ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  10月17日、佐渡市立金井小学校に設置されている「ことば・こころの教室」の開設40周年記念式典が行われました。私は同時に企画された記念講演の講師としてお招きを受けました。
  創立40年ということは、昭和45年の開設であり、まさに、日本の「ことばの教室」の先頭を走った教室の一つ、といえます。
 式典と祝賀会には、歴代の「ことばの教室」担当者の先生方も、多く参加されていました。

 式典で述べられることばを聞いているうちに、自然と頭の中に浮かんだのは「ベクトル」ということばでした。線は点のつながりです。最初の一点が、どちらの方向に向いているかで、直線の方向はある程度決まってしまう・・・というか。 

 金井小学校の「ことば・こころの教室」の場合は、創設の時の「点=こころざし」の方向が今なお、脈々と受け継がれ、立派な歴史を作り上げてきたと感じました。
  創設時の担当の先生とお話ししたところ、予想通り、千葉市院内小学校の大熊喜代松先生や、当時御茶ノ水大学におられた田口恒夫先生のもとで研修をつんで、教室開設にあたった、とのことでした。田口先生とは懐かしいお名前を聞くものです!!

  親たちの強い要請にこたえて作られていった全国の教室たちでしたが、平成5年に「通級による指導」が公式に認められるまでの期間は、日陰の存在に甘んじざるを得ませんでした。校長さんに「君たちのやっていることは、法律違反だ」と言われても抗弁できない時代もあったと言います。

 「ことばの教室」の大きな特徴は、ほとんどの場合、「親の会」が組織されていて、何かの行事の際や、勉強会などは、必ず先生達と協力・共催するスタイルをとっていることです。「子どもを真ん中に、保護者と教員が、何でも、隠し事なく話しあえる仲」があるのです。新しい教育の形かもしれません。  

  講演依頼をお受けしたのは1年以上前でしたが、それ以来、毎月送ってくださる「教室だより」は、先生と保護者が一緒になって子どもたちを健やかに育ててゆこうとしている雰囲気がとてもよく現れているものだったのですが、その理由は、実際に、来て、見て、分かった、という感じでした。開設のときに考えられた方向が、間違ってなかった、ということでしょう。

  人生初めての体験「ジェットフォイル」にも乗れたし、「佐渡金山」も見学できたし、それより何より、息の長い教育の営みにあっては、教員と保護者とのフランクな協力関係がなによりも大切だ、ということをあらためて感じ、また、ものごとは、初めの一歩、最初の一点に込められる「こころざし」の力によってその後の発展の方向が決まると痛感しました。

 教室の存在意義を、教育委員会や事務局が深く理解し、しっかり支えてきたことも感動の一つでした。
  「人は一人では生きられない」 副市長は祝辞の中でこう言われました。
 認め合い、支え合うことの、実体化・・・・・・。温かさの感じられる旅でした。

  おりしも昨日(10月20日)は、調布市で新設された「調布市子ども発達センター」を見学させてもらいました。本来の見学日ではないにもかかわらず、丁寧に案内していただきました。
  従来あった通園の「あゆみ学園」と、「総合福祉センター」との機能を統合・充実させて、大きな建物になったのですが、官僚的な冷たい雰囲気にならず、従来のあゆみ学園の雰囲気が感じられたので、安心しました。
  調布市あゆみ学園は、昭和40年代半ば、障害のある子のための療育の場を作ろうという保護者の運動で、調布の駅前のアパートの一室で始まった「あゆみ教室」にその源流を持っています。その後、市が運営する「あゆみ学園」となり、大きく発展してきましたが、今回、発達センターとなるにあたっても、職員、保護者、関係者が入る委員会が何回も話し合って概要を決めたそうです。

 行政が勝手に入れ物だけ作ってしまって、使い勝手が悪い・・・・という話をよく聞くだけに、細部に工夫された建物を見せてもらって、何だかとても安心しました。   調布市子ども発達センターにはSTが11名も配置されていて、これからも、(私が籍を置く健康推進課から)「ことばが遅い」などの訴えの子を紹介する先なのです。安心して紹介できそうです。

お問合せ・ご相談はこちら

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

お気軽にお問合せください