ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

  今日の夜、市役所の会議(次世代育成支援後期行動計画策定委員会)が終わったあと、メンバーのお一人として参加している緑野小学校のS校長先生に呼び止められました。
  「朝日新聞の10月17日 土曜日の夕刊、ごらんになりましたか?」
  私はちょうど、旅先だったので、読んでいませんでした。
  そうお答えすると、S校長は早速かばんの中から折りたたんだ夕刊を出して見せてくださいました。
 「ほら、うちの村井教諭が出たんですよ」と、まるでわがことのように、うれしそうです。
 部下の晴れ姿を喜ぶ校長先生の姿を見て、私もとてもうれしくなりました。
 狛江の校長先生たちって、どうして、こうも、「子どもたち」のことを、そして、教員たちのことを、一生懸命考えてあげられるんだろう・・・・と思います。

   ちなみに、狛江市の緑野小学校は、通級の学級と、固定制の学級の二種類の特別支援学級の設置校です。なので、校長先生は、固定級の設置校長会、通級の設置校長会、通級の校外学習、固定級の校外学習(遠足や宿泊など)に、いちいち同行するので、とっても忙しいのだそうです。

  そんなこと、教育委員になって、校長先生や先生たちとたびたびお話しするようになるまで、考えたこともありませんでした。何でも、そっち側の立場も知ってみる必要がありますね。

 朝日新聞の記事はこちらです。「花まる先生 公開授業」
            ↓
http://www.asahi.com/edu/student/teacher/TKY200910180167.html

 私も、狛江のことで、何かいいニュースが出ていると、とてもうれしいのでご紹介しました。 

  10月17日、佐渡市立金井小学校に設置されている「ことば・こころの教室」の開設40周年記念式典が行われました。私は同時に企画された記念講演の講師としてお招きを受けました。
  創立40年ということは、昭和45年の開設であり、まさに、日本の「ことばの教室」の先頭を走った教室の一つ、といえます。
 式典と祝賀会には、歴代の「ことばの教室」担当者の先生方も、多く参加されていました。

 式典で述べられることばを聞いているうちに、自然と頭の中に浮かんだのは「ベクトル」ということばでした。線は点のつながりです。最初の一点が、どちらの方向に向いているかで、直線の方向はある程度決まってしまう・・・というか。 

 金井小学校の「ことば・こころの教室」の場合は、創設の時の「点=こころざし」の方向が今なお、脈々と受け継がれ、立派な歴史を作り上げてきたと感じました。
  創設時の担当の先生とお話ししたところ、予想通り、千葉市院内小学校の大熊喜代松先生や、当時御茶ノ水大学におられた田口恒夫先生のもとで研修をつんで、教室開設にあたった、とのことでした。田口先生とは懐かしいお名前を聞くものです!!

  親たちの強い要請にこたえて作られていった全国の教室たちでしたが、平成5年に「通級による指導」が公式に認められるまでの期間は、日陰の存在に甘んじざるを得ませんでした。校長さんに「君たちのやっていることは、法律違反だ」と言われても抗弁できない時代もあったと言います。

 「ことばの教室」の大きな特徴は、ほとんどの場合、「親の会」が組織されていて、何かの行事の際や、勉強会などは、必ず先生達と協力・共催するスタイルをとっていることです。「子どもを真ん中に、保護者と教員が、何でも、隠し事なく話しあえる仲」があるのです。新しい教育の形かもしれません。  

  講演依頼をお受けしたのは1年以上前でしたが、それ以来、毎月送ってくださる「教室だより」は、先生と保護者が一緒になって子どもたちを健やかに育ててゆこうとしている雰囲気がとてもよく現れているものだったのですが、その理由は、実際に、来て、見て、分かった、という感じでした。開設のときに考えられた方向が、間違ってなかった、ということでしょう。

  人生初めての体験「ジェットフォイル」にも乗れたし、「佐渡金山」も見学できたし、それより何より、息の長い教育の営みにあっては、教員と保護者とのフランクな協力関係がなによりも大切だ、ということをあらためて感じ、また、ものごとは、初めの一歩、最初の一点に込められる「こころざし」の力によってその後の発展の方向が決まると痛感しました。

