ここは中川信子のホームページです。ことばの発達や障害について、
また、言語聴覚士に関連するさまざまな情報を配信していく予定です。

「そらとも」は「この空のもと、いたるところに、志を同じくする友あり」という意味です。
疲れて、ひとりぽっちと思えるときには、空を見あげ、胸いっぱいに元気を補給しましょう。
その曲がり角の先には、きっと新しい出会いと、すばらしいできごとが待っています。

『大人のアスペルガー症候群』 
   佐々木正美、 梅永雄二 監修
   講談社 こころライブラリーブックス
   200年8月   1300円+税

  読もう読もうと思っていながら、手に入れるのが遅くなりました。   佐々木正美先生と、梅永雄二先生の監修で、講談社の「こころライブラリーブックス」のシリーズなのですから、もちろん、ナットクの一冊です。内容は

 第1章  なぜうまく生きられないのか
 第2章  人にあわせられない疎外感
 第3章  職場に定着できない無力感
 第4章  誤解と非難がもたらす劣等感
 第5章  支援を受けると生活が安定する   です。


  私は典型的なアスペルガー症候群ではないけど、かなり近いところにいる、と自己分析しているのですが「少数の友だちとだけ仲がよかった子ども時代」とか「興味のないイベントは楽しめない」とか、「一人遊びが好きでマイペース」などの特徴は、「それ、私のこと!」とばかりにバリバリ当てはまっています。
   私は幸い、周囲に恵まれ、また、自分で自分の特性をわきまえているつもりなので、今のところ、特段の不便はありませんが、(私はよくても、家族たちは、大迷惑しているらしい・・・・・ですが)まわりに「あれ?もしかしたら、アスペルガーでは?」と思う人がいたら、また、自分のことを「なぜ、こんなに生きるのが大変なんだろう?」って思う人には一読をオススメします。

  雨の週末。こういう気候のときは、ともするとアタマが痛くなります。 以前は、根性が足りないからかと思っていましたが、「低気圧が近づくと、敏感に反応する自律神経を持ち合わせているせいであって、根性が足りないせいじゃなかった!」と、分かって以来、ただただやり過ごすことにしました。そう決めたら不思議なことに、あまりアタマも痛くならなくなりました。

  自分の行動や反応の理由がわかるとラクになる・・・・ これって、発達障害とも同じしくみだな、って思いました。

    2月に行われた「子どもの心を考える都民フォーラム」のおり、都立梅ヶ丘病院院長の市川宏伸先生が最後のまとめとしてフリップに書かれたことばが「発達障害 ばんざい」でした。

  「発達障害」という概念を手に入れて、自分や相手の行動が理解できるようになると、「あらまー、あなたも、こんなところに弱点があったのね!」「あらあら、私はここが、こんなにヘンよ!」と、自分の中にも、他人の中にも、たくさんたくさんおかしなところを見つけて笑い合い、「お互い、大変よねー。それにしても、私たち自分で言うのもナンだけど、がんばって生きてるわよねぇ!」と、共感し、赦しあえるようになるからだと思います。

  まだ、全国的には「発達障害 ばんざい!」と言える状態にはたどりついていませんが、あと5年10年すれば、きっとそういう日が来ているにちがいない、って思える今日この頃です。   そういう方向でのよい本が次々出版されるようになっているからです。

  23日(土)は東京大学本郷キャンパスで「自閉症者の語る自閉症の世界」と題するシンポジウム」が開かれました。私もコメンテーターとして登壇しました。
  本当に、貴重な経験でした。「百聞は一見にしかず」とはこのことです。
  が、これについては、別の機会に書くつもりです。

  24日(日)は茨城県言語聴覚士会(県士会)主催の研修会にお招きを受け、土浦に行きました。STはその大半が病院で成人を見ているという現状の中、子ども、しかも幼児とかかわっている少数派である私をお招きいただくことが大変ありがたく、勇んで出かけてゆきました。

  参加者は、どこの言語聴覚士の集まりでもそうであるとおり、若い方の姿が目だちました。
  そもそもSTとはどういう仕事か(仕事であるとナカガワが思っているか)というお話からはじめたのですが、会場のみなさんが本当に熱心に聴いて下さっている雰囲気が感じられ、気持ちよく話させていただきました。

