ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  今日は、横浜の朝日カルチャーセンターの「古武術介護」の講習会(岡田慎一郎講師)に行ってきました。わずか2時間の入門編でしたが、それでも、相手を介助しようと気張るのをやめて、自分の体のありよう(姿勢とか、位置とか、動きとか)に対して敏感であろうとすると、結果的にラクにすいっと起こせたりするし、「起こしたゾ!」という満足感よりも、自分自身が「気持よかったなぁ」という気持ちになれる、ということが、感じられました。

  帰宅してから、二階から降りてきた長男をつかまえて、実地練習をしてみました。日本人が長い時間をかけて作り出してきた無理のない動きを、再度見直せるといいな、と思いました。 

  「古武術あそび」が、学校の体育に取り入れられるといいな・・・・。

そしてもうひとつ。これも、OT(作業療法士)をしている次男が「おもしろかったよー」と教えてくれたものです。 「ダイアログインザダーク       
新聞で見たことはあって、興味はあったのですが、それっきりになっていました。

 これは、真っ暗闇の会場の中で「アテンド」と呼ばれる視覚障害のある方の助けを借りて、いろいろな体験をするというものです。体験とはいえ、「展覧会」なのですって。
暗闇の中では、見える人たちのほうが動きが不自由で、視覚障害の方たちが、私たちをアシストしてくれる・・・・という風に、立場が見事に逆転するのも、とても新鮮な体験だし、上記のサイトのフレーズにもあるとおり、「見えないから 見えるものがある」という体験ができるそうです。
体験した人たちの感想を見るだに、とても、興味深いものであることが推測されます。

 一回数名という限定人数ですが、すでに世界では600万人、日本では6万人の人が経験しているそうです。チケットは5000円、と、けっして安価ではありませんが、自分ひとりで「これが世界だ」と思いこんでいる「世界」を、覆したり、広げたりできるのなら、決して高くはないのかもしれません。
  私もぜひ行ってみようと思います。

日本に、この「ダイアログインザダーク」を日本で始めた金井真介さんのインタビューのページがあります。この「展覧会」が何を目ざしているのか、よくあらわれていると思います。
http://www.soundbum.org/sekai/14kanai.html

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クリスマスですね。
雪景色をプレゼントします。


と言っても、これは、先週(12月19日)の北海道大学のキャンパス風景です。 

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12月18日(土)に、田中康雄先生が研究代表者となって行っておられる厚生労働科学研究の「養育に困難をかかえる保護者を支援することのできる健診評価尺度(保護者自己記入式調査票)の開発に関する研究」の研究報告会が開かれ、私が講演とコメンテーターをお引き受けしたためでした。

前夜(17日)の最終便で千歳空港に着き(22時05分)、23時過ぎにJR札幌駅に着いた時には、雪もほとんどなかったのですが、翌朝目が覚めたら、一面の銀世界になっていました。
                 一足早く、ホワイトクリスマス気分を味わえて、ラッキーでした。

支援の入り口であるべき乳幼児健診が、あたかも発達障害の早期発見の場であるべきであるかのような論調が強まる一方です。
でも、「発見だけして、そのあとの、“育て方”についてのアドバイスなしに放置されるとしたら、それは、「早期発見・早期絶望」に他なりません。この「早期発見・早期絶望」というフレーズは、ご自身も障害のあるお子さんの親でもある、小児科のM先生がおっしゃっていたことばです。 
先生はその後に続けて「そうではなく、早期発見・適時介入・長期支援が必要なのです」とおっしゃいました。

どの時期が親ごさんにとっての「適時」なのかを見定めるためには、支援者側にも、ある種の覚悟が求められます。見つけたことを、あえて伝えないで、こちらの側でかかえておくことは、とても重たい作業ですから・・・。
でも、私は、なるべく早い「適時」を作り出していくことも、支援者側、健診する側にいる人たちが負うべき役割だと思っています。

