ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

狛江の講演会準備で大忙しの12月17日、第九を聞きに行きました。
どうしても、佐渡さんの指揮する音楽を聞いてみたかったからです。

開演前、佐渡さんが舞台でお話をされました。第九の構成、聞きどころ、など。
そして、どうしてケルン放送交響楽団なのか、ということも。

4年前の3月11日、佐渡さんは、来日中のケルン放送交響楽団と全国をツアーの最中。オーケストラメンバーはちょうど、バスで横浜のレインボーブリッジをわたっている所だったそうです。
原発事故があり、交響楽団はそのまま全員帰国することに。
その後、ケルンからチャリティコンサートをするから来てほしいとの声がかかり、佐渡さんは悩んだ末にそれを引き受けてドイツで演奏会を開いたそうです。

そんな「縁」のあるオーケストラとの演奏だから、もあるでしょうが、第九はやはり、すばらしかったです。
「合唱つき」。人の声の美しさ。

私も、ずいぶん前、豊島区にある「
ゆきわりそう」が企画した第九に参加して、練習を重ね、上野の文化会館の舞台に乗ったことがあります。
当時はソプラノだったので、何しろ音が高い、高い  \(◎o◎)/!
ほとんど悲鳴。いやはや。
プロの合唱団が加わってくれるので、何とかサマになるのですが、すごかったなぁ、あの時は。
そんなことを思い出しながら聞いていました。

音楽は、聴くのもいいけれど、やっぱり演奏(歌う)側にいるのがいいなぁ、とも。
合唱はいいですねぇ(^_-)-☆

さて、佐渡さんは言っていました。「震災のときつくづく感じた。音楽家は何て無力なんだろう、演奏家ならともかく、指揮者は棒を振ることしかできない」と。

STも、大きな災害の前には、無力としか言えない職業です。
でも、無力、非力なりにできる
被災地復興支援を、「子どもの発達支援を考えるSTの会」として模索してきました。
中心になって努力したメンバーと、後押ししてくれる全国の仲間と、現地に継続支援に入り続けているSTの方たちのおかげで、ささやかながら、「何か」が生まれ始めています。


「時の力によって切り離されたものが、ふたたび結び合わされ、すべての人は 兄弟となる」
ほんとにささやかな力しか持ち合わせませんが、STとして、この願いを心に掲げて、もう少し歩いてみようと思っています。


狛江で活動している仲間の会「一般社団法人サポート狛江」の、今年最後の行事であった「ミニ講演と対話の会   風を感じて〜〜自閉症の僕がありのままに生きるために」が終わりました。

狛江市障がい者週間行事として市と共同で開催しました。
市は市で、できることをがんばってくださり、私たち団体側も、できることに全力を尽くし、気持ちのよい仕事でした。

当初予定した会場が、受付開始3日で満員になってしまったため、急遽、市役所の会場を借りて、映像音声を中継する、という、前代未聞の大事業に取り組み、「中継隊」と称した混成部隊のスゴイはたらきで、これが、実現しました。

こういう中継のシステムが、将来、障害のある人や、子育て中の人が、会議や事業に在宅で社会参加するための布石になるといいとも思います。

今日の登壇者は、東田直樹さん、お母さんの美紀さん、そして、精神科医の山登敬之先生というほんとにぜいたくなメンバーでした。
後半は山登先生と直樹さんの対談だったのですが、直樹さんのひと言ずつのことばの深さ、広さに会場は「う〜〜ん」とうなったり、どよめいたりしました。

細かいことは、お伝えするのが難しいですが、当事者と言われる人たちの本当の意志を確認し、当事者の気持ちをまんなかに置いて「支援」を考えることって、分かったふうな気持ちになっている人ほど(私みたいに、長くやっているとか、専門知識があるとか)それが、じゃまして、難しくなるのだなぁと思いました。

雨の予報がお天気になったので、直樹さんに、狛江の駅前の6階から見える遠くの景色や、駅前のバスのロータリーやらを、心行くまで見ていただけたのも、うれしいことでした。

今日の会は、サポート狛江のメンバーで、何年越しかに願い続けていた企画でした。
実現のためには、本当に多くの人の尽力と努力がありました。

なんだか、心の中が、まだ、ほかほかしています。
いろんな場面で「こなす」ではなく、「全力を尽くす」って、いいですね。
しかも信じあえる仲間たちといっしょに。

通級制の学級は、各地で整備の状況もばらばらだし、残念ながら、担当する先生がたの力量もさまざまです。
でも、優れた先生がいる通級では、少人数だから細かく見てもらえる、とか、ソーシャルスキルを身につけられる、というだけではなく、多数派とは違う自分についての理解、いわば、「当事者研の子ども版」という取組も行われ始めています。

今回ご紹介するのは、そういう先生と、子どもたちとの共同作業でできあがった「魔法の啓発絵本」第一弾です。

子どものきもちシリーズ「ずっと言えなかったコト」学校に行けない編

学校に行けなくなってしまう、【発達マイノリティ】(←精神科の山登敬之先生の提唱する新しいお名前!)の子どもたちの気持ちが実によく表現されています。

続々とアップされる予定とのことなので、乞うご期待!!

