「べてるの家」は、北海道・浦河を拠点として活動する、精神障害のある人たちの集まりです。そのユニークな発想と果敢な「商売」で、全国にたくさんの支持者、いや、信奉者を生み出しています。信奉者のことを「べてらー」と呼ぶそうです。私もべてらーの一人です。
べてるの家情報サイト「べてるねっと」もあります。
「べてるの家」に関してはいろいろな本が出ています。
「べてるの家の非援助論ーーそのままでいいと思えるための25章」
「べてるの家の当事者研究」 (以上 医学書院)
「降りていく生き方ーーべてるの家が歩むもう一つの道」
(横川和夫 太郎次郎社)
「悩む力ーーべてるの家の人々」 (斉藤道雄 みすず書房)など。
また「寄る辺なき時代の希望ーー人は死ぬのになぜ生きるのか」 (田口ランディ 春秋社)の中の一章にも取り上げられています。
それらの本のいずれも魅力的でしたが、今回の「ゆるゆるスローなべてるの家」はそれらに輪をかけて、来るべき時代の価値観とでも言うべきものに、しっかり踏み込んだ読み応えのある本です。
読み終わってすぐに2回目を読む、なんて、本当に久しぶりでした。
「苦労を奪わない」
「弱さを絆に」 「弱さによって人とつながる」
「足りないことが大事」
「病気で幸せ。治りませんように」
「失敗が失敗のままで収穫をもたらし、弱みが弱みのままで強みとなる可能性を帯びた場所」
などなど、忘れがたいことばがあちこちに見つかります。
「なぜ?」「どうして?」と、答えのない問いを自分に突きつけ、苦しくなってばかりの人もいるでしょう。若いころ、私もそうでした。
この本はそんな方に、一つのヒントを与えてくれると思います。
答えは「みんなで」の中にある、というヒントを。