 教室の存在意義を、教育委員会や事務局が深く理解し、しっかり支えてきたことも感動の一つでした。
  「人は一人では生きられない」 副市長は祝辞の中でこう言われました。
 認め合い、支え合うことの、実体化・・・・・・。温かさの感じられる旅でした。

  おりしも昨日(10月20日)は、調布市で新設された「調布市子ども発達センター」を見学させてもらいました。本来の見学日ではないにもかかわらず、丁寧に案内していただきました。
  従来あった通園の「あゆみ学園」と、「総合福祉センター」との機能を統合・充実させて、大きな建物になったのですが、官僚的な冷たい雰囲気にならず、従来のあゆみ学園の雰囲気が感じられたので、安心しました。
  調布市あゆみ学園は、昭和40年代半ば、障害のある子のための療育の場を作ろうという保護者の運動で、調布の駅前のアパートの一室で始まった「あゆみ教室」にその源流を持っています。その後、市が運営する「あゆみ学園」となり、大きく発展してきましたが、今回、発達センターとなるにあたっても、職員、保護者、関係者が入る委員会が何回も話し合って概要を決めたそうです。

 行政が勝手に入れ物だけ作ってしまって、使い勝手が悪い・・・・という話をよく聞くだけに、細部に工夫された建物を見せてもらって、何だかとても安心しました。   調布市子ども発達センターにはSTが11名も配置されていて、これからも、(私が籍を置く健康推進課から)「ことばが遅い」などの訴えの子を紹介する先なのです。安心して紹介できそうです。

  ESPA有限責任事業組合は、障害のあるお子さんたちの療育等に長くかかわってきた専門職が立ち上げた集団です。今までに、何回かのセミナーを行ってきました。  今回の企画は、「特別支援教育の質の向上と、専門職種との連携をどのように関連付けていくべきか」をテーマとして企画され、「一緒に考えてくれる同士を募る第一歩」としようとしているそうです。応援しつつご紹介します。(中川信子)

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  【ESPAセミナー第3回】
  テーマ: 「重度重複障害児のライフサイクルにおける特別支援学校を考える
            ー多様な専門職のコラボレーションをめざしてー」

 日時:平成21年11月22日(日) 9:50〜16:30

 会場:武蔵野公会堂 会議室(JR中央線、京王井の頭線吉祥寺駅下車徒歩2分)

 対象:テーマに関心のある方どなたでも

 定員:70名

 講師:松田直(群馬大学教育学部教授)他、特別支援校教員、外部専門家

 内容:教育の専門職と医療、療育にかかわる各種の専門職 との積極的なコラボ レーションについて、さまざまな視点から皆様とともに考えてみたいと思います。        (講義とデイスカッションなどのワークショップ)

 主催:ESPA有限責任事業組合

 参加費:有料(詳細につきましてはお問い合わせ後、折り返し、ご連絡申し上げます。

 内容等詳細は当組合の http://www.ac.auone-net.jp/~espa-llp/をご参照ください。

 今日は、佐渡に来ています。昨夜遅く新潟に着き、今朝の「ジェットフォイル」で佐渡に着きました。この「ジェットフォイル」は、「翼走航行」という方法で(よくはわかりませんでしたが、水上に浮き上がった状態で)時速80キロで走るそうです。船は、かのボーイング社が製作したものだそうです。海を飛ぶ飛行機・・・ってことでしょうか。
  詳細は佐渡汽船HP(⇒就航船案内)をごらんくださいませ。
 佐渡へは、佐渡市立金井小学校「ことば・こころの教室」創立40周年記念の式典に付随する講演会にお招きを受けたからですが、このことについては、たくさんの見聞をしたので、また、別の機会に書きます。