北海道への行きかえりの飛行機の中で読んだ『乳幼児健診と心理相談』(田丸尚美 大月書店)は、あらためて、そのことを確信させてくれるすばらしい本でした。

「親子で身体いきいき  古武術あそび」
   岡田慎一郎    NHK出版
   2007年      1260円

NHKの介護関係の番組で「古武術介護」という、なんとも不思議ななテーマの話を、かなりの時間を割いて放送しているのをご覧になった方もあるかと思います。太った患者さんを、小柄な介護者が軽々と介助しているのを見ると、びっくりします。

古武術を進化(?)深化(?)させた方として甲野善紀(こうの・よしのり)さんが高名ですが、その甲野さんに触発されて「弟子」になった、岡田慎一郎さんは理学療法士・介護福祉士です。 「古武術介護」は、岡田さんが発展させつつある領域です。

「古武術介護」を、ご本人のサイトから引用すると次のようなことになります。

岡田慎一郎 公式サイト  http://shinichiro-okada.com/ 

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  (http://shinichiro-okada.com/lecture/aboutus.html  より)

(古武術介護とは)日本に古くから伝わってきた武術の身体の使い方や考え方を取り入れた、身体運用の改善と介護技術への応用の取り組みです。

現代人の身体の動かし方は、一般的に筋力を中心としたものですが、これは明治以降、欧米の文化が入ってくるなかで定着したものだという説があります。 「古武術」の動きは、欧米の影響を受ける以前の身体の使い方であり、そこには、筋力に頼らない、質的な転換によって効率よい動きをめざすという特徴があります。

「古武術介護」は、そうした「古武術」の身体技術や発想を、介護はもちろん、日常生活や子育て、スポーツなど、さまざまな現場で生かすべくアレンジしたものです。個別の技術よりも、すべての身体動作の基盤となる「身体の使い方」を改善していくことをめざした取り組みです。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今まで、あそびの本が出ていたのを知らなかったのは、不覚でした (@_@;)

あちこちでセミナーが開かれているようです。

私たちST(言語聴覚士)は、ともすると、口先、及び、脳ミソでの交流とか関係性に偏りがちな職種ですが、身体を通して「関係性」を捉えなおし、また、身体と精神との協調、全体性の回復」という、現代に共通するテーマとしても、とても大事なカギが含まれていると思います。

「キツネさんの手」とか、「ぞうきんがけ」とか、ええーーっ?とあっけに取られるようなことが、「身体」にはあります。

  「自閉症の僕が飛びはねる理由」「続・自閉症の僕が跳びはねる理由」(ともにエスコアール出版)などを通じて、自閉症の人たちの気持や身体について発信し続けている東田直樹くんが、11月からブログを始めています。

東田直樹オフィシャルブログ
この「そらとも広場」の左側バーでもリンクさせてもらっています。

ブログを始めたと聞いたときは、「直樹くん、大丈夫?  負担にならないの?」と心配して、ご家族にもおたずねしたほどでしたが、その後、ほぼ毎日更新されています。楽しみながら書き込んでいる直樹くんの姿が目に浮かぶようです。

私は、ヒトサマが書いておられることを毎日チェックする余裕はとてもないのですが、直樹くんのブログだけは、欠かさずチェックしています。

外見は「重い知的障害を伴う自閉症の人」としか見えない直樹くんの、繊細な心と、思い通りにならない身体、そして、周囲の人たちとの関わりなど、毎日、読むたびに、「う〜〜ん」とうなるようなことの連続ですし、日ごろ考えているのとは、全く違う視点が与えられる感動があるからです。

毎回、書かれている内容は、新しい発見ばかりなのですが、12月10日の「光の帯」には、とりわけ、深い思いが見える気がしました。

直樹くん、これからも、「この地球に住んでいる君の仲間たち(自閉症の人たち)」に代わって、いろいろなことを発信してくださいね。

  お知らせをいただいたので、NHK福祉ネットワーク「ハートをつなごう」の「シリーズ障害者制度改革」再放送についてお伝えします。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「障害者週間」を迎える12月。「障がい者制度改革推進会議」の中間総括が示される。番組では3回シリーズで、推進会議で話し合われてきた内容を紹介。そこから見える課題を徹底検証していく。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
テーマ  (再)放送日時

