ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

『3歳までの子育てに大切な  たった5つのこと』
   佐々木正美(児童精神科医)  講談社 
   2013年5月発行    1300円+税

       ISBN978-4-06-259680-0 

小さい子は、思いが通らないと泣きわめき、ほしいおもちゃを奪い取り独り占めし、親に甘えたかと思ったら振り払って離れて行き、「やりなさい」といえば「イヤ」と言い、してほしくないことはしっかりやる・・・。
そんな、わけの分からない、やっかいな存在です。
そういう存在と付き合い、子どもも親も成長し、度量の幅を広げてゆくのが「子育て」の醍醐味だと私は(ふりかえれば・・)思うのですが。

ひるがえって、今、子育てまっさいちゅうの親ごさんの、子どもとのかかわりを見て、危なっかしさを感じることがたびたびです。
自分の中の“あるべき”子ども像にあてはめて、子どもをコントロールしようとしているように見えて。

佐々木先生の新しいこの本は、そんな子どもの育ちの根幹に立ち戻り、子育てに大切なことをあらためてはっきりと教えています。

5つの大切なこととは
   1 遠くから見守る
   2 ほほえみを返す
   3 泣いたらあやす
   4 できるまで待つ
   5 いっしょに遊ぶ

ほんとにその通り。
たったこれだけ。
でも、「されど・・・」です。

佐々木先生からのメッセージ

親のあなたが望む、あなたの理想の育児をしていませんか?
幼い子が親の期待に応えることなんてありません。
子どもが望むように育ててあげる、それが育児の基本です。

望みにこたえつづけることで安心感が育つのです。

9月1日は「言語聴覚の日」です。この日に言語聴覚士法が施行されたことにちなんで日本言語聴覚士協会が決めました。
9月1日の前後の1週間を「言語聴覚週間」として集中的な広報活動を行うことにして、毎年、全国でいろいろな企画が立てられています。

言語聴覚士の知名度はイマイチ、いや、イマニか イマサンくらいで、まだまだ知られていませんし、摂食・嚥下障害を扱えることも知られていないし、ましてや、子どものコミュニケーションや発達についてだってかかわれるんですよ、というと「えっ! 子どもも見るんですかっ!!」と驚かれることもたびたびです。

さて、そんなこんなで今年も、9月の第一週に、各都道府県の言語聴覚士会による催しが企画されています。
皆さまお住まいの「◎◎県(都道府)言語聴覚士会」で検索してみてください。

私は、広島県士会にお招きいただいていて、
「市民公開講座」 を受け持ちます。
広島・山口のお近くの方で、お子さんのことばのことを心配している保護者、また、保育士、療育関係者などがおられたらどうぞ、聞きにいらしてください。
ちょっと安心できるようなお話をするつもりです。

 

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日時  平成25年9月8日(日)  13時30分ー15時

場所  広島市 アステールプラザ

演題  子どものこころとことばの発達に向けて

講師  中川信子

参加費 無料

申し込み等  以下参照
http://www.hiroshimast.justhpbs.jp/10syuunenntsirashikaihen.pdf

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なお、広島県言語聴覚士会の言語聴覚の日の催しの全体テーマは「おいしい心は元気の源」。

上記の市民公開講座のほか、県内の言語聴覚士による嚥下食やトロミ食の紹介や、嚥下に関するミニ講演会、無料相談会があります。

食べる、飲み込むがうまく行かない、最近よくむせる、など心配なことのある方やご家族はどうぞ、ご来場ください。「トロミ剤」も、まだまだ知名度が低いですからね。

釧路の本題である「マザーグースの会 20周年記念の会」、ひと言ではいえないほど、実り多かったです。

旭川や東川から5時間かけてクルマできてくださった人、札幌から来てくれた知人、帯広は隣町(?)ですけど、お久しぶり!の顔も見えました。
オホーツク側から来てくれた人にも会いました。
私が、昨年10月に釧路から、オホーツク側の遠軽までドライブした時は(運転のほとんどは息子がやってくれたのですが)、間で一泊して大旅行のつもりだったけど、北海道の人にとっては、5時間程度はひとっ走り感覚らしくて。