  今回の資料を作る中で、あらためて、STという仕事はステキだな、って思いました。

  23日のシンポジウムでも感じたことですが、言いたいことがあり、それを発語する、話すというのは、話し手側だけの行為ではなく、それを「聴こうとする聴き手」の存在、聴き手の構えに大きく影響されるものですね。

  対面しての会話では日ごろそう感じていましたし、講演でもそういうことはおぼろげに感じていましたが、講演とか、シンポジウムにおいても、「話し手が話す」だけでなく、「話し手は聴き手によって引き出される」ものなのなのだなぁ、と、なんだか不思議な気持ちになりました。   コミュニケーションはコラボレーション。

  ST(言語聴覚士)を中心に、コミュニケーション障害にかかわる人たちの学会が今年は新潟県長岡市で開かれます。5月30日ー31日です。

  発表もさることながら、3本の教育講演とシンポジウムの充実ぶりがすごいです。

 

教育講演

宮永 和夫氏(南魚沼市立ゆきぐに大和病院院長)
『若年性アルツハイマー病患者とその家族への支援』

 
  山根 寛氏(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻リハビリテーション科学コース)
『ひとと集団・場について』
 
  神尾 陽子氏(国立精神・神経センター 精神保健研究所)  
『発達障がいの診断の意義とその問題点』
 
  シンポジウム1 『グループの力』  
 
司会 藤林 真理子氏(初台リハビリテーション病院)
シンポジスト 伊藤 伸二氏(日本吃音臨床研究会)
“吃音親子サマーキャンプ”

遠藤 尚志氏(NPO法人失語症デイ振興会)
“失語症デイサービス”

鈴木 勉氏(都立大塚病院)
“高次脳機能障害児・者の集団活動を通じて

高橋 和子氏(金沢大学子どものこころ発達研究センター)
“高機能自閉症・アスペルガー症候群児の集団活動を通じて”
 
  シンポジウム2
『発達障がいの診断にまつわる現状と問題点─よりよい援助のために─』
 
 
司会 飯高 京子氏(元理事長・木馬の会)
シンポジスト 今泉 依子氏(発達障害児応援団NPO法人ばく)
“親と支援職の立場を行き来して”

鳥居 深雪氏(植草学園短期大学)
“幼児教育の立場から”

長岡 恵理氏(多摩市特別支援教育マネジメントチーム)
“STの立場から”

中島 秀晴氏(新潟県教育庁義務教育課特別支援教育係)
“教育者の立場から”

詳しくは、学会ホームページをご覧下さい。

  日本コミュニケーション障害学会第35回学術講演会HP
         http://shinsen.biz/jacd35/

  日本コミュニケーション障害学会HP
         http://wwwsoc.nii.ac.jp/jacd/

 

 

 ひょんなことから「チャイルドライン」というものの存在を知り、少しだけ後押しすることになりました。

おりしも、岩波書店からブックレット『子どもの声に耳をすませば―電話でつくる〈心の居場所〉― 』が出版されました。 
http://www.childline.or.jp/supporter/whatsnew.html#000496

 
◆「チャイルドライン」とは、18歳までの子どもなら誰でもかけていい電話です。
  ちょっと話したいな〜、僕の悩み聞いて〜、お友達ができないんだ〜、お友達が意地悪するんだ〜 など、どんな小さなことでも、真剣に耳を傾けてくれる大人が電話の前にいてくれます。

 ◆「チャイルドラインのやくそく」は次の四つ。

   秘密は守るよ、どんなことでもいっしょに考える、名前は言わなくてもいい、(電話を)切りたいときには切っていい

子どもたちの声にただただ耳を傾けるチャイルドライン。チャイルドラインってなあに? 

       「たとえ、2分でも、3分でも、真剣に自分のことを聞いてもらえた、一生懸命聞いてくれる大人がいるんだ、という体験が、その子の中に何かを残すと信じて(チャイルドラインの活動を)やっているのです」ということばが耳に残りました。

 チャイルドライン 支援者、大人用ページ 
   http://www.childline.or.jp/supporter/

定額給付金からの寄付も募っているそうです。
   http://www.childline.or.jp/supporter/whatsnew.html#000496

 

 

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