ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。
朝日新聞育児ファイル「ことば」 第4回 2006年11月12日掲載
英語ビデオ漬け 気をつけて
赤ちゃんのときから英語にふれさせておけば、将来英語に困らない? 英語ビデオ教材の使い方で心揺れる親ごさんも多いようですね。
でも、ちょっとここで考えてみて下さい。2歳でリンゴを「アプゥ」と言えたとしても、それが必ずしも将来の英語力を保障するわけではありません。
また、因果関係を証明できてはいませんが、「ことばが遅くて心配」と相談に来られる2歳くらいのお子さんが、赤ちゃんのときから英語教材のビデオ漬けだった、という例を少数ながら見聞きすることがあります。そうした過熱ぶりがちょっと気がかりです。
赤ちゃんがどんなふうにことばを学んでいくのかは、実は、まだわからないことだらけです。
ただし、子どものことばの発達を20年近くみてきた立場から言えるのは、ことばはテレビやビデオからではなく、生身の人間との実際のやりとりを通じて身についてゆく、ということです。また、子ども自身に準備が出来ていないうちに無理に教えるのは望ましくないということも、ほかの言語聴覚士たちと共通する意見です。
英単語を覚える前に育てておくべき力があります。それは人と気持ちを通わせコミュニケーションできること、表現したい内容がしっかりしていること、です。
いくつかの単語をつなげて、自分の気持ちを伝えられるようになってから英語に触れるのはいいとしても、まだおしゃべりできない赤ちゃんの時代から、英語ビデオかけっぱなしという状態は控えたいものです。
英語は、親子のかかわりの一つの糸口だ、程度に考えておくといいでしょう。
「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。
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