   佐渡に来る前の日は、恒例の市内小学校の巡回相談の日でした。
この巡回は、毎回とても楽しみです。
というのは・・・・・。

 狛江市は専門家チームの巡回の立ち上げのときに、指導主事の先生と教育委員会とがががんばって独自のシステムを作ってくださいました。

  専門家が一人招かれて、独善的(?)なことを言い置いて帰っちゃうというスタイルではありません。これは、まことに失礼な言い方ですが、上記のようなやり方の「専門家の巡回」があまり役に立っていないとか、かえって迷惑しているという声を聞くことがあるので・・・・・。あ、もちろん、とてもよく機能しているところだってあるのだとは思いますが。

  狛江のスタイルは一人ではなく、複数の「専門家」が同時に顔をあわせ、同じクラスを授業参観し、終わったあとの協議に全員が参加し、それぞれ異なる意見や、アドバイスを述べるという形を取っています。

「専門家」の陣容は
○スーパーバイザー(精神科の医師、小児神経医師、言語聴覚士ナカガワ、都の教育相談員経験のベテラン先生)
○学区の特別支援学校(調布・府中)のコーディネーター
○当該小学校に市が週一回派遣している教育相談員(心理職)
○当該小学校から進学する中学校に都から派遣されているスクールカウンセラー(心理)
○作業療法士

です。スーパーバイザーは上記4人のうちの都合のつく1人か2人が参加します。

授業をいっしょに見学し、協議に参加するのは、学校によって少しずつ違いますが、
○当該学校のコーディネーター、  ○校長   ○副校長 ○養護教諭、○特別支援学級設置校の場合はその学級の担任
などが参加して、あーでもない、こーでもない、と意見を述べます。

「偉い先生のご託宣を賜る」のではなく、「視点の違ういろんな人たちが集まって、アタマを寄せて、子どもたちのためにこれからできそうなこと、必要なことを、担任の先生方といっしょに探そうとする」というスタンスです。

 なので、行く側も気が楽ですし、そこで顔をあわせるほかの職種の方の視点に感心したり、新しい情報を貰ったり、巡回相談の場が、それ自体で連携を深める場にもなっています。   また、同じ授業の同じ場面を見た専門家同士でも意見や見方が違う場合もあり、子どものとらえは、正解がただひとつあるというものではないな、ということも、お示しできているように思います。

  一年ごとに、一回ごとに、先生たちの授業が分かりやすくなり、「ダメ」だの、「ちゃんとしなさい」だのという、イヤな気持ちになることばかけが減り、「○○さんは、いい姿勢だね!イスを引いているからね」というよいところ探しの声かけが増え、また、的外れな答えをした子どもに対しも「違う!ちゃんと考えて答えなさい」と間違いを指摘してがっかりさせるのではなく、「そう考えたんだね。なるほど。でも、ちょっと違ったな、残念。他の考えがないか聞いてみよう」などという具合に、肯定的な言い方がとてもふえてきていると感じます。

 目で見てわかるように教材を配慮したり、教室のイスの配置を工夫したり、と、先生たちは、日々努力を続けておられます。

 先生の子どもを見るまなざしや声かけが肯定的になり、しかも授業が分かりやすくなると、子どもたちの集中も高まることは、外から見ていると歴然としています。

 特別支援教育の「特別」が取れて、すべての教室で当然のように分かりやすい授業づくり、ひとりずつに配慮した教育が行われる「当然支援教育」になるといい、と仲間たちでいつも言っているのですが、学校が実際にそういう方向に進んでいる姿を見られるのは、とてもうれしいことです。

  専門家チームのお仲間たちと、「仕事に来て、帰りには、来たときより元気になってる、ってステキですよね!! じゃあ、また!」といいながら、解散しました。   次回の巡回も、どんな新しい発見があるのか、校長先生はじめ、先生方からどんなステキな工夫を聞けるのか、楽しみです。

  保健師さんと一緒に仕事をしている人は、世の中にとても少ないと思います。
「保健師って何をする人?」って聞かれて、当の保健師自身が「えーーーと・・・もごもごもご」と説明に窮するわけですから。(それは、私たちST=言語聴覚士も、似た境遇です)