全国的にも設置されているはずですが、狛江市にも特別支援教育巡回専門家チームがあり、市内の小学校6校、中学校4校を回っています。
この制度を創設した当時の教育委員会の担当者の方たちの努力で、狛江では、文字通り「チーム」で回れる仕組みができています。
メンバーは、「スーパーバイザー」として、精神科医・作業療法士・言語聴覚士のうちの2-3名
その他に、
○その学校の校長または副校長 またはお二人とも
○その学校を担当する教育相談員(※)
    (※)教育相談室に属する専門教育相談員(臨床心理士)が、市内の小学校を一つずつ担当し、教育相談室での来所相談を受けるのと並行して、各小学校に週に1-2日常駐して学校でお子さんの話を聞いたり、保護者と面談したり、担任の先生たちの相談に乗ったりしています。
○学区の特別支援学校(知的障害、肢体不自由それぞれ)の特別支援教育コーディネーター
○その学校の養護教諭(保健室の先生)
○その学校の特別支援教育コーディネーター
○その学校の子が通う通級学級(通級教室)(※2)の担任
      (※2) 狛江市では小学校6校に対し、通級学級が3校に設置されています。
      現在は、2校をペアにして、未設置校には、設置校の通級学級の先生が出張(出前)により、その学校で、通級指導を受けられる仕組みになっています。
狛江市は、他地区に先駆けて、通級学級をがんばって増やしてきました。他校通級よりずっとハードルが低いので(自校に通級教室があると、保護者が送迎しなくてすむ)この仕組みを作ってきたおかげで、通級する児童がとても多くなっています。東京都の第三次計画で、他地区に合わせることになると、狛江市は、自動的に内容が現状より切り下げになることになるのが心配です。

ですので、チームが少ない時でも5-6人、多い時は10人近い人たちが授業参観をして、そのあと校内委員会で協議やアドバイスを行います。

チームみんなが「仲間」みたいな感じで「やあやあ」とあいさつし、会えることを楽しみに、各学校に伺うような感じです。

学校も、ずいぶん変わりました。
子どもたちへの声かけが、具体的で、わかりやすいものになり、「叱って教える」ではなく「ほめて育てる」方向へと明らかに変わってきました。
体育の授業で、「じゃあチーム練習だよ」の時に、大きな時間表示のできるタイマーが使われてあと何分何秒かがはっきりわかったり
音楽の授業では2時50分までがパート練習 3時までの10分間がパートの合同練習、など、
見通しの持ちやすい工夫が各教室に見られます。

子どもたちをひきつけるわかりやすい授業、居心地のよい、安心できるクラスづくりにを目指すこと。
これは、結果的には、多数派の子どもたちに役立つ配慮でもある。

目指すべきは、特別ではない、当然の個別支援教育、と思います。

そのためには、やっぱり、1クラスの人数がせめて20人台だったら、先生の負担も、子どもたちの苦労も減るのだけど、と思うのでした。

発達障害の再考.jpg

右を向いても 左を向いても、発達障害、発達障害。
確かな診断を! 理解を、そして、支援を。
こういうやり方が有効だ………

どれも間違ってはいないし、必要な情報なのでしょうが、でも、何かがおかしい………という違和感がぬぐえません。

この本の前書きにはこうあります。
「発達障害」は今や一般用語になりつつあります。「発達障害者支援法」ができ、「特別支援教育」が始まり、「早期発見・早期対応」が叫ばれる世の中ですが、では、この社会は、発達障害を持つと言われる人たちにとって、以前より生きやすい社会になっているのでしょうか?そもそも、発達障害を持つと言われる人たちは、本当に「早期に発見され」「早期に支援され」なくてはならない人たちなのでしょうか?そこに、多様性を忌避するこの社会の歪みを感じるのは私だけでしょうか。   (中略)
8人の素敵な講師の方々が、以上のような疑問について、真摯に向き合い語って下さいました」

講演記録をまとめてできたのが、本書です。

『発達障害の再考』
  〜〜支援とは? 自立とは? それぞれの立場で自分にできることを問う〜〜

白梅学園大学子ども学研究所 編集発行
汐見稔幸(監修  
市川奈緒子(責任編集
発行:風鳴舎   
発売:新日本教育図書(株)
価格 1800円+税    2014年10月発行 

出版舎HP  http://fuumeisha.co.jp/2014/10/24/407/

著者と内容は以下の通りです。

【著者と内容】

●再考1発達障害である前に、ひとりの子どもである
田中康雄
井桁容子   

●再考2療育訓練の前に、子育てがある
尾崎ミオ
山本芳子

●再考3特別支援教育と『普通の』教育は何が違うのか
阿部利彦
吉本裕子

●再考4『発達障害流行り』の背景にあるもの
汐見稔幸
品川裕香

胸のすく思いで読みました。
 

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