(1)インクルーシブとは?  12月13日(月) 12時ー12時30分

1日目は、障害があっても地域で暮らす権利を保障する「インクル」ーシブな社会」について、日本の福祉制度の現実と課題を見つめる。

(2)差別をどうなくす? 12月14日(火)12時ー12時30分
2回目でとりあげるのは「差別をどうなくすか」。障害者が社会の一員として平等に教育を受けたり就労していくために必要とされる「合理的配慮」。その日本の現状と、始まった取り組みを伝える。
(3)生き方を自分で決める 12月15日(水)12時ー12時30分
3回目は、障害者権利条約の中でも通底している、徹底した「本人中心の支援」とはどのようなものかを考える。先進的に取り組みを始めている石川県の社会福祉法人の例を参考に、障害者が人生の主人公になれる「本人主体の支援」変わりつつある支援のあり方を考えていく。

 詳しくは番組ホームページhttp://www.nhk.or.jp/heart-net/fnet/

今日までが障害者週間でしたね。
各地でいろんなイベントや取り組みがあったことと思います。

狛江では、今日、昼休みに、市役所でロビーコンサートが開かれました。
出演者は、身体障害のある方たちの通所グループと、餃子作りで有名な「ひかり作業所」の方たちです。
コーラスとハンドベルによる演奏でした。

演奏が終わったあと、担当課である、福祉サービス支援室のO係長が「アンコールを」と発言されました。(事前打ち合わせはなかったみたいです。)
それを受けて、聴衆が声をそろえて「アンコール!!アンコール!!」と言うと、その瞬間、演奏者の人たちの顔が、ぱーっと輝きました。

そして、「準備してないので、ちゃんと演奏できるかどうか、自信がありませんが・・・・」とのお断りつきで、「きよしこの夜」を演奏して下さいました。演奏が終わったあと、深々と頭を下げるメンバーの姿はとても誇らしげでした。
何だか、とても、あったかい気持になって、次なる会議の会場に移動しました。


狛江市は、赤塚光子先生を自立支援協議会の会長にお招きしたおかげで、いろんなことが、少しずつ前進しているように見えます。お忙しい先生を、さらに、走りまわらせているみたいで、ちょっと気が引けますが、でも、心強いですよ〜〜〜。

狛江市は、障害者週間の12月8日に、市役所職員の研修・啓発として、「アイムヒア」の上映会とレクチャーの会を開催してくれました。
6月に私たち「サポート狛江」が、東京都自閉症協会と共催で、「アイムヒア」上映会をしたことがきっかけです。

12月7日には、市内の通級学級に通う保護者の主催で、同じく「アイムヒア」上映会が緑野小学校で行われ、ずいぶん多くの人の参加があったようでした。

何事も一歩ずつ、一歩ずつ。
分かっていても、仲間の方たちと話していると、どんどん走れそうな、いや、飛べそうな気がしてきて、大ぶろしき、というか、空飛ぶじゅうたん的に、夢が大きくなるのでした・・・。

  獨協医大の小児科医だった海野健先生がたった一人で続けてこられた「自閉症の家庭療育」(HACプログラム=Home  Program for  Autistic  Children)が10周年を迎えたとのこと。
  子どもさんが育てにくい、自閉症かもしれない(または、その傾向があるかも・・・)というときに、親ごさんが一番困るのは、「これからどういうふうに育てていったらいいのか分からない」ということだと思います。

  HACプログラムは、特定の理論や、特別な〇〇法に頼るのではなく、ごくごくありふれた日常のこと(おっかけっこ、いないいないバア、洗濯物を受け取る、野菜をカゴに入れる・・・・など)を課題として取り上げ、将来、社会に交わって、あるいは家庭の中で、人のために働ける子に育てることを遠い目標として、一つずつ積み上げていくことを提案しています。

 たまたま10年くらい前の日本赤ちゃん学会の会場で、海野先生が配っていたパンフレットを見て「本を送ってください」とお願いしたことがきっかけで、ずっと交流が続いています。

