ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  「パーソナルサポートサービス」は、これから向かうべき方向の一つだと私は思っています。早い話が「困ったことが起きたら、専門的知識のある友人(パーソナルサポーター PS)のところに相談に行く。すると、彼(彼女)が、問題点を聞き取り、必要な場所を紹介し、必要があったら同行して手続きする。一ヶ所の窓口では終らないことが多いので、いくつもの窓口を全部網羅してくれる。一件落着したら、いったん、関係は薄まるが、再度問題がおきたら、解決するまで付き合ってくれる」というようなこと。
   パーソナルサポートサービス ← 分かりやすいイメージ図はこちら

これに関して、しばらく前、日置さんに質問して返事をもらったので、要点をご紹介しますね。

 ◆パーソナルサポートサービスについては、以下の内閣府のサイトをご覧ください。これまでの議論の流れが議事録になっています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kinkyukoyou/suisinteam

◆要するに、地域生活何でも相談事業です。単なる個別支援だけではなく、ネットワーク型の相談支援体制を地域に構築することが目的です。

◆緊急雇用の制度を活用しているため、「雇用促進」「就労支援」の側面が強調されていますが、実際には生活面にいろいろな生きづらさを抱えている人たちの総合的、継続的、分野横断的な支援から、福祉的な要素(各種障がい、家庭環境など)への対応が多いです。

◆22年の中間まとめが以下のPDFとなっており、全国の一次モデル5地域(釧路、横浜、京都、福岡、沖縄)の特徴や実績が分かります。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kinkyukoyou/suisinteam

◆内閣府の企画事業を厚労省が引き受け、都道府県に配分している緊急雇用の基金を活用して、手を挙げた市町村が予算要求して実施主体は基本は市町村となっています。
    (都道府県直営もあります)

◆自治体によってプロポーザルにしたり、随意契約にしたり地域によってスタイルは異なります。
◆予算規模は多いところ年間1億5千万ぐらいから釧路がおそらく最も小規模で5千数百万です。

 

◆二次の地域が上記に加えて、14加わり、今は全国で19の地域で実施されています。
(岩手県、野田市、長野県、岐阜県、浜松市、野洲市、京丹後市、箕面市、豊中市、吹田市、大阪市、島根県、山口県、徳島県)
二次地域を含めると予算規模はもっと小さいところがあるかもしれません。

以上です。

このところ、時々紹介している日置真世(ひおき・まさよ)さんのブログ「新・サロン日記」には学ぶことがたくさんあります。

昨日も、自分自身のモノゴトに向かう姿勢を深く反省させられるようなできごとがあり、あれこれ考えていた時、またまた、日置さんのブログのことばに行き当たりました。

私よりずっと若いのに、この方の「コトバ」と、その背景にある力には、本当に感心させられます。そうだ、私も、立ち止まらずにススメ! と気を取り直しました。

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新サロン日記 9月23日 「無知の知」
       http://ameblo.jp/n-salon

この間、いろいろな分野で様々な困難の状況にある人たちを支えている方たちに会っていますが、それまではよく知らなかったことがたくさんわかってきます。

けっこう、いろいろなことを見聞きしたり、知る機会、学ぶ機会があって、それなりにいろんな現実を知っていると思っていましたが、所詮、自分が知っていることなんてほんのちっぽけなことなのです。

何でも知っている、これだけ知っているなんて思ってしまったら、人を応援する仕事なんかできないのではないかと私は思うのです。

 

 

ソクラテスの「無知の知」とは実にすごい言葉です。人間は何もかもすべてを知ることなんかできないのです。

それをあたかも知っているかのように思ってしまえば視野が狭くなったり、思いこんでしまったり、対等な人間関係を結べなくなったりします。   

                
以下略

 

 

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あれがない、これがない、誰の責任だ? 行政が悪い、 と言っていないで、ないものは自分たちで作りだす!!     日置さんと彼女の仲間たちは今までずっとそうしてきましたが、今後の活動が、さらに楽しみです。

日置さんたちとのコラボの「まじくるフェスタ」を東京・多摩地方で来年2月に開こうという話があるのでなおのこと、です。     
NPO法人 地域生活支援センターネットワークサロン
地域起業創造センター まじくる
地域パーソナルサポートセンター えにぃ

「えにぃ」は、内閣府モデル事業を受けて運営されていますが、全国に(福祉分野で)この「パーソナルサポートシステム」の取り組みが広がることを、私は待望しております。

高齢者分野では「あっ!」という間に、ケアマネジャーという、一人の人をマネージする制度ができたのに、障害分野では、遅々たる歩み。保護者の負担はちっとも軽くなっていない現実。

 

必要だから作っちゃえ!  には、えらく大きなエネルギーが必要だと思います・・・・・。誰にでもマネできることじゃなく。

 

北海道・釧路の “あの”「マザーグースの会」の創立者であり、現・代表でもある堀口貞子さんがLD学会そのほかの用事で上京。

会場近くの茗荷谷のイタリア料理屋さんで、ランチのデート。釧路勢3名、狛江勢3名。

堀口さんの弾丸トークは 猛暑の東京でも健在でした!!

