ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

講演に出かける途中の小田急線(下り小田原方面行き)の中は、足ごしらえをしたオバサングループがいっぱいいました。まあ、よくもまあしゃべるタネがあるわねぇ、と思うくらい、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃとしゃべっていました。(人のことは言えませんが・・・・)
いばる夫がいないと、女性はこんなに勢いがよく、元気なんですよね。
あ、夫がいても、元気なのかもしれません。

新横浜から乗った新幹線は、もちろん進行方向右の窓側指定を取ってあります。二人がけシートの通路側には、ビジネスマンらしい男性がいます。
三島を過ぎたあたりでしょうか、真っ白な富士山が姿を見せました。
「まぁ〜 きれいな富士山!!」と感嘆し、となりが男性だったことをうっかり忘れて「富士山、きれいですねぇ!」と話しかけてしまいました。
無視されるかと思ったのですが、その男性、ちゃんと答えてくれました。
「富士宮を過ぎたあたりで正面に、もっと大きく見えますよ」とね。
「あー、そうですかー」としばし見とれました。

隣が女性だったら、これをきっかけに、「新幹線、よく乗られるんですか?」だの「仕事ですか?」だの、世間話から始まって、どんどん親しくなり、お菓子の交換とかするところですが、相手が男性だったので、そういう話をしかけたいのをガマンガマン。

富士宮あたりで、たしかに富士山が正面に大きく見えたものの、下のほうの雲が濃くて稜線全体は見えません。
ここで、女性だったら、「ほらね、見えてきましたよ。でも、ちょっと雲がかかってて残念ですねぇ」とか向こうから言ってくれるはずなんだが・・・・と、待ってみましたが、特に働きかけもないので、そのまま、私も黙っていました。

すべての人が当てはまるってわけではないでしょうが(女性でも会話が弾まない人もいるし、男性でも世間話にノリノリの人もいるから)、何か、男と女って面白いなぁって思いました。

今夜はライトアップされた和歌山城の見えるホテルに泊まっています。
どの地方にも、こころざしや、熱い思いを持った支援者たちが、たくさんいて、本当にすてきだなぁ、と思いつつ・・・・・
仕事とはいえ、そういう、すばらしい人たちにお会いできて、幸せです。

  今日(平成22年11月20日)は、私のウン回目の誕生日でした。 北海道乳幼児療育研究会の講演依頼を受けたとき、「あ、その日は誕生日!」と思い、かつ「平成22年11月」のところは、ともに11で割れる数字だからうれしい!とか思ったのでした。

  それほどおおっぴらに言いふらしてはいなかったつもりですが、会場の北海道大学に、星槎大学・帯広サテライトの教員の千葉さんがわざわざ来てくれて、とっても素敵な花束をプレゼントしてくださいました。

私の大好きなピンク主体の花束。
千葉さんは、狛江育ちの方で、今年の6月に
釧路で出会いました。ややこしい話ですが、
狛江ー北海道ー星槎をめぐっては、この後も
展開があるかも、です。
人との出会いは、不思議です。点と点が線になり、つながって行く・・・。

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  花束をもらったから言うわけではありませんが、私が教育委員としてちょっぴり貢献している(かな?の)狛江の教育が、千葉さんみたいな魅力的な若者を育てたのかと思うと、誇らしい気持ちになります。

そして、療育研第一日目終了後の懇親会ではハッピーバースデーのプレゼント、二次会の居酒屋では、わざわざ事務局が用意してくださったバースデーケーキ、などなど、家にいる時よりもずっとずっとたくさんの人に祝ってもらいました。堀口さん、ありがとう。 

  今週末(22年11月20日)に、札幌で開かれる、伝統ある「北海道乳幼児療育研究会」の第24回大会特別講演講師をお引き受けしています。 いわゆる養育困難ないし、虐待家庭をも視野に入れて、「家庭養(療)育を支える」というテーマでお話しすることになっています。場数を踏んでいる私ですが、さすがに、北海道の乳幼児療育研、と聞くとプレッシャーがかかります。期待を裏切ってはならない!と思って・・・・。

  で、そんなこんな、考えていたときに、東田直樹くんのオフィシャルブログにリンクされている「草の根っこブログ」に遊びに行ってみたら、こんなことばを見つけました。
 「草の根っこ」さんは、鍼灸の治療院を開いている方だそうです。