  私は長い間地域で、保健師さんと一緒に仕事をしてきたので、保健師こそ、これからの地域の健康づくり、発達障害への支援にとって、もっとも必要とされる職種だと確信しています。ふえてほしいと思っています。でも、なかなか理解してもらいにくい仕事なので、人員を減らされることはあっても、ふえることはなかなかありません。

   地域保健をになう保健師の仕事の特徴は、「地域の全数対象」と「予防的かかわりが可能」ということなのですが、これが両刃の剣。   ていねいに家庭訪問をしたり、健康教室を開いたり、ちゃんとした地域保健活動をすればするほど、それが、病気や問題の予防になるために、問題が顕在化せずにすみます。すると、結果の数値だけを見るのが習い性となっている行政の財政部門からは、「なんだ、問題はないじゃないか、保健師の数、もっと減らしても大丈夫だね」っていう見方をされてしまう・・・ということ。


 保健師さんたちを対象にした雑誌『月刊 地域保健 21年9月号』(東京法規出版)の特集は「私の保健師必要論」です。「保健師って何をするの?」「なーるほど、だから、必要なのね!!」ということを分かりやすく説明してくれています。
  あまりかかわりのない方も、ぜひ、これを読んで、保健師の応援団になってください。

  購入は下記「月刊地域保健」のサイトから「バックナンバー」でお申し込みください。
     http://www.chiikihoken.net/

  日本LD学会で、釧路の小児科医・堀口貞子さんに久しぶりに会いました。しゃべった、しゃべった!
堀口さんは、有名な「釧路マザーグースの会」生みの親の一人として、そのスジに名前がとどろいているのはよく知っていましたが、お会いしたことはありませんでした。
  数年前、保健師さんのお招きで釧路に講演に行った際、堀口さんが会場に来ていて(お仕事はどうしたんだろ?あの時)初対面のあいさつもそこそこに「昼ごはんを一緒に食べに行きましょ」、ということでラチされ、主催の保健師さんそっちのけで昼休みじゅう、ずーーーっとしゃべって、そのまま親友になった、という人です。

  何百キロも離れたところで生まれ、成長し、互いに全く知らないまま仕事をしていたのに、なぜか「赤毛のアン」などの愛読書の多くが共通、自分の暮らす地域で「顔の見える連携」を基本に、敵を作らず味方をふやすネットワーク作りを目指そうとしてきたこと、特別支援教育の方向をトクベツな子へのトクベツな支援ではなく、子育て全般の支援の一部に位置付けたい、など仕事に向かう発想も、なぜかとても似ているのでした。(行動特性は、まるで似ていないのですが・・・・)

  今回も、LD学会の会場で「あ、そうそう、堀口さんに、待ち合わせ場所を教えてあげなくちゃ」とメールを書き始めたところへ、メール受信中の合図がありました。「あ、堀口さんからのメールだな!」と直感したら、やっぱりそうでした。二人同時に「あ、連絡しなくっちゃ」と思った、というわけで、不思議なシンクロニシティ(共時性)。

  私の新刊「発達障害とことばの相談」(小学館)の中に書いたこと、(高校生のころ、「私にはこの木の葉は緑色に見えるけれど、それは、もしかしたら、あなたがピンクと呼んでいる色かもしれない。私とあなたがこの木の葉を同じ緑色だと感じている証拠はどこにあるんだろう?」などと考えていたこと)について、堀口さんも、全く同じように思っていたことがある、と知り、これまた不思議でした。

  昨秋、釧路に遊びに行ったとき、堀口さんのクリニックで大型本「ノーム」(ヴィル・ヒュイゲン著  サンリオ)を見つけて、話そっちのけで、隅から隅までよみふけりました。私が持っているのは小型本「ノーム くらし編」〔サンリオ 今は在庫切れのようです)だけなので。
  あ、そうそう「ノーム」というのは、見える人にだけ見える精霊・小人さんのことです。アイヌの人たちの間に伝わる「コロボックル」も、その同類。
  堀口さんが開いているホームページの名前は「コロボックル通信」。このページを見ると、釧路では、えりすぐりの先生方の講演を次から次へと開いていることが分かります。うらやましい。