トークの内容は、「ごく、当たり前のことが通るこの国にしたいね!」という、きわめて真っ当なこと。

まさに「ガッテン!! ガッテン!! ガッテン!!」の連続。

ガッテン!内容については「コロボックル通信」をどうぞご覧下さい。

あ、そうそう、「マザーグース便り」88号にも書いてありました。

釧路は、スゴイ!!
 ↑↑


クリックすると拡大します

「マザーグースの会」の設立趣意書にはこう書いてあります。(1993年)
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「子どもの健全な育成と幸福を願う気持ちはおそらく総ての親に共通なものではないかと思います。もし、その子どもに何らかの障害があったとしたら、その思いはことさらに強いものであるかもしれません。

 我が子の成長に、何か他の子との違いを感じた時、親の抱く不安は測り知れな いものがあります。そんな時、母親が(あるいは両親が)自分だけで不安に打ちひしがれることなく、誰かに相談できたり適切なアドバイスが受けられたら、その心の負担はいくらかでも軽くなるのではないかと私達は考えています。

 子どもにどんな障害があろうとも、いえ障害があろうとなかろうと、親が明るく前向きに暮らしていけたら、そして子育てを楽しむことができたなら、それがきっと子どもにとって一番良い環境となるのではないでしょうか?

 この『マザーグースの会』は、すこやかな子どもの成長を願う親達と、それを 応援する人達で作るサークルです」。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜20年の時を越え、この会は 広がりこそすれ、全くブレることなく持続してきました。

すごいことです。

堀口さん&釧路の仲間のパワーに敬意を表し、元気をもらい、帰宅しました。

堀口&釧路の仲間の一員でもある、北海道教育大釧路校の二宮信一さんグループも偶然同じお店でランチ中。二宮さんともほぼ一年ぶりにお会いしました。

二宮さんといえば、新しい本が出ています。「児童理解からはじめる学習指導」(明治図書)

まだ手元に届いていないので、紹介できていませんが、二宮さんの本なら「マチガイナイ!」と思います。

 忙しい、忙しい、と言いつつ、川崎で上映中の映画『人生 ここにあり!』を見てきました。
7月から公開されているので、ロードショーはそろそろおわりです。
映画公式サイト   http://jinsei-koko.com/


精神障害の人たちが作る「協同組合」が、家の床貼りを仕事として、大小の失敗を重ねながら「地域で」「自分たちの力で」生きることを選び取ってゆく話です。

 何も知らずに、その「協同組合」にかかわることになった、組合運動の闘士ネッロが、「当たり前の感覚」で組合員たちとかかわってゆく姿が描かれます。

 実話をもとにしているということで、臨場感もたっぷり。 協同組合には「社会連帯協同組合」という名前がつけられたそうです。字幕がでていました。

世の中は連携、連携、の大合唱ですが、「連帯」といってみたらどうかしら? などと思ったことでした。

  9月11日(日)、十勝の仲間にお招きをうけて、久しぶりに北海道・帯広に行くことになっています。いただいたお題は
『この子たちをよろしく 〜〜 支援ネットワーク はじめのいっぽ』
  
主催は、十勝ADHD&LD懇話会

「この子たちをよろしく」は、東京都自閉症協会機関誌の特集の題、
「はじめのいっぽ」は 全国難聴言語障害教育研究協議会の毎夏のセミナーの愛称。
パクってすみません。でも、私が考えることと、ぴったりのことばなので。

さて、帯広では、私が狛江で、どんなふうに、ネットワーク作りにかかわってきたのか話すことになっていて、これまでの10年ちょっとを振り返っています。

願い続ければきっとかなう
続ければ必ず仲間が現れる
ものごとは、時と人を得ると思いがけない展開をする
         そんなことを、思いました。

私たちSTは、一対一での対応で、お子さんたちを応援しようとする職種です。ですから、自分たちで見届けられない時には、外に引き受けてくれる人や場を見つけなければなりません。

そのために、確かに、私は(初めての人に会うこと、初めての場所に行くことが、こんなにキライなのに)いろいろな機関に
突撃訪問して、「こういう子、受け入れてもらえますか?」「あなたの所はどんな子を引き受けてくれるんですか?」と聞いたなぁ・・・・・・・・