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(すぐれた治療者であるドイツ在住のアメリカ人ハンター・ボーモント氏とのグループワークを経験し)ハンター氏がどのように場を創り、どのような在り方で、クライアントの問題に丁寧に深く働きかけていくのか、わからないなりにもじっくり味わうことができました。

その仕事と在り方の素晴らしさは、ひとつの目指すべき理想のセラピスト像として、今も自分の細胞に刻まれています。

2008年の講演の中で、深刻な自殺願望のあるクライアントを例に、ヘビーなケースを前にした時に、どのように「在る」ことができうるのか、話されていたことがずっと印象に残っています。

「そのようなクライアントを前にした時・・・アドバイスの類はおそらく役にたたないかと思います・・・」

「まず、クライアントが安全だと感じられる"スペース"をつくることが大切です・・・」

「これは、例えれば森で野鳥にえさを与えようとするような感じです。
つかまえてやろうとか、緊張とかはおそらくどんなに平静を装っても、伝わってしまうでしょう・・・。たとえば顔の表情筋のわずかな緊張などで・・・

こちら側に、期待やジャッジなどの意図やなんの恐れもないニュートラルな状態があってこそ、はじめて鳥の方は近寄ってみてもいいかな・・・というスペースがうまれてくるのです。」

なかなか簡単には到達できないニュートラルさですが、あきらめずに少しずつ少しずつ目指して
いきたいものです。

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「支援」ということも、かなり、似た部分を持っていると思います。

「あなたのためを思って」が先走りしすぎると、親ごさんにとって、決して幸せな状況にはならない。  でも、やっぱり、言うべきことは、ちゃんと、言わなくてはならない。それは、職業上の責務でもある。

30年もやって来た1歳半健診、3歳児健診後の相談事業が、私にとって、いまだ魅力あるものなのは、こういった二律背反の中で、どう、自分の職業上の誠実さを実現するか、という課題が毎回与えられるからなのだろうな、と思いました。

 それにしても、「スペース」「安心できる居場所」というイメージは、生きていくことを支える見えない力になっているなぁ、と思います。
私自身もそういう過程を通ってきましたし、場面緘黙のお子さんの変化を見ると、心から実感できます。

私もそういう「居場所」を作り出す側になりたいといつも思います。はるかな夢、です。
私という存在自体がそういう「安心できる居場所」になること。これは、もっともっと遠い夢です。
石化してお地蔵さんになったら実現できるかな?


  狛江市民まつりの企画「ミニSLと笑顔の森」は大盛況でした。
  具合の悪くなった赤ちゃんがあり、救急車の出動を要請し、成育医療センターまで同乗しました。幸い大事には至らずにすんで、ほっとしました。
  一緒に来ていた就学前年齢のお姉ちゃんと遊びながら待ちました。センターの駐車場でどんぐりを拾ったり、枯れた木の枝で、木の幹や、植え込みの柵を叩いて、いろんな音をさせて遊んだり、何だか「こんなに童心にかえって、ゆっくり遊ぶの、久しぶりだな〜」と思いました。
 いつもは、遊びながら、相手を観察するために、目を光らせているんですから。
 

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  成育医療センターにいた1時間か2時間の間に、救急車が少なくとも6台来ました。埼玉、八王子、練馬ナンバーの救急車もありました。

  構内の紅葉もきれいでした。
赤ちゃんのようすが安定したので、ママたちを残して、一足早く病院を出るとき、一枚写真を撮ってみました。

 なお、市民まつり、ミニSLは、こんなに本格的なものでした。
このSLの手前に、小さなお子さんづれの親子さんがわんさと集い、マットの上で、時間待ちをしたり、手作りおもちゃを作ったりして遊びました。
間をぬって、「相談オバサン」が動き回り、若い親ごさんたちにエールを送りました。

22年11月14日 笑顔の森  SL.JPG

  毎年、ちょうどこの時期、相模原市(神奈川県)にある北里大学に行きます。
北里大学医療衛生学部 言語聴覚療法専攻、つまりSTの養成コースの学生さんたちに「言語発達障害学実習」として、90分2コマの講義をするためです。
  3年生は、まだ、臨床実習を経験しておらず、やっと、見学実習に出始めたころ・・・とあって、私がいつもお話しするテーマ「家族支援と地域との連携」については、「へぇ〜」と、不思議な感じ・・・を持って受け止められているみたいです。
毎年事後に送っていただく感想文でも、STの仕事の領域として考えたこともない話だった! というものがあったりします。