 別れ際に二人で手帳を取り出し、「えーーと、何月だったら・・・・」と、来夏、釧路湿原散策の予定を立てたりしました。実現するかどうかは、分かりませんが、先に楽しみが待っているって、とてもうれしいことです。

 「子どもの発達支援を考えるSTの会」は毎年秋に研修会を開いています。8回目になる今年の研修会のご案内です。

   ST以外の方にも、多分参考になる内容だと思います。

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   研修会 趣旨

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言語聴覚士の国家資格成立から10年以上経過したとはいえ、子どもの分野のSTの社会的認知はなかなか進みません。そもそも、子どものSTの“専門性”をどう考えたらいいのでしょう?

 その専門性を、子どものよりよい発達につなぐには、どんな工夫が必要なのでしょう?

 今回は養成校、行政、臨床の場におられる3人のSTに、ご自分の今までと、現在取り組んでいることを話していただきます。「STとは?」を考えるための材料になれば幸いです。

◆日時  平成21年11月7日(土)午後  11月8日〔日)午前

◆内容 (11月7日)  
   STとしてーー個別指導と子どもの生活をつなぐ
       石田宏代氏   北里大学医療衛生学部 リハビリテーション学科
                 言語聴覚療法学専攻 准教授

   STとしてーー発達障害者支援法とSTの役割
      日詰正文氏    厚生労働省  社会・援護局 障害保健福祉部
                 精神・障害保健課 発達障害対策専門官
    (11月8日)
   STとしてーー肢体不自由のお子さんを中心に
      森永京子氏   多摩療育園

◆会場  東京 「全労連会館ホール」(御茶ノ水徒歩8分)

◆参加費  両日参加  一般 3500円  学生1500円

  詳細は「子どもの発達支援を考えるSTの会」 HPをご参照ください

  申し込みも上記からお願いします。 
         
        

 10月10日、11日、12日の三日間、東京学芸大学で第18回の日本LD学会が開かれました。親の会と支援者(教員などの関係者)が一堂に会する、熱気あふれる集まりです。
熱気と人混みが苦手な私は、今まで一度も参加したことがありませんでしたが、今回は、今年3月に東京学芸大学を定年退官されたLD学会会長・上野一彦さんの晴れ姿(?)を見にえんやらえんやら出かけて行きました。

 LDをめぐっては、いろんな紆余曲折をへて、今日の特別支援教育の進展と展開につながったわけですが、その「源流の一滴」は、上野一彦さんがサミュエル・カーク博士のLD概念と出会ったことにさかのぼることができるんだなー、と、感慨ひとしおでした。そのころ、つまり40年近く前、旭出学園の研究所で、何だか、とってもうれしそうな顔をしている上野さんの姿を思い出しました。

 上野一彦さんは、2007年に出した「LD教授(パパ)の贈り物〜ふつうであるよりも個性的に生きたいあなたへ」(講談社)で、自分もLD(っていうか、むしろ、ADHD)であることを勇気を持って、公式にカミングアウトした、ってつねづねおっしゃってます。それを聞いて「わざわざカミングアウト、なんていわなくたって、ずっと前からそうだったよ。それが上野さんらしさ、なんだし」って思う人も多いと思います。私もです。

 今回の学会では、できたてほやほやの「上野一彦 LD カミングアウト第2弾!」の本が売られていました。「LDを活かして生きよう〜LD教授(パパ)のチャレンジ」(ぶどう社)です。もうすぐ一般書店にも並ぶと思います。
 この本の中では、上野さんと「いま、会いにゆきます」の作者、市川拓司さんとの出会い、お互いの特性の類似がたくさん出てきます。精力的にがんばり続けてきたけれど、どこか、孤独な戦い、の趣きのあった上野さんが、「同類、見つけた!!」って躍り上がらんばかりに喜んでいる感じが伝わってきて、読んでいるだけで、ほっこり、にやにや、うれしくなりました
 もちろん、本の中には、ちゃんとしたLDにかかわるリクツ的な部分も含まれています。

