ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  忙しくて情報提供をさぼっていましたが、今後の一般参加可能な講演予定をお知らせします。

山形発達障がい支援フォーラム

「気がかりな子」「育てにくい子」 子どもたちとの向き合い方

     22年9月5日(日)  9時半〜16時半
     山形県発達障がい者支援センター主催
     場所   山形ビックウィング
     参加費  無料

   中川信子+木村順さん(OT)との掛け合いです。

★お問合せ先 山形県発達障がい者支援センター
(山形県立総合療育訓練センター相談課)

〒999-3145 山形県上山市河崎3-7-1
          TEL;023-673-3314 
          FAX;023-673-3360

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北海道大樹町  南十勝地域療育講演会

ことばを育てるために大人ができること
1 趣  旨

子どもたちの心とことばが健やかに育つための支援はどうあるべきかについて理解を深め、その知識の普及、啓発をするために講演会を開催します。

2 主  催  南十勝地域療育推進協議会
3 日  時  平成22年9月11日(土)15:00 〜 17:00            
                 (受付は14:30から)
4 会  場  大樹町生涯学習センターオークホール(大樹町双葉町6番地 ℡01558-6-5555)
6 参加対象  保護者、保育士、幼稚園教諭、小・中・高学校教諭、保健師、療育関係職員、行政担当者、及び関心のある方
7 無 料
8 問い合わせ 南十勝こども発達支援センター
    〒089-2140大樹町栄通49番地 (℡・fax)01558-6-2272

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         公開講演会
 『支援を必要とする子のことばを育てる」 
   
22年10月1日 13時ー14時50分
   青森県立弘前聾学校

問い合わせ先
   〒 036-8144      青森県弘前市大字原ヶ平3丁目3−1

    電話  事務室  0172-87-2171    
    F A X  事務室  0172-87-3572
    メール hirosaki-sd@asn.ed.jp

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子どもの城小児保健セミナー

「多様化する親子へのかかわり方 〜話の聴き方・伝え方〜」
    
22年10月30日(土)10時15分〜

http://www.kodomono-shiro.jp/info/information/051.html

  「さっきの秘密をいおうかね。なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」と星の王子さまに言ったのはキツネでした。(『星の王子さま』サンテクジュペリ)

「かんじんなことは目に見えないんだよ」というフレーズが急に頭に浮かんだのは、福岡県大牟田市にある「あけぼの学園」主催の合宿研修からの帰り道です。

大牟田は、私が4歳から9歳までを過ごした懐かしい土地。2歳から4歳までは隣の荒尾(熊本県)に住んでいたので、「アタシも、合計7年は九州のことばばしゃべりよったとばい。今でもうまかとよー、ほんなこつ」
東京から遊びに来たいとこが、幼かった私に、『よか!』とか『でけん!』とか言われて、面食らっていた、と母に聞いたことがあります。
延命公園にはまだ観覧車があるそうですし、夜にアシカ(?)の鳴く声が家まで聞こえた市立動物園も、まだ健在だそうです。この財政難の中よくがんばってます。
幼児期のことを懐かしく、楽しく思い出すことができるのを、とても幸せだと思います。
発達障害のあるお子さんの中には、叱られ続けて育ったために、幼児期のつらい思い出ばかりが湧き上がって来る・・・・と語る人も少なくありませんから。

たとえ発達障害があり、育てにくい子であるとしても、特性を理解され、無理せずにだんだんに育つことが許される社会が早く来てほしいという願いを研修の中ではお伝えしたつもりです。

「あけぼの学園」は、日本言語聴覚士協会の深浦順一会長のゆかりの施設でもあります。それらもさることながら、昭和40年に設立されたという社会福祉法人「あけぼの会」の45年にわたるあゆみの確かさに圧倒されました。
この「あけぼの会」は、新聞記者だった中島正敏氏(現・理事長)が、たまたま取材で知り合った保護者の方たちの窮状を見かねて私財を投じて設立したことが発端となった社会福祉法人なのだそうです。
職員の方たちがそのことを誇らしげに、でも淡々と語られるのを聞き、ああ、いい仕事をされているのだな、見えないところに「本当の大切なこと」が、しっかり埋め込まれているのだな、と感じました。

合宿研修会は、昭和47年から毎年続けられているのだそうです。 入所施設、通勤寮をかかえる法人が法人全体で日にちを合わせて一斉におなじ会場で研修の機会を持つための努力の大変さは想像するにあまりあります。

そして、事前に送っていただいた、施設内研修の報告が、「利用者中心の・・」という立場に貫かれているのも、読むだけで分かりました。

帰りにさまざまな施設を案内していただいたのですが、山の斜面を利用して建てられた小さめの建物の数々が、作った人の「思い」を抱き、それぞれに歴史を重ねてきたことが、つくづくと思われました。(施設のすぐ裏山には見事な断面を見せる大岩もありました!!)

