ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

狛江で通級担任をしている森村美和子先生が、担当しているお子さんと一緒に作った動画「子どもの気持ち」シリーズの第2弾ができました。

今回のテーマは「ノートが書けない」編。
がんばっても、ノートが取れなくて苦しんでいるごーくんが、先生との会話で、前向きになってゆく姿がステキです。

学校には、予想以上に読み書きで苦戦しているお子さんが多いことに驚きます。

狛江市では小学校全校(6校)にi−padを40台ずつ配っています。
以前、ある小学校の公開授業の際、i−padを使った授業で、子どもたちが生き生きと発表する姿が印象的でした。

読み書きの苦手な子の全員が  i−padを使えばラクになる、っていわけではありませんが、でも、自分にあった学習の方法を見つけ出してくれるといいですね。

狛江市の教育の柱の一つが特別支援教育。
そのスローガンは「すべての学校 すべての学級で、すべての子供のための特別支援教育」です。
スローガン倒れにならないための仕組みの一つが、全部の小中学校で実施している
「Q−Uアンケート」です。

早稲田大学の河村研究室と提携して実施しています。

わが家に配布された「狛江の教育」にお誘い記事が掲載されていたので、ご案内します。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
Q−Uアンケート研究発表大会へお越し下さい

狛江市教育委員会では、平成23年度から狛江市全ての小・中学校で「Q−Uアンケート」を実施しています。各学校では、アンケート結果を活用した学級集団作りを通して、児童・生徒一人一人の学校生活の充実や学習意欲の向上に努めています。

 連携プロジェクトでは「学力の向上」「いじめの早期発見」「不登校の予防」「特別な配慮を必要とする児童・生徒への対応」などの視点を持って、3年間にわたり、市内全ての教員が早稲田大学と協同して研究と研修を積み重ねてきました。

研究発表大会では、狛江の子どもたちの力をより一層伸ばしていくために「Q−Uアンケートをどのように活用すればよいか」「教員は授業スタイルをどのように変えてゆけばよいか」など、3年間の研究成果を発表します。

保護者の皆さん、地域の皆さんも当日ぜひ研究発表大会へお越し下さい。

日時  1月23日(金)午後2時ー5時

会場  早稲田大学 大隈記念講堂 大講堂(定員1000名)

入場  無料

事前申し込み  不要

早稲田大学 河村茂雄研究室 研究発表大会Q−Uアンケート

たまたま教育テレビをつけたらハートネットTVをやっていました。
「生き心地は良好  瑞宝太鼓」

1月15日(木)午後1時5分から再放送があるそうです。

瑞宝太鼓は、知的障害のある団員によって構成されるプロの和太鼓集団。
社会福祉法人南高愛隣会 傘下の就労継続支援A型作業所だそうです。

長崎県にあるというこの法人理念などを読んでいたら、すごいなぁ、と思うことばかり。
さらに読んでいたら、そうか、かの有名なコロニー雲仙の進化した形だったのだということがわかりました。

映画もできているというのに、全然知りませんでした。反省!!
お時間あったら、どうぞ、再放送をご覧になって下さい。

1月7日、狛江市内の I 小学校で、教員全員対象の特別支援教育校内研修会の講師を依頼されて行ってきました。新学期開始前日の午後に、長々と2時間も時間を取っての研修会だなんて、なんと申し訳ないと思いつつも、でも、巡回の折には、なかなかお話しできないようなこともお伝えしようと出かけてゆきました。

学校の先生方は、全国的には、今日明日使えるハウツー的な「対処の方法」を求める傾向が強い、と、常日ごろ感じているのですが、今日は、先生方の構えが全然違っていて、「さすが!狛江!」と、感心しました。

特別支援教育の最終形は「特別な子への特別な支援ではなく、すべての子どもへの当たり前の個別支援」「分かりやすい授業、認める声かけ」「安心できるクラス作り」に尽きるということや、STの目から見た吃音や選択性緘黙、構音の未発達、のことや対応のヒントなどについてお話ししたあと、最後に、事前質問で出されていた「クラスのほかの子たちから『僕たちだってガマンしているのに、あの子だけ許されるのはおかしい』という声が出たときに、どういうふうに説明すればいいのだろう」という問を、グループ討論で、みんなで考えていただきました。

グループごとの討議の内容がいずれも「どう対処するか」ではなく、「どう理解するか」「子どもの気持ちに近づいて考える」という方向であったことに、感動しました。

10年前、特別支援教育がやっと動き出したころの学校では「困った子」「わがままな子」としかとらえなかった子どものいろいろな行動が、深くとらえられるようになってきていることに、狛江の特別支援教育の広がりと深まりを感じたからです。

ある先生は「たとえば」の話として、やっとの思いで、4時間目に登校してくる子の話をして下さいました。給食はモリモリ食べるし、部活は好きなことだから元気に参加する。でも、次の日も、やっぱり、どうしても午前の授業には出てこられない。

ほかの子から「ずるい」「給食を食べに来てるみたい」という声も、当然上がります。

先生は、そういうふうに「ずるい」と言う子どもたち自身が実は「ボクのこと見て!」「私のこと注目して!」というサインを出しているのだ、と考え、そういう子どもにしっかり目を向けることをした上で、「先生は、4時間目からでも◎◎君が来てくれると、とってもうれしいんだ!」と答えるのだそうです。

