSI−R(日本感覚インベントリー)であげられているような、一見関係なく見えるさまざまな行動が、感覚統合というメガネを通してみると、ひとつこととして一挙にナットク!できるのです。
日本じゅうに、もっともっと感覚統合という視点が広がってほしいものです。

上記JSI−Rが掲載されている姫路獨協大学太田篤志先生のホームページもついでにご訪問くださいませ。 スヌーズレンについても知ることができます。

相手に発達障害があろうとなかろうと、人と人との関係は「対処」「指導」ではなく『対等な」「関係性の中」での「相互理解」でありたいものです。

 

posted by 中川信子 at 22:33| Comment(0) | 徒然のぶこん
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