昨今は、いろいろな面で、障害のある人たちへの支援が進んできました。
が、一方で、「福祉もサービスだ」ということが強調され、指向する方向が見えないまま「支援」だ「利用者さん」だ「患者さま」だ、とことばばかりが軽く滑っているような気持ちのすることが多い昨今、「こころざしを持って、ぶれずに歩き続けている人たち」の姿を見て、何だかとっても励まされました。
こころざしとは、本来、「心が指す方向」のことなんですものね。

あけぼの会の中心をになっている方たちは、こぞって、団塊の世代。 学生時代、「そもそも人間の平等ということはなぁ!」とか「君の考えは、間違っている!!」とか、「だって、そもそも」とか、互いに指を指しあいながら、福祉について、障害者運動について、理想の社会のあるべき姿について、毎日毎夜語り合ったころのことが、今、ここによみがえったような心持でした。

あけぼの会の施設は「あけぼの苑・あけぼの学園」「有明ホーム」「有明通勤センター」「大牟田授産センター」「大牟田ワークショップ」などがあるそうです。 それぞれに何だか、とても興味深いので、いつか、ゆっくり遊びに来ようと思いました。そのときは、ぜひ、延命公園で観覧車に乗り、動物園でゾウさんに会いたいものです。4−5歳のときの私の幻に会えるかもしれません。

「このぐらいのこと、みんなできるのにっ!!どうしてできないのっ!」とか、「どーうして、そういうことするのっ!!」って言いたくなるような行動の数々・・・。 子どもを育てる過程では多かれ少なかれこういうことがつき物です。

育てにくい子、気になる子がすべて発達障害ということにはなりませんが、周りの人に「どーして、あんたはっ!」と責められたり叱られたりする前に、「そういう理由があったのかぁ、あんたも大変だわねぇ」と言ってもらえるようになれば、発達障害があっても、深刻な二次障害に至らずにすむのではないかと思います。

「対処」を考えるためには、「相手の置かれている状況を“知ること”“理解する”こと」が不可欠。 そのために役に立つのが、ニキ・リンコさんたち当事者による本の数々です。

ご紹介する本は、当事者による本ではありませんが、、当事者と同じかそれ以上に、ご本人たちの困り感を描き出し、「だから、周囲にいる私たちがどうすればいいのか」へと自然に導かれます。

   ◆◆◆
 『青年・成人期のアスペルガー障害・特定不能の広汎性発達障害
          パスポートは特性理解』
    NPO法人ノンラベル  田井みゆき
    かもがわ出版     2000円+税
                2009年8月発行

NPO法人ノンラベルは、京都にある引きこもりと不登校の家族会の活動から生まれたNPO法人だそうです。アスペルガー障害が基礎にある人の利用が予想外に多く、今は、成人期アスペルガー障害の人たちへの支援を主におこなうことになったとのこと。
本全体から「近いところにいる」「寄り添う」「見守る」という姿勢を感じさせられます。

感覚の過敏・鈍感、空気の読めなさ、圧倒的な不快にさらされることから起きるパニック・・・
一人ずつの持つさまざまな困難が、「生活」の中で描き出されています。「本当に、大変だねぇ」と言ってあげるよりほかないエピソードの連続です。
(私にも同様、または連続線上の状態がたくさんあるので、なおのこと、身につまされます)

「本人さん」「HF−PDDさん※」と、さん付けで記載してあることも、抵抗感なく読める理由の一つ。
    (※High-Function  Pervasive  Developmental Disorder   高機能広汎性発達障害)

この本の中のエピソードの一つ、ある成人期のアスペルガー障害の方が統合失調症と誤診されたいきさつは次のようなものでした。
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≪ドクターの「何か声が聞こえますか?」の問いにHF−PDDさんが「はい」と答えたところ、「幻聴」と診断されました。HF−PDDさんは「今」を生きる方々ですから「何か声」は質問した医師の声です。だから返事が「はい」になるのです。≫
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同じことばを使っていても、使い方がちょっとずれると、こんなことになっちゃいます。そんなことの連続・・・・。ほんとに大変なんだってことを、周りのみんなに分かってほしい!!

