ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

「知りたい病」も悪くない・・・かも

足利市の連携協議会

 先日、栃木県足利市に行きました。

足利市は、10年以上も前から医療、保健、福祉、教育の各分野をつなぐ発達支援療育ネットワークがあり、それが名前だけでなく実際に機能している地域として興味深く思っていました。

なんでも、連携に意欲的に取り組むキーパーソンと、周りを囲む多くの協力者があり、年月をかけて定着した仕組みだとか。「連携」ができているところは同様の図式なんだな、って感心しました。

 年度末の超・忙しい時期、しかも、夜の6時半から9時という時間帯なのに、保育園の先生方をはじめ、さまざまな場の方たち大勢のご参加に大感激。

 せっかくの機会なので一泊して、翌日は足利学校とばんな寺を見学することにしました。平日なので人も少なく、じっくり回ることができてラッキーでした。

足利学校に貼り出して関する解説によると、「日本の学校は、古来、原則自学自習であった」とのこと。寺子屋も、一斉に教える時間は少なかったときいたことがあります。いいなぁ。学びとは、自ら知ろうとする力を助けることのはず、望まないのに、覚えなきゃならないことが、あまりに多くなりすぎた現代・・・と思いつつお隣にある「ばんな寺」へ。とてもすばらしいたたずまいのお寺でした。

 大猫おことわり 小さければいいの?

 ばんな寺の山門に「境内に大猫を捨てないでください」という貼り紙がしてありました。もともと「過読症」というか、文字があると読まずにいられないビョーキなので、どうしてもそれが目に入ります、気になります。何回読み直してもやっぱりそう書いてある。

 「大猫って何?山猫の一種?」「大猫って栃木県地方限定の猫?」「それとも大きい猫のこと?」「大猫はダメ? じゃあ、子猫ならすててもいいの?」って、瞬間的に頭の中が「?」だらけになります。

コーラスの先生が、「文鳥みたいだよね、まるで。あれ?って思って首をかしげてる人の姿って」と言ってたことばがよみがえるけど、どうしても首は傾くのだ。

 首をかしげたままもうひとつの門をくぐろうとすると、その門には、「犬や猫を捨てないでください」との貼り紙。

「え?あ、もしかしたら?」と、もう一度さっきの門にもどって貼り紙をよーーく眺めたら、「大」と「猫」の間に小さく「、」が打ってあるではありませんか! 

「犬」の「、」が消えてしまって「大」に読めたのね、「犬、猫」だったのね、と一安心。首がまっすぐに。

こだわり、なのだと思います。ごくごくつまらないことでも、いえ、ごく些細なことに限って「本当はどうなの?」「どうなってるの?」って本当のこと、真実を知りたい気持ちを抑えられません。

さぞかし、はた迷惑だと思うのですが、ST業界やその近辺には同じような傾向の人が多いのか、私みたいな性向を容認してくれるので、とても助かります。

「とらっぱ」ってなあに?

前々回桐生の「とおりゃんせ」のことを書いたとき、「前橋に招かれたついでに」って書きました。その前橋での講演の後、昼ごはんをご馳走になったのが、前橋市総合福祉会館の中にある「Cafe とらっぱ」というレストラン。とてもおいしい日替わりランチや、焼きたてパンが売りものです。ここを運営しているのは「社会福祉法人 すてっぷ」傘下の「小規模通所授産施設 とらっぱ」です。

 で、「『とらっぱ』って何ていう意味だろう?」と、「?」だらけになっている私を見るに見かねて、わざわざ調べて返事をくださった親切な方がいました。「とらっぱ」とはスウェーデン語で「ステップ」という意味だとか。ああ、これで安心。

ご縁は続くよ・・・・

 ところで、以前、前橋に住む私の大学時代の友人のSさんから送られてきた焼きたてパンの包装の中には「わーくはうす すてっぷ」と書かれたカードがありました。今回知った「社会福祉法人 すてっぷ」の代表者S氏と私の友人Sさんの苗字は同じ。偶然?首が傾く。

そういえば、Sさん、電話で「主人がかかわっている授産所のパンです」って言っていたっけ。あれ?どういうこと?

というわけで、糸をたぐったら、Sさんはご夫妻だということが判明。
びっくり。

実は「すてっぷ」のことなら、前出の「とおりゃんせ」の女主人のKさんにいつも聞いていたのでした。15年も前から。

 つまり、私は大学時代の友人Sさんとそのご主人がかかわってい「すてっぷ」を、立ち上げ前後のころからずっと知っていたのに、「そういういきさつの すてっぷ」とはつゆ知らなかった、のです。

知っているようで、実は知らないことのなんと多いこと。

足利学校で100円で売っていた「論語抄」に、こう書いてありました。

 「孔子が門人の子路に対して言った。お前にほんとうの認識とは、どういうことか教えよう。それは、真に認識したことと、未だ完全には認識していないこととを区別できること。それがほんとうの認識ということである」。納得!

地域でネットワークをつくる

「社会福祉法人 すてっぷ」は他にも「サービスステーション すてっぷ」(群馬県心身障害児(者)生活サポート事業)、「RUN」(重度知的障害者グループホーム)、放課後クラブ(前橋市心身障害児集団活動・訓練事業)など、たくさんの事業を展開していることを、今回HPを検索して初めて知りました。

地域においては、力のある民間団体のほうがきめこまかな、一貫したケアの体制を作りやすいにちがいない。いつも考えてはいても、でも、大変だろうなぁ、で止まっていることを、すでに実行している人たちがここにもいました。

孔子は「君子とは あれこれ言う前に行い、しかるのちに言うべきことがあれば言うものだ」とも言ったそうです。つまり不言実行、ということね。

Sさんたちも孔子さまもすごいな、と感じ入り、それにしても「知りたい病」も、悪くないな、と思えた一日でした。

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