 でも、全国に出向く講演の折、たまに、北里大学の卒業生のSTさんが聞きに来てくれていて、「3年生のときに、中川先生のお話、うかがいました!」「あの時はぴんと来ませんでしたが、現場に出てみて、ナットク!していることがあります」と言っていただけると、とてもうれしいです。
今すぐに役に立たなくても、いつか、思い出してもらえれば、という思いで、資料をつくり、お話をします。

養成コースのシラバス(授業の年間計画)を見せていただくと、そのぎっしりさにびっくりします。
言語発達に関係する検査だけでも、S−S式、PVT、ITPA、LCスケール、表出語彙検査、新版K式、田中ビネー、WISC、K−ABC、DN−CAS、CARS、PEP−Ⅲ などなど。
そのほかにも、視知覚認知機能、聴覚認知、インリアル、サイン・・・などなど、目白押しです。
でも、確かに、これらは、発達を考えて行く上で、常識として知っておいてほしいことばかり。
これでもまだ、足りないものがたくさんあるように思います。

たくさんのことを知った、有能なSTがたくさん輩出されることを願いつつ、でも、大学といいながら、朝9時から夕方まで毎日ぎっしり必修の講義で埋まってしまっている養成コースの実状を見ると、「う〜ん・・・考える暇もないのよね」と思ってしまいます。

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でも、ともかく、STなんていうマイナーな職業を目指す、若き後輩たちに、「がんばれ〜」とエールを送りたいと思いました。
その学生たちを養成する先生方にも!!

北里のキャンパスの一帯は、まだまだ木の多いところが残されています。
医療衛生学部にいく途中、空がきれいで、白い雲がぽっかり浮かんでいました。人の心のありようとは関係なく、自然は、いつも淡々と、そこにありますね。       
           

  狛江ローカルの話題です。

11月14日(日)に開かれる「狛江市民まつり」で、私たちの「サポート狛江」が出番をもらいました。 狛江青年会議所の企画「ミニSLと笑顔の森」で、「相談おばさん」として、参加することになったのです。

その詳細は、「サポート狛江」ホームページをどうぞ。http://www.sapokoma.jp/article/13833847.html


例年の市民まつりは「人が多いからイヤだ」「うるさいから」とか言って、ほとんど行かないのですが、今年は10時から14時半の時間、基本的には会場にいる予定です。現金な話です・・・・。
あわよくば、ミニSLにも乗ってみたいな!! 本格的なものらしいです。

おっぱいと離乳食.jpg

 新しい本のご紹介です。

 「ママが知らなかったおっぱいと離乳食の新常識  
      かしこい育児はおくちからはじまる」
        監修   中川信子 
       小学館   
       税込み定価998円
       ISBNコード 9784093114059

小学館のサイトでのご紹介が、事情を一番よく説明していると思います。
 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784093114059


監修を依頼されたときはうろたえたのですが(私は赤ちゃんの専門家ではないし、ましてや、離乳や摂食のことはよく分かりません・・・・)でも、いろいろな事情からお引き受けすることになりました。

小児歯科の先生方やSTの方々、管理栄養士、などなど、「子どものために!」を中心にすえて仕事をしておられる多くの方たちへの綿密な取材から、今までにない育児書となりました。

赤ちゃんや、お子さんを見ていると、「人間って、発達ってスゴイ!」と感心することばかりですが、この本も、知らなかった不思議にたくさん出会える本です。

小学館の育児関係の本の最近のポリシーに従って、「障害のある子もない子も一緒に」の観点から
「小さく生まれた赤ちゃん」「口蓋裂の赤ちゃん」など、障害にかかわる記述も充実しています。

