2012年08月08日

特別ではない「当然支援教育」と、予防的関わり

狛江市は、東京都特別支援教育推進第三次計画のモデル事業を受けて、小学校全校への特別支援教室設置の可能性を探っています。

「学級」ではなく「教室」になってしまう点に大きな問題をはらんでいるとも思われますが、ともかく、小学校6校に対して通級学級設置校が3校ある、つまり2校に一つの通級学級があることを、生かしていかなければと思います。

さて、「特別支援教育」の「特別」が、いつも、とても、気に入りません。
「あの子は【特別】だから、【特別】の場所に行くべきだ」という排除の論理の裏づけになりかねませんし、実際、地域によっては、学校によっては、まさにそのような使われ方をしているところもあるからです。

狛江市は、特別支援教育のスローガンを「全ての学校の、全ての教室で 全ての教員による 全ての子どものための特別支援教育」としています。

「あなたが担任する、その学級で、支援を必要とする子も、そうでない子も、しっかり見て、個に応じる教育をしようではないか!」という呼びかけです。
実際、「手のかかる子」「気がかりな子」を念頭に、わかりやすい授業、安心できることばかけを工夫することで、全ての子どもたちが安定し、授業に向かう態度が確実に改善することは、私自身が、あっちでもこっちでも見聞きしています。

私は日ごろ、保健師さんたちと一緒の仕事が一番多いのですが、地域住民の健康を守るためには、「地域の全数対象の」「予防的関わり」が必須であると感じています。
それは、学校においても、同じ構図だと思っています。

すべての子どもたちに望ましい、ていねいな関わりをしていくことが、何年か先の学級の荒れや、不登校の出現や、いじめの可能性を未然に防ぐ働きもしているのだろう・・・という意味で。

保健師の仕事でも、予防的かかわりをきっちりと、丁寧にやればやるほど、表面的に出て来る「問題」(育児不安からの親子心中とか、虐待とか)が少なくなるので、「この地域は問題がないじゃないか。人員を減らしても大丈夫だろ?」ってな話になってしまうのが、くやしいところです。

でも、出てきた問題に対処する後手後手のその場しのぎではなく、「全ての子ども」に視点を置いた、予防的介入のあり方こそ(就学前ー就学への情報の引継ぎ、ネットワークによる支援も含め)一番課題にすべきことだろうと思います。

日本LD学会会報に、狛江の特別支援教育の工夫について書けと言われ、いろいろ考えました。原稿依頼の陰にはどうやら上野一彦さんがいたようです。
上野先輩は、2月に狛江で開いたシンポジウムにお招きした折、「お世辞ではなく、狛江は、よくがんばってると思いますよ!」って言ってくださいました。
日ごろ辛口批評で有名な上野先輩なので、かなりの高得点だと私たちは気をよくしました。

狛江市が取り組んでくれていることは、方向として決して間違っていないと思っていますが、財源の乏しいわが市で実現していくには、さらに、さらに、知恵と工夫が必要そうです。 

posted by 中川信子 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 徒然のぶこん