 最近出た木村順さんの「発達障害の子の感覚遊び、運動遊び」もそうですが、専門家依存にならず、今、ここで、お家でできること、についての発信がもっともっと増えるといいな、と思っています。

 10周年を祝して、「ひろがれ わわわ!」に隠れていた「HACの会」のリンクを、トップページに移動させました。

 12月5日(日)、広島県臨床心理士会のお招きで広島市で講演(午前:一般向け  午後:臨床心理士)することになっていて、前日(4日)に広島入りしました。
広島は、私が中学高校時代を過ごした私立女子校「ノートルダム清心中・高等学校」のある、懐かしい土地です。
同級生とその周辺の人たちの骨折りで、前夜、同期生が20人も集まってくれました!!
3時から「お茶」。お家の用事のある人は5時すぎにお開き。
残ってくれる人と、仕事を終えて駆けつけてくれる人を交えて5時半か6時から「食事会」で、なんと9時半まで広島弁のアクセントに浸って、しゃべりにしゃべりました。
高校卒業以来、44年(!)も、会ってなかった人もいて、ほんとにうれしい時間を過ごしました。

私たちの時代は、髪の毛の長さ、スカートの長さ、校内での行動などに、きわめて厳格なきまりがありました。今日も、その話がいろいろ出ました。当時は反発したけれど、今はなつかしい昔話です。今は、校則も、ずいぶんゆるやかになったそうです。

「心を清くし 愛の人であれ」が、母校の校訓(って言うのかな?)です。
「生命には必ず終わりがある」「目の前のこと、物質的なことだけにとらわれず、何のために、誰のために生きるのか考えなさい」ということを徹底的に教えられました。

アメリカの修道女会が母体だったせいか「自分の意見をしっかり持つ」「考えることは、はっきり発言する」「意見の違う人とも話し合い、決まったことはみんなで実行する」というふうにも育ててもらいました。
「皆さんと同じでいいです・・・・」みたいな人は、いないんですよねぇ。
おとなしくて発言しない人も、話してみると、ちゃんと自分の意見を持っていて・・・。

同級生は、当たり前ですが、みんな同じトシになっています。
この数十年の間、家族にも、自分にも、いろんなことがありつつも、それぞれに、誠実に年齢を重ねて来たようすが、何だか誇らしかったです。

中高時代の私は、自分ではよく覚えていないのですが、勉強が大好きでした。(かなりヘンなヤツ!  でも、今も、勉強好きかも・・・)
しかも、汽車通学で、いつも終礼が終わるとバタバタ駆け出していたので、(4時26分を乗り逃がすと次は5時18分、なんていう列車ダイヤだったので。当時は「己斐(こい)」だった駅名は「西広島」に変わりました)、広島市内に住む人たちと、ゆっくり話すことはあまりなかったような気がします。

このブログを書くために、清心学園全体のホームページを初めて開いてみたら、理事長の渡辺和子シスターのお話が「理事長あいさつ」に掲載されていました。
そうそう、私たちいつも、こういうお話を聞いて育ちました。
「大切にしてもらった」という記憶は後になって、じわじわと効いてくる。それが、教育というものだなぁ、と思いました。

40年の時を越えて、一瞬に、「あのころ」に戻り、今夜一晩は、私は「田中信子」で過ごし、少し、アタマがぼーっとしています。


NHK教育テレビ「すくすく子育て」 の過去の放送内容を再構成して、「育児ビギナーズブック』のシリーズの本が作られています。

①しつけ(岩立京子)
②病気 (病気)
③赤ちゃんケア(川野元子)
④健診・予防接種(宮田章子)  につづく ⑤ です。

 

 

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目次は
◆ことばにかんするこんな勘違い
◆ことばはこうして生まれてきます
◆赤ちゃんに語りかけるときのコツ
◆成長別・ことばを育むコミュニケーション
◆ことばが遅いと感じたら
◆知りたい! ことばに関するこんなこと
   おわりに  子どもの「生きる力」を育んで

ごく基本的なことを、コンパクトに構成してくださってあります。
ちっちゃな本なので、読みやすいかもしれません。
基本的には文字の本です。 780円+税金

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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