札幌から来てくれた知人もありました。
札幌ー釧路はJRの特急で4時間の距離。
釧路ー札幌間のJRといえば、エゾシカが衝突して止まったり遅れたりは日常のことだそう。
今回仕入れた新しい話題は「エゾシカはまだいいよ。ヒグマがぶつかって止まると大変。ぶつかった熊の遺体?死体?を片付けないと発車できないわけだけど、子熊だと、近くに親がいるかもしれないっしょ? 猟友会の人に来てもらって警戒したり、駆除したりしないと運行再開できなくて。最近、猟友会の人も高齢化が進んで・・」などなど、北海道では常識のことも、東京者には目をぱちくりの連続。

講演後の懇親会にはマザーグースの会関係者だけではなく、保健師さんや、学校関係者も何人も来てくださり、同志!としてうれしかったです。
また、自分が思うよりずっと、「著書」がひとりでちゃんと旅してくれていることにも驚きました。いろんな人に「座右の書です」「仕事についた最初のころに先輩に読むように勧められて以来、ボロボロになるまで読んでます」などといわれるのですからね。

翌11日は、堀口貞子さんと千栄さんと3人で、厚岸方面にドライブ。お花畑に寄って、「
厚岸 味覚ターミナル コンキリエ」で生牡蠣、焼き牡蠣、ホタテ、うになどを炉端で焼いてたらふく食べてご満悦。まさか、8月に生牡蠣を食べられるとは思いませんでした。

空港に帰る前に、「マザーグースの会」発祥の地である子どもの本屋さん「
プー横丁」 に寄って“女あるじ”にお会いしました。朝寄った時はお留守だったんですが、「ひとっぱしり、釧路湿原を歩いて来た」のだそうです。うらやましい生活。

私は瀬戸物屋さんと、よい本屋さんにはなるべく寄らないようにしています。
だって「私を連れて帰って!」っていう声がして、家の財産が増えてしまうから・・・。
そのへんのつまらんチェーン店の本屋さんなら、ほしい本がめったにないので大丈夫なのですけどね。
で、おそれていた通り「プー横丁」では「私を連れてって!」という本がワンサといたのでした。しょうがないので、連れて帰りました。
厳密に言うと、持って帰るには重いほど買い込んだのでーーサイフは軽くなったーー宅急便で送ってもらいました。

いくつかの本の紹介を近々「本の紹介」に載せますね。

あ、そうそう、講演前に、ホテルのすぐ近くの「遊学館」前の広場に野菜などの店を出していた
日置真世さんにも、一目会って来ました。
「友だちの友だちは友だちだ」っていうけど、北海道に行くととくにこういう「人のつながり」の不思議さを強く感じます。

25年8月10日(土)、釧路の「マザーグースの会」の20周年記念講演会が開かれます。


「マザーグースの会」とは何か?
 ホームページの「そもそも」に誕生のいきさつが書いてあります。
センモンカにはできないことが、親同士のつながりの中で、できる、っていうこと。

「マザーグースの会」代表の小児科医の堀口貞子さんとは40歳を過ぎてから親友になりました。何百キロも離れた所に住んでいるのに、基本的に同じこと考えてるんだよね、ということがとても不思議で。

今回の「20周年記念」に呼んでいただけるのは、とても光栄なことで、その上、猛暑の東京を脱出して3日間だけでも、涼しい所に行けるのはラッキー!!

150人近いという来場者の方たちに「来てよかった」と思っていただけるようなことをお話ししたいと思っています。
でも、もう、講演が2日後に迫っているというのに、何を話そうか・・とまだ考えているようなテイタラクです。

恩師である三木安正先生に学んだことを中心にお話ししようとは決めているのですが。
「(障害を)治すことはできないが、(その人を)活かすことはできる」という三木先生の有名なことばがあります。
最近は、障害というと発達障害で世の中は持ちきりです。でも、知的障害や重い障害を持つ人たちのことが、置きざりにされているようで、なんともいえない違和感を感じます。