◆◆◆もう一つは、感覚統合学会のHPです。
「お父さんお母さんのための入門講座」は残念ながら、今のところ工事中ですが、トップページの土田玲子先生のお話を読めば、大枠はつかめるのでは? ムリかな・・・・。

リンクされているJSI−R(日本感覚インベントリー)であげられているような、一見関係なく見えるさまざまな行動が、感覚統合というメガネを通してみると、ひとつこととして一挙にナットク!できるのです。
日本じゅうに、もっともっと感覚統合という視点が広がってほしいものです。

上記JSI−Rが掲載されている姫路獨協大学太田篤志先生のホームページもついでにご訪問くださいませ。 スヌーズレンについても知ることができます。

相手に発達障害があろうとなかろうと、人と人との関係は「対処」「指導」ではなく『対等な」「関係性の中」での「相互理解」でありたいものです。

  「実践満載 発達に課題のある子の保育の手だて」      佐藤 暁    岩崎学術出版社   1890円

2010年6月に出たばかりの本です。実は私はまだ手に入れていません。でも、佐藤先生の本なら間違いはない、ということと、釧路の友人である堀口貞子さんが、佐藤先生の釧路での講演会の内容をホームページ〔コロボックル通信)で紹介されていたので、ああ、やっぱり、いい本なんだ、早くみなさんにもご紹介しなくちゃ、と思った次第です。

堀口さんのHPから無断引用させていただきます。
     ↓ ここから  ↓
「(佐藤)先生は、同名の新刊をテキストに、支援のモデルパターンについて、『できないことはさせない、できることはつくる』『見えないものを見えるようにする』など7つの支援パターンについて、実際の保育現場での様子をまじえ、丁寧に教えてくださいました。
中でも『ほめるための視覚支援でなければいけない!』『それにはまず「楽しい体験を先行させなければならない』。さらに、『私たちの都合を伝えるためにスケジュールを使ってはいけない!』 (中略)  そして、最後に『適切な方法で要求をしたら大人は誠実に応えてくれる』ということを、子ども達に伝えなければならない』と話してくださいました」

      ↑   引用ここまで ↑

 ほんと、ほんと、溜飲が下がります。 

 子どもを大切にする・・・ということですよね、結局は。 さっそく注文しました。早く来ないかな。

  昨夜(8月7日)夜遅く、帰宅しました。新百合丘行きのバスの時間に間に合わなかったので、京急川崎経由で帰ろうとしたところ、人身事故の影響とやらでえらく時間がかかり、九州から羽田に来るより、羽田から自宅に着くまでのほうがずっと大仕事でした (ーー;)

さて、武雄市というところは、さすが鍋島藩のお膝元だけあって、文化の香り高い、美しい町でした。
観光名所は、武雄市のホームページ観光情報からご覧下さい。
市長さんが頑張ってる市らしく、ホームページもとってもがんばっています。レモングラスを売り出し中とか。私も買って帰ってきましたが、さわやかで夏の飲み物にはぴったり。

武雄駅で、時間つぶしのためにのったタクシーの運転手さんによると、武雄のシンボルである御船山は300万年前に有明海の海底が隆起してできたものだそうです。
温泉楼門の背景にある山にも、山頂に大きな岩が屹立していると聞き、「えーー? 楼門は見たけど、岩は見なかった。ぜひ連れてってください」と頼み、見て来ました。運転手さんに「タクシーの運転手さんに聞くと、ただ観光に来るよりずっと勉強になりますね」と言うと、「こっちも、お客さんみたいに、いろいろ聞いてくれると、話すんですよ」とのこと。

いろいろな地方にお招きいただいて、「この次は観光目的で行ってみたい町」が増えますが、武雄もその中の一つになりました。
朝鮮から連れて来られた陶工が住まわせられた最初はてっきり伊万里(⇒大川内山)だと思っていたら、武雄のほうが古いのだとか。古唐津焼。

陶器に興味があるのは、「石」とか「岩」とか「地形」「土」と関係があるからかな? と、今回はじめて自覚しました。

第34回九州地区難聴・言語障害教育研究会佐賀大会が佐賀県武雄市で8月5日ー6日の日程で開かれています。
私は記念講演講師にお招きいただき、やってきています。
5日は、400人近い参加者があったとのこと。