健診にかかわっていると必ず聞かれるおしゃぶりについても「ナットク!」の説明があり、安心できます。

  今日(11月8日)は、中央区の保健師さんの依頼で、「ことばが伸びるじょうずな子育て」という題の講演に行きました。場所は築地です。
  講演終了後、仲介役だったSTのSさんが聖路加国際病院の中を案内してくれたので、聞きにきてくれたSTさんたちと一緒に見学しました。
 重厚なチャペルはステンドグラスも石造りの柱もすばらしく、しばし、タイムスリップしたような気分でした。
  新館のチャペルも見に行くと、たまたまミニコンサートが開かれていました。すばらしく美しいテナーと、うっとりするような和音のバランスで見事に歌うピアノの伴奏(伴奏ではなく演奏と言いたいほどでしたが)に酔いしれました。音楽はいいなぁ。ピアノの上を片付けて、また、弾いたり歌ったりしたいものです・・・。
  ホールの最前列に日野原重明先生が座っておられて、コンサート終了後、ユーモアあふれる挨拶をされました。テレビで拝見するのと同じ、お元気、お元気の99歳でした。

  そのあと、有名な「築地 寿司岩」の本店でランチをいただきました。
お店は有名ですが、お値段はリーズナブルでしたよ (^_^)
ST4人で、いろいろ語り合いました。  
成人部門のSTたちで、地域生活支援のために、奮闘している人たちの働きぶりに感心し、子どもの部門も、何とかしなくちゃならないなぁ、と思いました。

しばし、観光気分の一日でした。

「 続・自閉症の僕が跳びはねる理由

東田直樹  エスコアール出版部 
     ISBN   978-4-900851-59-7
        発行日   2010.10.10 
     税込み価格  1680円

筆談援助という方法から入り、いまや、一人で
パソコンで発信する方法を獲得した東田直樹くんの本です。
外見上は「重い知的障害を伴う自閉症の人」としか
見えない東田くんの内的世界の豊かさにはいつも
驚かされます。
徐々に理解者、応援団が広がっているようで、
私もとても喜んでいます。

今回の本も、前の「自閉症の僕が跳びはねる理由」と同じく、
一問一答の形で成り立っています。

■コミュニケーション  ■感覚  ■時間  ■行動   
■興味・関心  ■感情・思考  ■援助 ■今、そしてこれから  に分かれています。

 この本の「おわりに」から一部引用します。

nnnnnnnnnnnnnnnnnnおわりに  からnnnnnnnnnnnnnnnnn

  自分の思いを書くことは、心を見つめなおすことです。それは、ときに残酷で、ときに幸福な時間を僕に与えてくれます。
  自閉症とは何でしょう。その答えを一番知りたいのは、僕たち自身です。僕は、自閉症という障がいが、どこから来てどこへ向かおうとしているのかに、とても興味があります。

   〜〜〜中略〜〜〜〜

  ひとりひとりが大切な人であるように、僕が自閉症として生まれてきたことには、きっと大きな意味があるに違いありません。それが、何なのか見つけることが、これからの僕の人生の目標だと思っています。

nnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnnn

自閉症の人たちの世界、(東田くんのことばを借りれば「国が違えば、文化や習慣が違う」ように、多数派の人たち(みんな)とは「様々なことが少しずつ違うだけ」の世界)を、周りの私たちがもっともっと知ることを通して、「自閉症者にとって、今よりずっと生きやすい世の中になる」ことを、私も心から願います。

入院している人をお見舞いに、近くの病院に行きました。 面会受付で、面会カードに記入して、首から下げる式の面会証をもらいます。

今まで考えたことがなかったのですが、番号がいろいろあるんですね。 その日は、カウンターに「555」と「726」の二枚が並べておいてありました。とても迷いました。受付のおじさんは「どれでもいいですよ」って親切に言ってくれたのですが。

555=111×5=(37×3)×5 726=121×6=(11×11)×(2×3)

う〜ん、111 か  11の2乗か。悩むところです。

結局、555の方を取り、「いい数字だから」と受付のおじさんに言いました。
おじさんは「そうだね。こないだは、777がありましたよ、ラッキーセブン」と教えてくれました。
そうか・・・・・777もあるのだ。

今度、お見舞いに来ることがあったら、ぜひ、777をゲットしよう、と誓ったことでした。 お見舞いに行くことは、そう度々あることではありませんけれど。

でも、入院のお見舞い、という、必ずしもうれしいこととは言えない事態のときも、「よい数字に出会う」という楽しみもあるんだな、と分かったことは収穫でした。

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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