すべての人に出番がある社会とは、「生活」ベースで考えられてこそ、と思うのです。

全日本特別支援教育研究連盟(全特連)の「三木安正先生生誕100年記念の会」が2011年に編纂・発行した
「知的障害教育の歩み  三木教育論と戦後小史」を読み返しています。
今に生きる三木先生の実践の足取りの確かさ、ぶれない姿勢が描きだされています。私を含めて、こんなにたくさんの人に、敬愛され、尊敬され続ける方に、近くでいろいろ教えていただいたことは、何と幸運だったんだろうと思います。

三木先生 1.JPG

8月2日、石巻に行ってきました。
主催は石巻市(健康推進課)、私たち「一般社団法人 子どもの発達支援を考えるSTの会」が資料準備や講師派遣などに協力した企画です。

前夜 8月1日の夜に仙台着。仙台ー石巻を結ぶ仙石線は、もう復旧したのかと思っていましたが、一部区間がまだ開通しておらず、その区間は代替バス輸送とのこと。代わりに、本数多く出ている仙台ー石巻間の高速直行バスで行きました。

8月1日は、石巻の「川開き祭り」

昼間の駅前はすごい人出だったそうですが、保健師さんによると、「お祭りの時だけです、あんなに人が出るのは」とのことでした。

私はホテル着が夜8時半を過ぎましたが、幸運なことに、窓から、盛大な花火が見えました。

2日は朝10時から、保健師・保育士・幼稚園の先生・療育関係者対象の講演会。
180名という来場者があり(平日の昼間なのに)皆さん、熱心にうなずきながら聴いてくださいました。
午後1時からは、保健師さんたちとの事例検討会や質疑応答。熱心で暖かい雰囲気で、平常の石巻の充実した保健師活動がしのばれました。

仮設住宅という恵まれない住環境の中、心のバランスを崩す親ごさんたち。
赤ちゃんを泣かせないために、おしゃぶりを口につっこむしかない生活。
同じ仮設に住んでいても、もともとの地域が違い、通う学校がバラバラなので、全員スクールバスでの送迎。
遊びの機会も、子ども集団での遊びも成立せず、子どもたちにとって、危惧される状況が山ほどあると知らされました。
家が、家財が流されて行くのを黙ってみていた子どもが、2年以上たってやっと「見たんだ、家が流れるのを」と言えるようになったとも聞きました。

泊まったホテルのすぐ目の下にも、10棟ほどの仮設住宅が見えました。

河北(かほく)町の会場(ビッグバン)からの帰り道、タクシーに少し遠回りしてもらって、多くの児童と教員が亡くなった大川小学校の横を通ってもらいました。
北上川の河口から4キロもあるのに、川を逆流して来た津波が堤防を決壊させ、一気にあたりを飲み込んでしまったのだそうです。

がんじょうなコンクリート製の橋がひとたまりもなく「流される」なんてあり得ない・・・。
それほどの力が水にあるなんて。
一緒に行った、子どもSTの会のお仲間と二人、文字通り「ことばを失い」ました。

大川小から少し離れた場所で、タクシーの運転手さんの「下流で堤防が決壊しなかったら、このあたりもやられていたはずです」とのことばを聞き、複雑な思いにかられました。
堤防が決壊したから被害を受けた地域と、それによって助かった地域と・・・・。

運転手さんのご家族が無事だったのかどうか、おたずねするにも躊躇しましたが、決心してお聞きすると「全員無事でした」といわれ、ちょっと安堵しました。

「一般社団法人 子どもの発達支援を考えるSTの会」の会員の皆さまのご協力のおかげで、陸前高田、気仙沼、石巻と3ヶ所で講演会を実現することができました。講師派遣、資料準備など、現地の負担も少なくてすみ、大変感謝されました。

また、会からの、継続的なST派遣も続けられており、それぞれの自治体で、とても頼りにされるようになっていると聞きました。

「ちゃんとしたST」に一度会えれば、需要は広がるはず、なんて私はいつも思っているのですが、子どもSTの会の周辺には、「ちゃんとしたST」さんが大勢いるんだな〜など、手前味噌なことを考えました。

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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