武雄はJRの駅名が「武雄温泉」であることからも分かるとおり、古くからの名湯で有名だそうです。私は、初めて来ました。
会場の武雄文化会館は周辺のたたずまいが素敵!と思ったら、鍋島の別邸だったところだそうで、庭園はそのまま生かしてあるとか。
暑くなければ、あちこち観光したいところですが、あちちち。

事前に事務局の担当者から「宿泊は、洋式のホテル形式のお部屋と、和室とどちらを希望されますか?」と聞かれたので、「そうですねぇ。できたら、和室を・・・」とお願いしましたら「東洋館」という、武雄温泉楼門のすぐそばの由緒ある日本旅館を予約していただきました。
他の方たちはみんな洋式ホテルで(もちろんいずれも温泉つき)、この和風旅館に泊まるのは私一人だそうです。
いつも、「一人が好き」と公言していますし、館内で誰にも会う心配(?)がないのは、とてもありがたいのですが、ちょっと恐縮です。

  それにしても、畳の部屋って、いいですねぇ。 このところ、旅暮らしが続き、ホテルの部屋には食傷気味なのと、自宅には畳の部屋がないので、なおさらありがたさが身にしみます。

  全難言協、地方の会、いずれの会でも感じることですが、担当者同士が手を励ましあい学び合い、親ごさんたちと手を組んで、「みんなで」がんばってゆこうとする力は、本物だ、と思います。   LD/ADHD等通級指導教室や、いろんなネーミングの通級がふえ、「ことば」を標榜する教室の先行きは何かと不透明ですが、でも、「保護者と共に」の伝統は、決して消えないでほしいと願います。

今日、佐賀の会場で、佐賀県の「ことばの教室」の草分け、伊万里市の井手先生とお会いし、草創期の逸話を聞かせていただきました。  田口恒夫先生、大熊喜代松先生、神山五郎先生・・・・。すでに、伝説上の人物となった感のある大先輩たちのお名前をお聞きして、懐かしい気持ちがしました。

 と同時に、「はるばるも来つるものかな・・・・」といった感慨も覚えます。何もなかった草創期に比べれば、ずいぶん恵まれてきた昨今ですが、恵まれてきたことでなくなってしまったものも、多いのかもしれません。

7月26日(月)、念願の「浦河べてるの家」を見学に行きました。
意図したわけではありませんが、ちょうど月曜日は向谷地さんが札幌から戻っての「当事者研究」が行われる日でした。
午前は「べてるの家」で、午後は浦河日赤病院で、の「当事者研究」に参加(見学)しました。

見学者までもが「受け入れられている」「そこにいていいよ、って言ってもらえている」「否定されない」という空気感はなんとも言えず、居心地のよいものでした。 浦河で考えたことはたくさんありましたが、「ことばにするとウソっぽくなる」ので、今はまだ語らないほうがよさそうです。

  「治りませんように  べてるの家のいま」(斉藤道雄  みすず書房)を、「べてる」のお店である「カフェ ぶらぶら」で買い、一気に読みました。
 「べてる」の底力については、この本をお読みいただければと思います。

 べてるの家に関する本はいろいろありまmすが、

 「技法以前 べてるの家のつくりかた」(向谷地生良  医学書院)
 「ゆるゆるスローなべてるの家 ぬけます、おります、なまけます」
       (
向谷地生良ほか、大月書店)
  「悩む力 べてるの家の人々」(斉藤道雄  みすず書房)
などが、私には、酸素吸入代わりです。

  自宅にもどってからこれらの本を本棚に探したついでに、近くにあった「パパの色鉛筆」(山登敬之  日本評論社)を再読しています。

  そうそう、「現代霊性論」(内田樹+釈徹宗   講談社)も、久々にゾクゾクするほど面白い本でした。

 1999年、WHOが健康の定義に肉体的・精神的・社会的健康に「スピリチュアルな健康」を加えるかどうか検討したことは、大きな反響を呼びました。結局は健康の定義に入れることは見送られたのですが、それから10年がたち、個人レベル、医療モデルでの健康ではなく、社会モデル、絆の中での健康や生きることの意味が、再度問い直され、新しい段階に入りつつあるのではないか、という思いがしています。

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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