それがきっかけで、今も、親しい交わりが続いている人たちや機関もいろいろありますし、結果的に、顔の見える連携、ネットワークは進んできた、と思います。

別に私が特別だったわけではなく、自分の後ろにいる「困っている子」「困っている親」を何とか支えてあげたい、と思う人なら、誰でもやることなのだろうと思います。
狛江という町の規模と、人の気風とが、それを可能にしてくれたことも大きいですが。


ナントカ連絡会議、とか、ナントカ連携会議、とか、いくら立ち上げても、形ばかりの「連携」になってしまうことが少なくないと聞きます。
「形」からじゃなく「思い」をつなぎ、育てて行きたいものです。

サンテクジュペリの「星の王子さま」の中で、キツネが王子さまに言うことばがあります。
「心で見なくちゃ ものごとは見えないってことさ。かんじんなことは、目にみえないんだよ」 と 「めんどうみたあいてには、いつまでも責任があるんだ」

めんどうみた(=1回でも面談した)相手のすべてを覚えていることはできませんが、でも、問題の大きかった人、気がかりの大きかった人については、いつまでも、「気にかかっている」のは事実。「気にかけ」つつ、自分以外のところに「めんどう見て」くれる人(や機関)を探すのも、大切な支援のあり方の一つだよね・・・・と、思います。

 大きな被害を残して台風が去ってゆきました。
講演にお招きいただいたり、連絡を取ったことのある近畿、中国地方のいろいろな地名がメディアで報道されます。和歌山県の田辺市、那智勝浦町、みなべ町、奈良県の五條市、岡山県真庭町などなど・・・・

どの町にも熱心な保健師さん、「ことばの教室」の先生方、特別支援教育の関係者、子育て支援に取り組む地域の人々・・・がおられ、知り合いになりました。

全国各地にお招きいただけばいただくほど、知り合いがふえ、その分、このような災害のときに「大丈夫だったかな?」と心配になる人がふえます。台風にかぎらず、震災、原発事故なども。
お一人ずつに連絡を取ることはできませんが、みなさんのご無事と、早い復旧、復興を祈ります。



『失語症の理解とケア』(遠藤尚志) 
       雲母(きらら)書房  2000円+税

言いたいことがあっても、口から出てこない。
「お茶」と言いたいのに、「イス」と言ってしまう。
周りの人たちが話していることが、まるで外国語のようで理解できない。
自分に質問されているということだけは分かるのでとりあえず「ウンウン」とうなずいたら、知らない所に連れ出されてしまって、とても不安だった・・・・・

「失語症」とは、健康な人にある日突然訪れる脳血管障害の後遺症として、深刻な孤独と混乱をもたらす障害です。

この本の著者である遠藤尚志さんは、ST(言語聴覚士)です。
病院という枠の中での「ことばの訓練」にとどまることなく、「障害を負った人の地域生活を支え、生きる張り合いを作り出すのがSTの役目」という思いから、失語症友の会、失語症デイサービス、若い失語症者の就労支援、車イスでの海外ツアーなど、さまざまな新しい道を切り開いてきました。
(STの養成校の時の同期生なのです。)

この本は
●失語症とは何か?
●失語症の言語訓練の実際
●地域での仲間づくり
●失語症デイサービス
●旅は最高のリハビリ      という五つの章に分かれています。

初めて失語症に出会う人が、失語症を理し、失語症の人たちとどうかかわり、ケアすればいいのかを分かりやすく紹介してあります。

なお遠藤さんの監修によるDVD『失語症者の障害にわたる支援〜〜新しい地域リハビリテーションの展開』(62分 15750円  (株)アローウィン)も出ています。
こちらは、価格が高いので、誰にでも買える・・・とはいえませんけれど。

今日は、用事があって、錦糸町に行きました。
入った建物の窓から「あの」スカイツリーが見えました。
思わず、一緒にいた人に「あ! スカイツリーだ! 私、生まれて初めて見た!」と大興奮して言いました。

一緒にいたのは、STになるための養成校の時の同級生。もう40年来の付き合いの友人なので、私のこの大げさな物言いにも、引いたり、動じたりすることなく、「ああ、ほんとだ」と合わせてくれました。感謝、感謝。

私は生まれてから60年以上たっている。対してスカイツリーは生まれてから1年足らず。なので、「生まれて初めて」は、「スカイツリーが生まれてから、初めて」っていう意味の方が、妥当だったな、と反省。

錦糸町にいらっしゃることがあったら、駅のまん前、丸井の8階、「すみだ産業会館」に登ると、スカイツリーがよく見えますよ。

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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