  今回の本は、カミングアウト第2弾!ってことになるらしいですが、私としては、定年退官記念にいろんな人が文を寄せて編集された「LD教授(パパ)の解体真書〜この不思議な生物の記録(うえのかずひことその仲間たち」(非売品)が一般書店にも並ぶといいのに、って思います。 LD教授(パパ)の山なすエピソードがテンコ盛りで、抱腹絶倒なんです。  もっとも、一部のそのスジの人しか買ってくれないでしょうから、採算を度外視した奇特な出版社が現れて、「出版しましょう!!」って言ってくれないと、ムリだろうな・・・・・ 

  家の建て替えを始めたことは前に書いたと思いますが、今週は地鎮祭を行いました。   テレビや写真では見たことがありましたが、「見る」と「やる」とは大違いで、いろいろ面白かったです。

  まずは、神主さんが奏上してくれる「祝詞」って、分かりやすいんだな、っていうこと。「木の香のナンたらの新しい家にナンたら」とか、意味の理解できることばがちりばめられていて、何しろこの儀式全体として、家を作るにあたっての無事と、幸福とをお願いしますよ、という意味なんだな、ということがよく分かりました。お寺でお経を聞くときとはちがって。

  やっぱり「分かりやすい」って、大事なことだな、って思いました。

それから、「クワ入れ」とは言いますが、ほんとに小型木製の鍬で「えいっ!えいっ!えいっ!」と声を出して3回鍬を入れるのでした。夫が鍬でやったあとは、施工業者さんが今度は鋤(シャベルみたいな形の)で砂の山に鋤を入れるのでした。

  お札みたいなものを地面に埋め、棟上げのときにもう一つのお札を棟の上に貼り付けて、地面と天井の両方向から家を守るのだそうです。何だか心強いです。

  昔から伝わる数々の安心の仕組みって、「だからどうした?」と言えばそれまでですが、何だか安心・・・って無形の影響があるのかな、と思いました。

  今日(9月30日)は、群馬県藤岡市に講演でお招きを受けて行ってきました。主催は「子ども課」なのですが、招きいれられたのは教育長室。「子ども課」で今回の研修を担当してくださっている方は、本来、教育委員会の人だ、という流れからして興味しんしん。
  藤岡は、人口7万で、わが町狛江とほぼ同じくらい、古墳や遺跡がたくさんあるというのも共通点。そして、連携のあり方も、ほんとに「実体のある連携」をしているようすがよーーく分かりました。
  「子ども課」は、保健センターの中に席を置いているとのことで、保健センターも見せていただき、センターの活動概要もいただいてきました。
  日ごろ、「健診は支援の入り口」と主張している私ですが、新生児訪問(こんにちわ赤ちゃん事業)から始まる一貫した支援のあり方の一つを目の当たりに見せてもらったという感じでした。
  連携の柱の一つである藤岡言語教室(ことばの教室)で、優れた仕事をしていることもよく分かりました。

 わが町狛江も、「顔の見える関係」を大切に、連携はずいぶん進んだと自負していましたが、天狗になっていてはいけないな、と思わされるような「連携」「協働」でした。さすが群馬!

 そして、とってもうらやましかったことは、ほとんど同じ市の規模なのに(お金がないのも同じような感じらしいです)藤岡市には保健師が19人もいることです!! 
狛江市はたった5人なのに。

 医療職でもあり、地域ワーカーでもあり、行政職でもある、という保健師の存在は、地域住民に対する支援のカナメです。発達障害に限らず、子育て全般、メンタル面のケア、虐待への対応、そして、成人対象の健康支援などなど、何人いても、足りることはないくらい貴重な職種。

  狛江市の保健師数が近隣市に比べても圧倒的に少ないことは承知していましたが、同じ規模の市に、これだけの保健師さんがいるのは、はっきり言って、大ショックでした。何とかしないと。  

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「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。

疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

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