そして、「君だって、4時間目から来たっていいんだよ。先生は、大歓迎してあげるよ、どう?」とも言うのだそうです。

「4時間目から来たっていいんだよ」って言われても、大多数の子は、必ず1時間目から来る。
4時間目からしか登校できない子には、その子なりの理由があるんだ、と、先生は理解しているのです。

子どもを個別に見る立場の私たちセラピスト系の職種の人たちや、心理職の人たちにとっては当たり前の見方も、学校の先生という「きちんと」「ちゃんと」「みんなで」を旗印に集団授業で子どもたちをひっぱる意識の強い方たちには、なかなか分かっていただくのが難しいものです。
実際問題、集団を前提とする現在の学校教育では、そういうやり方でないと、学習が進まないのも事実ですから。
「一人を甘やかすと、集団の規範が崩れるから、一人だけ特別に、はできない」、ともよく言われます。
ほんとは、「クラス全員を特別扱いする」態度が大事なのに。

新しい形の、「通常級の中での個別配慮」に基づく特別支援教育が、狛江では体現されつつあるんだ、と確信できた一日でした。


狛江市の指導室が26年12月に作成した「狛江市の特色ある学校教育事業21」というパンフレットを今日、市役所でもらってきました。

「狛江の教育3本の矢」として
1 ICT機器の活用による授業改善
2 Q−Uアンケートを活用した学級集団づくり
3 すべての学校、すべての学級、すべての子どものための特別支援教育
があげられています。

そのあゆみの一部に協力してきた身として、狛江の特別支援教育を誇りに思いましたし、これを作り上げて来る上で、本当に多くの方の尽力があったことを思い浮かべ、あらためて感謝の念にたえない、と思っています。

特別支援教育をサポートする図解よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実例集
SST .jpg
上野一彦(監修)  
岡田智、中村敏秀、森村美和子(著)
ナツメ社
2012年7月
2200円+税
特別支援教育をサポートする
図解よくわかるソーシャルスキルトレーニング(SST)実践教材集』
SST 2.jpg
岡田智、中村敏秀、森村美和子
ナツメ社
2014年8月
2800円+税
SSTの本はたくさんたくさん出ています。
お役立ち本も、多くあると思います。
この本をご紹介するのは、著者のお一人、森村美和子さんが狛江の通級の先生だからです。通級の子どもたちに当事者研究の手法を用いて、自分を知ることをすすめるという、すばらしい実践をしています。
当然のことながら、この本も、SSTをハウツー的にとらえず、子どもの利益を最優先に、という理念に基づく工夫を惜しげなく公開してくれています。
読むだけでも、何だかうれしい気持ちになれます。
てぃ先生.jpg

『ほぉ・・・ ここがちきゅうのほいくえんか。』
てぃ先生
KKベストセラーズ
2014年9月
1000円+税

男性保育士「てぃ先生」が保育園での子どもたちとの生活の中で拾いあげた子どもたちの、キラキラしたことばと心。
ふっと笑えて、しみじみします。
「子どもって、すごいなぁ」って。

多分、子どもたちに向きあう「てぃ先生」のまなざしが澄んでいるから。

子どものミカタ.jpg

『子どものミカタ』 
山登敬之
日本評論社
2014年12月
1600円+税

わが尊敬する精神科医、ヤマト先生の最新刊。
読みながら「そうだよ〜〜」と各所でつぶやいた一冊。
テーマは 「不登校・うつ・発達障害    思春期以上、病気未満とのつきあい方」

早期発見!早期対応!と何かに追われるように走らされている感のある発達マイノリティ(発達障害 あらため)分野。
何かうまく行かないことがあると「発達障害じゃないの?」とラベルを貼って、自分たちから切り離そうとする流れもどんどん強まっていて。
何でもかんでも、病気や障害のせいにして安心する、って、何かおかしくない?

帯の文章を転載します。
いつも子どもの側(がわ)にいてくれるヤマト先生らしさに溢れています。
「子どもというものは、いつの時代にもそうは変わらない。
変わっていくのは世の中のほうだ。
その動きに合わせて、精神医療の領域でも、病気や障害の新しい考え方が生まれたり消えたりしている。
それも時代の要請なのかもしれないが、子どもに新しい名前をつけることや、その名の下に医療の枠の中に囲い込むことが、果たして、彼らの幸福に資することになるのか。
本当に『子どもの味方』をするつもりなら、この点はよくよく考えておかねばなるまい。」

自閉っ子の心身.jpg

「自閉っ子の心身をラクにしよう!  −−睡眠・排泄・姿勢・情緒の安定を目指して今日からできること」              栗本啓司     
  花風社   
  2014年8月   
  1500円+税 

 障害児の体操教室などにかかわった経験から、整体、野口体操、各種の手技、フェルデンクライス・メソッドなどを学び「からだをラクにする」方法を磨く。
個別の能力の訓練をすることよりも、「からだの土台を作る」ことが「姿勢」や「学習」や「対人」にもつながってゆくと分かる本。
人間は、全体的な存在なので。

お問合せ・ご相談はこちら

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

お気軽にお問合せください